「ADPリボシル化因子」の版間の差分

63行目: 63行目:


 2004年Sheenらは異所性灰白質を伴う小頭症の原因遺伝子としてクラスI ArfのGEFであるヒト[[BIG2]] ([[ARFGEF2]])を同定した<ref name=Sheen2004><pubmed>14647276</pubmed></ref>。マウスBIG2は胎生期の脳室帯に豊富に発現し、Arf-GEF ([[BIG1]]、BIG2、[[GBF1]])に対する[[阻害剤]][[ブレフェルジンA]]の胎児期脳室帯への投与やBig2ノックアウトマウスにおいて、神経上皮細胞間の[[N-カドへリン]]を介した細胞接着が障害され、脳室帯の構造の破綻が生じる<ref name=Ferland2009><pubmed>18996916</pubmed></ref><ref name=Zhang2012><pubmed>22956851</pubmed></ref>。その後、ヒトARF1も異所性灰白質の原因遺伝子として報告され<ref name=Ishida2023><pubmed>36345169</pubmed></ref>、BIG2によるARF1の活性化が、神経上皮細胞間のN-カドへリン依存的な細胞接着の制御を介して脳室帯の構造維持に関与する可能性が示唆される。
 2004年Sheenらは異所性灰白質を伴う小頭症の原因遺伝子としてクラスI ArfのGEFであるヒト[[BIG2]] ([[ARFGEF2]])を同定した<ref name=Sheen2004><pubmed>14647276</pubmed></ref>。マウスBIG2は胎生期の脳室帯に豊富に発現し、Arf-GEF ([[BIG1]]、BIG2、[[GBF1]])に対する[[阻害剤]][[ブレフェルジンA]]の胎児期脳室帯への投与やBig2ノックアウトマウスにおいて、神経上皮細胞間の[[N-カドへリン]]を介した細胞接着が障害され、脳室帯の構造の破綻が生じる<ref name=Ferland2009><pubmed>18996916</pubmed></ref><ref name=Zhang2012><pubmed>22956851</pubmed></ref>。その後、ヒトARF1も異所性灰白質の原因遺伝子として報告され<ref name=Ishida2023><pubmed>36345169</pubmed></ref>、BIG2によるARF1の活性化が、神経上皮細胞間のN-カドへリン依存的な細胞接着の制御を介して脳室帯の構造維持に関与する可能性が示唆される。
 
 
 また、胎生期のマウス脳室帯の神経上皮細胞において、[[EphB2]]-[[ephrin B1]]シグナルは、Arf6の活性化による頂端面での[[インテグリンβ1]]のエンドサイトーシスを抑制し、インテグリンの表面発現を適切に維持することにより、脳室帯の構造維持、非対称分裂、脳室帯から分裂後の細胞離脱を制御することが報告されている<ref name=Arvanitis2013><pubmed>23578932</pubmed></ref>。
 また、胎生期のマウス脳室帯の神経上皮細胞において、[[EphB2]]-[[ephrin B1]]シグナルは、Arf6の活性化による頂端面での[[インテグリンβ1]]のエンドサイトーシスを抑制し、インテグリンの表面発現を適切に維持することにより、脳室帯の構造維持、非対称分裂、脳室帯から分裂後の細胞離脱を制御することが報告されている<ref name=Arvanitis2013><pubmed>23578932</pubmed></ref>。