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扁桃体におけるNPAS4の発現と機能が、不安様行動のレベルや恐怖記憶の形成・消去に関与することが示されている<ref name=Ploski2011><pubmed>21887312</pubmed></ref>。 | 扁桃体におけるNPAS4の発現と機能が、不安様行動のレベルや恐怖記憶の形成・消去に関与することが示されている<ref name=Ploski2011><pubmed>21887312</pubmed></ref>。 | ||
== 疾患との関わり== | |||
=== てんかん === | |||
[[てんかん]] | [[てんかん]]発作は強力な神経活動刺激であり、発作時にNPAS4の発現が海馬などで著しく誘導される<ref name=Lin2008 />。NPAS4は抑制性シナプスの形成を促進することから、発作後の神経回路の過剰興奮を抑制する保護的な役割(抗てんかん作用)を持つと考えられている。実際に、NPAS4欠損マウスは、薬物誘発性てんかん発作に対する感受性が亢進し、発作重症度が増加することが示されている<ref name=Shan2018><pubmed>29222951</pubmed></ref>。 | ||
=== 脳梗塞・神経変性疾患 === | |||
[[脳虚血]]などの神経傷害後にもNPAS4の発現が誘導され、神経保護に関与する可能性が示唆されている<ref name=Shamloo2006><pubmed>17156197</pubmed></ref><ref name=Takahashi2021><pubmed>34349016</pubmed></ref>('''図3''')。その機能不全が神経変性疾患の病態に関わる可能性も研究されている。 | |||
=== 不安障害・心的外傷後ストレス障害 === | |||
扁桃体におけるNPAS4の機能は[[恐怖記憶]]の形成と消去に関与するため、その調節異常が不安障害や[[心的外傷後ストレス障害]]([[posttraumatic stress disorder]], [[PTSD]])の病態に関与する可能性が考えられている<ref name=Ploski2011><pubmed>21887312</pubmed></ref>。 | |||
=== 依存症 === | |||
薬物([[コカイン]]など)投与によって[[線条体]]などでNPAS4の発現が誘導され、薬物に対する[[報酬学習]]や[[精神刺激薬]]感受性、[[依存]]からの再燃に関与することが示唆されている<ref name=Taniguchi2017><pubmed>28957664</pubmed></ref>。 | |||
=== 自閉スペクトラム症=== | |||
病態仮説の一つである神経回路の[[興奮/抑制バランス]]の破綻において、NPAS4が重要な役割を果たしている可能性が注目されている。NPAS4の機能異常と[[自閉スペクトラム症]]病態との関連、および治療標的としての可能性が探求されている<ref name=Rein2021><pubmed>32099100</pubmed></ref>。 | |||
== 関連語 == | == 関連語 == | ||
* [[転写因子]] | * [[転写因子]] | ||