「CREB制御転写コアクチベーター」の版間の差分
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神経で特に発現するCRTC1について、[[視床下部]]における[[食欲]]制御、また[[扁桃体]]および[[海馬]]における記憶制御に関わることが報告されている。視床下部でのCREB/CRTC1は[[レプチン]]の下流で機能し、レプチンシグナル下流である[[食欲抑制因子]]、[[プレプロコカイン・アンフェタミン調節性転写産物]]遺伝子[[CART prepropeptide]] ([[CARTPT]])および[[Kiss1]]の発現を誘導することにより、食欲を減衰させる機能がある<ref name=Altarejos2008><pubmed>18758446</pubmed></ref>。扁桃体と海馬においてCREBが記憶固定化に重要な転写制御因子として古くから知られてきたのと一致して、CRTC1は海馬[[後期長期増強]]([[L-LTP]])に必須であること<ref name=Ch'ng2012><pubmed>22770221</pubmed></ref><ref name=Zhou2006><pubmed>17183642</pubmed></ref>、扁桃体および海馬CRTC1は[[ | 神経で特に発現するCRTC1について、[[視床下部]]における[[食欲]]制御、また[[扁桃体]]および[[海馬]]における記憶制御に関わることが報告されている。視床下部でのCREB/CRTC1は[[レプチン]]の下流で機能し、レプチンシグナル下流である[[食欲抑制因子]]、[[プレプロコカイン・アンフェタミン調節性転写産物]]遺伝子[[CART prepropeptide]] ([[CARTPT]])および[[Kiss1]]の発現を誘導することにより、食欲を減衰させる機能がある<ref name=Altarejos2008><pubmed>18758446</pubmed></ref>。扁桃体と海馬においてCREBが記憶固定化に重要な転写制御因子として古くから知られてきたのと一致して、CRTC1は海馬[[後期長期増強]]([[L-LTP]])に必須であること<ref name=Ch'ng2012><pubmed>22770221</pubmed></ref><ref name=Zhou2006><pubmed>17183642</pubmed></ref>、扁桃体および海馬CRTC1は[[恐怖条件づけ]]学習における[[記憶固定化]]に重要であることが示された<ref name=Nonaka2014><pubmed>25277455</pubmed></ref> <ref name=Uchida2017><pubmed>28076781</pubmed></ref>。CRTC1下流制御遺伝子について[[脳由来神経栄養因子]] ([[brain-derived neurotrophic factor]] ([[BDNF]]))、[[核内受容体サブファミリー4A]] ([[Nr4a]])、[[c-fos]]、[[線維芽細胞増殖因子1b]] ([[fibroblast growth factor 1b]], [[Fgf1b]])等遺伝子が報告されており、これらはCBP下流遺伝子と共通であることから、CBPとCRTC1は協調的に働くこと、またCRTC1とCBPのCREB制御における使い分けが提案されてきた。 | ||
ショウジョウバエにおいては飢餓状態の低[[インスリン]]状態がCRTCの脱リン酸化を誘導してCRTCを活性化させ、CBP非依存的に記憶能力を高めることが示された<ref name=Hirano2013><pubmed>23349290</pubmed></ref>。また、ショウジョウバエ[[匂い嫌悪学習]]において長期記憶の固定化そのものにはCRTCは必要なく、CBPが重要な役割を果たしている<ref name=Hirano2013><pubmed>23349290</pubmed></ref>。しかし、長期記憶が形成された1日後からCRTCをノックダウンするとその後の記憶の保持や消失に影響が生じる。これらより、ショウジョウバエではCBPとCRTCに記憶過程における時間軸で使い分けがあり、CBPは長期記憶固定化に、CRTCは固定化1日後以降の長期記憶の維持、および消失といった記憶の柔軟性を司ると考えられる<ref name=Hirano2013><pubmed>23349290</pubmed></ref>。マウスでもCBP依存的CREB活性化が一過的な遺伝子発現を誘導し、CRTC1依存的CREB活性化はより持続的な遺伝子発現を制御することが示唆されている<ref name=Uchida2017><pubmed>28076781</pubmed></ref>。CRTC2に関しては、マウス胚由来[[線維芽細胞]]においてCRTC2とCBPが独立に制御する遺伝子が報告されていることから<ref name=Kasper2010><pubmed>20859256</pubmed></ref>、CRTC1の下流遺伝子についてもCRTC1とCBPが独立に制御する下流遺伝子が存在する可能性がある。 | ショウジョウバエにおいては飢餓状態の低[[インスリン]]状態がCRTCの脱リン酸化を誘導してCRTCを活性化させ、CBP非依存的に記憶能力を高めることが示された<ref name=Hirano2013><pubmed>23349290</pubmed></ref>。また、ショウジョウバエ[[匂い嫌悪学習]]において長期記憶の固定化そのものにはCRTCは必要なく、CBPが重要な役割を果たしている<ref name=Hirano2013><pubmed>23349290</pubmed></ref>。しかし、長期記憶が形成された1日後からCRTCをノックダウンするとその後の記憶の保持や消失に影響が生じる。これらより、ショウジョウバエではCBPとCRTCに記憶過程における時間軸で使い分けがあり、CBPは長期記憶固定化に、CRTCは固定化1日後以降の長期記憶の維持、および消失といった記憶の柔軟性を司ると考えられる<ref name=Hirano2013><pubmed>23349290</pubmed></ref>。マウスでもCBP依存的CREB活性化が一過的な遺伝子発現を誘導し、CRTC1依存的CREB活性化はより持続的な遺伝子発現を制御することが示唆されている<ref name=Uchida2017><pubmed>28076781</pubmed></ref>。CRTC2に関しては、マウス胚由来[[線維芽細胞]]においてCRTC2とCBPが独立に制御する遺伝子が報告されていることから<ref name=Kasper2010><pubmed>20859256</pubmed></ref>、CRTC1の下流遺伝子についてもCRTC1とCBPが独立に制御する下流遺伝子が存在する可能性がある。 | ||