「Gastrulation brain homeoboxファミリー」の版間の差分

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==タンパク質機能==
==タンパク質機能==
 ''Gbx'' タンパク質は、他のホメオドメイン転写因子と同様に、ATTA/TAAT を中心とする DNA 塩基配列を認識する('''表3''')。''Gbx1'' については TAATTA 配列に結合し、結果としてタンパク質高次構造に局所的多型が生じることが示された<ref name=Proudfoot2016><pubmed>27396829</pubmed></ref>。また、''ChIP-Seq'' による GBX2 結合塩基配列の網羅的解析から、TAAT を含む多数のゲノム配列に結合することが確認された<ref name=Roeseler2012><pubmed>23144817</pubmed></ref>。培養細胞系では、''MGF''<ref name=Kowenz-Leutz1997><pubmed>9346236</pubmed></ref>''IL-6''<ref name=Gao2000><pubmed>10690529</pubmed></ref>''EEF1A1''<ref name=Roeseler2012><pubmed>23144817</pubmed></ref> 各遺伝子のプロモーター内 TAAT 類似配列に ''Gbx2'' が結合し、いずれについても転写を活性化する。
 他のホメオドメイン転写因子と同様に、ATTA/TAAT を中心とする DNA 塩基配列を認識する('''表3''')。''Gbx1'' については TAATTA 配列に結合し、結果としてタンパク質高次構造に局所的多型が生じることが示された<ref name=Proudfoot2016><pubmed>27396829</pubmed></ref>。GBX2は''ChIP-Seq''による結合塩基配列の網羅的解析から、TAAT を含む多数のゲノム配列に結合することが確認された<ref name=Roeseler2012><pubmed>23144817</pubmed></ref>。培養細胞系では、myeloid growth factor (''MGF'')<ref name=Kowenz-Leutz1997><pubmed>9346236</pubmed></ref>、interleukin-6 (''IL-6'')<ref name=Gao2000><pubmed>10690529</pubmed></ref>、eukaryotic translation elongation factor 1 alpha 1 (''EEF1A1'')<ref name=Roeseler2012><pubmed>23144817</pubmed></ref> 各遺伝子のプロモーター内 TAAT 類似配列に ''Gbx2'' が結合し、転写を活性化する。


 一方、発生制御遺伝子については様相が異なる。''Gbx2'' はゼブラフィッシュにおいて、TAATTA を含む ''fgf8a'' の MHB エンハンサー内配列に結合して転写抑制的に作用する<ref name=Inoue2008><pubmed>18280464</pubmed></ref>。マウスでは、''Otx2'' の前・中脳エンハンサー内にある TAATTA に結合して転写を抑制すること<ref name=Inoue2012><pubmed>22566684</pubmed></ref>、''Lmo3'' の上流領域にある CTAATTAG に結合して ''Lhx2'' 依存性の転写を抑制することが報告されている<ref name=Chatterjee2012><pubmed>23136391</pubmed></ref>。実際、少なくとも発生初期の脳形成においては、直接の制御かどうかは不明であるものの、「個体での ''Gbx'' の機能」の項で述べるように、多くの脳形成制御遺伝子に対して ''Gbx'' による発現抑制効果が観察されている。なお、ツメガエルおよびゼブラフィッシュにおいて、後述するように ''Gbx2'' には前・中脳形成抑制活性が見られるが、VP16 の転写活性化領域、あるいは Engrailed の転写抑制領域を用いたキメラ遺伝子の過剰発現が示す効果から、''Gbx2'' タンパク質が転写抑制因子としてはたらくことが示唆された<ref name=Tour2002><pubmed>11850185</pubmed></ref><ref name=Nakayama2013><pubmed>23933069</pubmed></ref>。
 一方、発生制御遺伝子については様相が異なる。''Gbx2'' はゼブラフィッシュにおいて、TAATTA を含む ''fgf8a'' の MHB エンハンサー内配列に結合して転写抑制的に作用する<ref name=Inoue2008><pubmed>18280464</pubmed></ref>。マウスでは、''Otx2'' の前・中脳エンハンサー内にある TAATTA に結合して転写を抑制すること<ref name=Inoue2012><pubmed>22566684</pubmed></ref>、''Lmo3'' の上流領域にある CTAATTAG に結合して''Lhx2''依存性の転写を抑制することが報告されている<ref name=Chatterjee2012><pubmed>23136391</pubmed></ref>。実際、少なくとも発生初期の脳形成においては、直接の制御かどうかは不明であるものの、多くの脳形成制御遺伝子に対して発現抑制効果が観察されている。なお、アフリカツメガエルおよびゼブラフィッシュにおいて、''Gbx2'' には前・中脳形成抑制活性が見られるが、VP16 の転写活性化領域、あるいは Engrailed の転写抑制領域を用いたキメラ遺伝子の過剰発現が示す効果から、''Gbx2'' タンパク質が転写抑制因子として働くことが示唆された<ref name=Tour2002><pubmed>11850185</pubmed></ref><ref name=Nakayama2013><pubmed>23933069</pubmed></ref>。


 つまり、''Gbx'' タンパク質は状況に応じて転写活性化因子、転写抑制因子の両方の機能を有する可能性がある。実際、''Gbx2'' 下流遺伝子に関する網羅的解析でも、''Gbx'' が遺伝子発現の活性化、抑制の両方に関与することが示されている<ref name=Mallika2015><pubmed>26297811</pubmed></ref><ref name=Roeseler2012><pubmed>23144817</pubmed></ref><ref name=Nakayama2017><pubmed>28756106</pubmed></ref>。''Gbx'' で見られる保存領域の役割については、ゼブラフィッシュ胚で欠失導入の効果が検討されており<ref name=Nakayama2013><pubmed>23933069</pubmed></ref>、''Gbx2'' の前・中脳の形成抑制活性には NCR 内の Eh1 配列と CD4 配列の双方が寄与することが示された。''Gbx2'' による前方脳抑制活性に Eh1 配列が必要であることはメダカでも観察されており、この場合、Groucho/Tle4 との結合が必要とされた<ref name=Heimbucher2007><pubmed>17060451</pubmed></ref>。''Gbx2'' は神経堤細胞の形成にも関与するが、これに由来する色素細胞の分化制御には ''Gbx2'' の N 末領域の関与が報告されている。
 この様に''Gbx'' タンパク質は状況に応じて転写活性化因子、転写抑制因子の両方の機能する。実際、''Gbx2'' 下流遺伝子に関する網羅的解析でも、遺伝子発現の活性化、抑制の両方に関与することが示されている<ref name=Mallika2015><pubmed>26297811</pubmed></ref><ref name=Roeseler2012><pubmed>23144817</pubmed></ref><ref name=Nakayama2017><pubmed>28756106</pubmed></ref>。''Gbx'' で見られる保存領域の役割については、ゼブラフィッシュ胚で欠失導入の効果が検討されており<ref name=Nakayama2013><pubmed>23933069</pubmed></ref>、''Gbx2'' の前・中脳の形成抑制活性には NCR 内の Eh1 配列と CD4 配列の双方が寄与することが示された。''Gbx2'' による前方脳抑制活性に Eh1 配列が必要であることはメダカでも観察されており、この場合、Groucho/Tle4 との結合が必要とされた<ref name=Heimbucher2007><pubmed>17060451</pubmed></ref>。''Gbx2'' は神経堤細胞の形成にも関与するが、これに由来する色素細胞の分化制御には ''Gbx2'' の N 末領域の関与が報告されている。


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