骨形成因子

2012年3月24日 (土) 11:50時点におけるYoshiowakamatsu (トーク | 投稿記録)による版

英語名:Bone Morphogenetic Protein  英語略称名:BMP

歴史  もともとはその名が示す通り骨組織や軟骨の分化を誘導、促進する分子として同定された一群のタンパク質である。その7種類のうち、BMP2〜BMP7はtransforming growth factor beta (TGF−β)superfamilyに属するが、BMP1はmetalloproteaseである。その後、さらに多くのメンバーが同定されている。本稿で扱うのは、TGF−β superfamilyに属するBMPとする。GDFもTGF−β superfamilyに属する(GDFの項参照)。両生類等を用いた実験から、胚の背腹軸の決定に関与していることが示され、その後も発生期の組織や器官の誘導、パターン形成、細胞死の誘導、細胞分化の制御など、発生過程の様々な場面で重要な役割をしていることが明らかとなっている。

シグナル伝達  BMPを含むTGF−β superfamilyタンパク質はホモもしくはヘテロ二量体としてリガンド活性を持ち、2本のペプチド鎖はジスルフィド結合によって結合している。膜貫通型のセリン/スレオニンリン酸化酵素受容体であるI型、II型BMP受容体のヘテロ二量体に結合して、シグナルが細胞内に伝達される。TAK1/TAB1/2を介した経路やPKAを介した経路等も知られているが、主要なシグナル伝達経路はSMADタンパク質を介した経路である。リガンドの結合によって活性化された受容体がSMAD1/5/8のセリン/スレオニン残基をリン酸化すると、リン酸化SMAD1/5/8は細胞質にあるSMAD4と結合して核に移行する。そこでターゲット遺伝子のcis制御領域に結合し、その転写を活性化する。一義的にはBMPを産生する細胞からの濃度勾配がパターンを形成するために重要であるが、細胞外ではノギン(noggin) やコーディン(chordin)などのようなBMPに結合する分泌性タンパク質によって細胞外で活性を抑制されるし、細胞内ではSMAD1/5/8に結合する抑制性SMAD6/7によってもBMPシグナルの調節がおこなわれる。一般には、SMAD1/5/8のリン酸化部位に対する抗体を用いた検出で、BMPシグナルの活性化分布を検出することができる。

神経発生における機能と活性  神経系の初期発生では主としてパターンの形成に関与している。例えば、非神経外胚葉で発現し、それに隣接する領域の神経堤細胞の誘導に関与している引用エラー: <ref> タグに対応する </ref> タグが不足しています。したがって、この場合ではBMPは神経幹細胞の維持をおこなっていると考えられる。