ラメリポディア
2012年5月7日 (月) 14:56時点におけるHirokiakiyama (トーク | 投稿記録)による版
英:lamellipodium(単); lemellipodia(複)
ラメリポディアは、主に移動運動中の細胞周辺縁にみられる、薄い膜状の構造である。網目構造をとったアクチンフィラメントを含んでおり、このアクチンフィラメントの動態に依存して、伸長・退縮を繰り返す非常に動的な構造である。神経細胞では、移動細胞の先導突起先端部や、神経突起突出時の細胞体周辺、および成長円錐(伸長中の神経突起先端部)などにみられる。この他、移動中のグリア細胞や白血球、線維芽細胞の先導端にもみることができる。
構造と動態
ラメリポディアは分枝したアクチンフィラメントによって形成される網目構造によって支えられており、網目は細胞周辺部側でより密になっている。アクチンフィラメントのプラス端(重合端、反矢じり端、barbed-end)が細胞周辺部を向いており、また、網目構造全体は求心性に移動している(アクチン後方移動)[1][2]。このため、ラメリポディアの伸長・退縮は、網目構造の構築スピードとアクチン後方移動スピードとのバランスによって決定される。網目構造の構築スピードは、アクチンの重合・脱重合、分枝・脱分枝に、また、アクチン後方移動スピードは、ミオシンによりアクチン線維が求心性に引っ張られる力と、アクチン線維が形質膜によって押し戻される力に依存する[2][3][4][5]。
重合と分枝形成
脱重合と脱分枝
アクチン後方移動
トレッドミル
機能
制御
単量体アクチン
ADF/cofilin
WASP/WAVE
cortactin
coronin
ミオシンモーター
引用文献
- ↑
Bugyi, B., & Carlier, M.F. (2010).
Control of actin filament treadmilling in cell motility. Annual review of biophysics, 39, 449-70. [PubMed:20192778] [WorldCat] [DOI] - ↑ 2.0 2.1
Medeiros, N.A., Burnette, D.T., & Forscher, P. (2006).
Myosin II functions in actin-bundle turnover in neuronal growth cones. Nature cell biology, 8(3), 215-26. [PubMed:16501565] [WorldCat] [DOI] - ↑
Mogilner, A., & Oster, G. (2003).
Polymer motors: pushing out the front and pulling up the back. Current biology : CB, 13(18), R721-33. [PubMed:13678614] [WorldCat] [DOI] - ↑
Van Goor, D., Hyland, C., Schaefer, A.W., & Forscher, P. (2012).
The role of actin turnover in retrograde actin network flow in neuronal growth cones. PloS one, 7(2), e30959. [PubMed:22359556] [PMC] [WorldCat] [DOI] - ↑
Craig, E.M., Van Goor, D., Forscher, P., & Mogilner, A. (2012).
Membrane tension, myosin force, and actin turnover maintain actin treadmill in the nerve growth cone. Biophysical journal, 102(7), 1503-13. [PubMed:22500750] [PMC] [WorldCat] [DOI]
同義語:葉状仮足
関連語:糸状仮足(フィロポディア)
(執筆者:秋山博紀、上口裕之、担当編集委員:村上富士夫)