TANC

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 TANCは脊椎動物ではTANC1とTANC2からなる、細胞内タンパク質ファミリーである。ショウジョウバエ(Drosophila)にはTANCのホモログであるRolling Pebbles(Rols)が存在する。樹状突起スパインやシナプス後肥厚部(postsynaptic density, PSD)に局在し、PSD-95をはじめとする多数のタンパク質と相互作用し、シナプス後部の足場(scaffold)タンパク質として機能する。N末端側のP-loop NTPaseドメイン、ankyrin repeat(ANK)、tetratricopeptide repeat(TPR)などからなる多ドメインタンパク質であるが、近年の構造学的・生化学的研究により、TANCはSTAND/NACHT型ATPaseに属し、ATPの結合・加水分解に伴う構造変化や自己会合状態の変化を介して機能が調節されることが明らかになった。このことから、TANCは単なる静的な足場タンパク質としてだけではなく、PSDにおけるタンパク質複合体の形成や動態を調節する分子スイッチとして機能する可能性が考えられている。TANCは樹状突起スパインの形成、シナプス可塑性、学習・記憶などに関与するほか、特にTANC2の機能異常は、自閉スペクトラム症、知的発達症、発達遅滞などを含む神経発達症と関連する。したがってTANCは、シナプスの構造・機能と脳発達を結びつける分子である。

TANCとは

TANCは、2000年頃にシナプス後部における局所翻訳系を明らかにする目的で行われた、シナプス後肥厚部に付随して精製されるmRNA種の網羅的同定の際に発見された。当初のmRNA断片(KIAA1728)がコードするタンパク質は、C末端にPDZドメイン結合モチーフ(-ESNV)を有していたことから、PSD-95などのPSD足場タンパク質と相互作用し、PSDと深く関わるタンパク質である可能性が考えられ、完全長配列がクローニングされた。コードされるタンパク質は、3個のtetratricopeptide repeat(TPR)、10個のankyrin repeat(ANK)、および1個のcoiled-coil構造を有していたことから、TANC(a protein containing TPR, ANK, and coiled-coil)と命名された。最初の論文でTANCの名称とPSDへの局在、およびPSD-95をはじめとする複数のPSD足場タンパク質との結合が報告され、PSDの形態や機能の制御に関与している可能性が示唆された[1]。

 その後、それまでTANCと呼ばれていたタンパク質はTANC1と呼ばれるようになり[2]、さらにTANC1とTANC2から構成されるTANCファミリーの概念が確立された[3]。

 Nonakaらの論文では、TANC1とRap2/MINK/TNIK経路との関連性が示唆された[2]。また、Rap2を含むRap2 regulators、MINK、TNIKのすべてが精製PSDに存在することから[4]、PSD内およびその近傍におけるシグナル伝達の連携が示唆された。

 Hanらの論文[3]では、TANC1とTANC2のより詳細な生化学的・解剖学的特徴(発現の経時的変化、脳内局在、細胞内局在など)が明らかになった。また、過剰発現実験により、TANC1、TANC2のいずれもスパイン数および興奮性シナプスを増加させることが示された。さらに、TANC1ノックアウトでは空間学習能の低下が観察され、TANC1とスパイン発育および空間記憶との関連が示唆された。一方、TANC2ノックアウトでは胎生致死が認められ、TANC2が胎児発育にも関与することが示唆された。

 その後、TANCのN末端側にP-loop ATPaseドメインが存在することが指摘され、TANCがSTAND ATPaseファミリーの一員であることが示された[5][6]。これにより、TANCに対する従来の概念は大きく変化することとなった。

 疾患との関連では、TANCの異常と、自閉スペクトラム症、知的発達症、統合失調症、発達遅滞を含む神経発達障害(neurodevelopmental disorder, NDD)との関連を示す報告が数多く報告されている。

 本総説では、タンパク質名を原則として以下のように表記する:TANC、ヒトタンパク質;Tanc、mouse/ratタンパク質;tanc、zebrafishタンパク質。

構造

TANC1、TANC2ともに、N末端側からP-loop ATPaseドメイン、ANK、TPR、coiled-coil、C末端PDZ結合モチーフを持つ。これらのドメイン構造を図1に示した。以下の各領域およびドメインについての説明は、主にGaspariniらの論文[5]から要約した。

N末端領域

N末端およびC末端領域は天然変性領域(intrinsically disordered region:IDR)であり、TANCパラログ間での配列同一性は比較的低く、これらの領域が機能的に分化している可能性が示唆されている。哺乳類、鳥類、および魚類のTANC2タンパク質においては、TANC1と共通する54アミノ酸残基からなる領域が認められる。この配列には、CK1(Casein Kinase 1)リン酸化部位と、2つのSH3結合モチーフが含まれる。

TANC配列内には、いくつかの推定線状モチーフが同定されている。例えば、ユビキチン依存性分解の開始に関与すると考えられる2つの高度に保存されたモチーフや、プロテインホスファターゼ1(PP1)のドッキングモチーフであるRVxFモチーフなどが存在する。また、高度に保存されたセリン豊富領域(serine-rich region:SRR)には、GSK3、MAPK、NEK2などのキナーゼによって認識されるリン酸化部位が含まれている(図1)。

P-loop型ヌクレオシド三リン酸加水分解酵素(NTPase)ドメイン

2017年、TANC1およびTANC2のN末端側に機能的なP-loop NTPaseドメインが存在することが予測され、TANCがSTAND(Signal Transducing ATPases with Numerous Domains)NTPaseファミリー[7]に属する可能性が指摘された[5]。さらに、構造解析の結果、TANCはSTAND ATPaseファミリーのNACHT系統[7](STAND/NACHT ATPase)に属し、ATPase活性をもつことが実証された(図2)[6]。STAND ATPaseのNACHT系統(NAIP, CIITA, HET-E, and TP1)は、STAND ATPaseを構成する主要な系統の一つである。

NTPaseには多種のタイプが存在するが、分類するとSTAND/NACHT ATPaseはP-loop型のASCE系統(Additional StrandとCatalytic Glutamateを持つ系統)のNTPaseの一員である(図2)[8][7]。STAND NTPaseの特徴的ドメイン構造を図3に示した。STAND ATPaseファミリーのタンパク質は、保存されたP-loop型ヌクレオチド結合領域(特徴的なα/βフォールドを持つ)とC末端側のヘリカルモジュール(helical third domain of STAND、HETHS)からなる基本構造を特徴とし、しばしば反復配列型の相互作用ドメインを含む巨大な多ドメインタンパク質として存在する。これらは、アポトーシス、免疫、ストレス応答などに関わるシグナル伝達経路において、ヌクレオチドの結合・加水分解に伴う構造変化を利用して機能を制御する分子スイッチとして働くことが知られている[7]。STAND ATPaseの多くでは、ヌクレオチド結合状態の変化に伴ってタンパク質の構造状態が変化し、それがオリゴマー化や他のドメインの配置変化、さらには下流因子との相互作用の制御につながる[9][6]。TANCも同様に、ATPの結合・加水分解に伴う構造変化によってその活性状態が制御されると考えられるようになった。

アンキリンリピート(ANK)ドメイン

ANKの各リピートは、約33アミノ酸残基からなる比較的保存性の高いモチーフであり、他のタンパク質との相互作用に関与する[10]。TANC1およびTANC2はいずれも11個のANKを有する。ANKの基本構造はTANC1とTANC2でよく保存されているが、TANC2では第5~第6リピート間に特徴的な長い負電荷ループが存在する。このループは進化的に保存されており、TANC2に特有の結合相手や機能に関与している可能性が高い。また、ANKドメイン表面の電荷分布にはTANC1とTANC2で違いがあり、これが結合タンパク質の選択性に影響している可能性がある。

テトラトリコペプチドリピート(TPR)様ドメイン

TANCタンパク質には、3個のTPRが存在する。TPRは34アミノ酸残基から構成され、各TPRモジュールは2本の逆平行αヘリックスから形成される。これらのTPRモジュールが連続して配置されることで、超らせん状(superhelical)のhelix-turn-helix構造を形成する。TPRは一般に、タンパク質間相互作用やタンパク質複合体の形成に関与することが知られている[11][12]。過去には、TPRのC末端側にcoiled-coil領域が存在すると考えられていたが、現在では、これはTPRの末端を安定化する「C末端キャップヘリックス構造」である可能性が高いと考えられている[5]。

C末端領域

C末端領域全体としての配列保存性は他の領域と比べて低いが、機能的な短いモチーフは保存されている。特に、TANC1、TANC2間で高度に保存されたPDZ結合モチーフが認められている。このモチーフは、TANCとPSD-95、SAP97、およびScribble planar cell polarity protein(SCRIB)との相互作用を仲介することが示されている[3][13][1]。

両TANCのC末端には、ポリグルタミン領域(poly-Q region)、それに続くプロリン豊富領域(proline-rich region)、およびセリン豊富領域(serine-rich region:SRR)が存在する。また、すべてのTANCホモログのC末端には、MAPK結合部位およびWWドメイン結合部位が予測されている。これらの部位は部分的に重なり合っており、さまざまなキナーゼによってリン酸化されると予測される領域に位置している。さらに、複数の14-3-3タンパク質結合モチーフもC末端のさまざまな位置に予測されている。このように、TANCのC末端領域には、多数のシグナル伝達およびタンパク質間相互作用に関与するモチーフが存在する。

TANC2のC末端には、TANC1にはみられない特徴として、約12残基間隔で並ぶ27個の保存されたチロシン残基が存在する。詳細な解析から、約12アミノ酸残基を単位とする短い反復モジュールの存在が示唆され、チロシン残基がその構造を特徴づける中心的な要素であることが明らかになった。チロシンはリン酸化を受けやすいことから、これらの反復モジュールは、TANC2特異的なシグナル伝達や調節に関与する可能性が考えられている。

サブファミリー

現在知られているTANCサブファミリーは、TANC1とTANC2の2つのみである。TANC1とTANC2はアミノ酸配列の約50%が相同であり、ドメイン構造もほぼ共通している。進化的には、共通祖先遺伝子の遺伝子重複によって生じたパラログであると考えられている。また、DrosophilaにはTANCのホモログであるRolsが知られている[14][15]。アイソフォームについてはいくつか報告されており、主要なものを表1に示した。

発現と細胞内分布

TANC1およびTANC2は主として脳に発現し、ラット脳において広範な発現が認められる[3][1]。TANCタンパク質は、樹状突起、樹状突起スパインおよびPSDに局在するほか、軸索終末にも検出されている[3]。さらに、生化学的に調製したPSD画分からもTANCが検出されている[3][1]。

Tanc1とTanc2は、時空間的な発現パターンおよび機能において顕著な違いを示すことが報告されている[5][3][16]。マウス脳の発達過程では、Tanc1の発現は出生後に著しく増加し、成体期に高い発現レベルに達する[3][16][6]。これに対してTanc2は、脳発達の初期段階で強く発現し、胎生期に高い発現を示す[3][6]。

発生期ヒト大脳皮質のsingle-cell RNA-seq解析では、TANC2は興奮性ニューロンに加えて放射状グリア(radial glia)にも発現が認められ、TANC1は放射状グリアにさらに強い発現を示すことが報告されている[15]。一方、マウス海馬由来の初代培養系では、Tanc2はglia-enriched cell populationにも発現するものの、その発現量はニューロンと比較して著しく低いことが示されている[16]。

また、ショウジョウバエでは、TANC1/TANC2オルソログであるRolsは、主としてグリア細胞に発現することが報告されている[15]。

機能

足場タンパク質としてのTANC:相互作用タンパク質

C末端にPDZドメイン結合モチーフを有することは、TANCがPSDにおける足場タンパク質複合体の形成に関与する可能性を示唆している。実際、TANCが精製PSD画分に存在すること[3][1]、免疫電子顕微鏡法(pan-TANC抗体を使用)によりTANCがPSDに局在すること[3]、さらに免疫沈降法などによりPSD構成タンパク質との相互作用が示されていること[3][1]は、この可能性を支持する。

TANC1およびTANC2の相互作用タンパク質の報告が一覧にまとめられ(表2A)、また相互作用タンパク質候補(表2B)も、整理・予測されている[5]。相互作用タンパク質には、TANC1またはTANC2のいずれか一方について報告されているものがある一方で、両者に共通するものも認められる。このことは、TANC1およびTANC2が共通する機能に加えて、それぞれ異なるタンパク質複合体の形成に関与する可能性を示唆している。

相互作用タンパク質の中には複数のタンパク質キナーゼやタンパク質ホスファターゼが含まれていることから、TANC自身のリン酸化状態、あるいはTANCを含むタンパク質複合体の構成が、リン酸化・脱リン酸化によって制御される可能性も考えられる。これらの相互作用に関与すると推定されるTANC上の部位の一部を図1に示した。

STAND NTPaseファミリータンパク質としての側面

発見当初、TANCは酵素活性を持たないPSD足場タンパク質と考えられていたが、その後の解析から、N末端にSTAND/NACHT型P-loop NTPaseに相当するATPaseドメインを持つことが示された。これにより、TANCは単なる静的な足場タンパク質ではなく、STAND/NACHT型P-loop ATPaseドメインを中心とした構造変換を介して、自身の分子状態や機能を制御する動的な分子スイッチとして機能する可能性が示された[5]。

クライオ電子顕微鏡解析では、Tanc1およびTanc2が、P-loop ATPase、ANK、TPRからなるhead、body、tailのオタマジャクシ様構造をとることが明らかとなり(図4)、ATPaseドメインがSTAND/NACHT型であることが構造学的にも支持された[6]。また、TANC1とTANC2ではATPaseモジュールの自己抑制機構に違いが認められた。Tanc1ではaa. 226–231の自己抑制性lock segmentによりclosed/inactive stateが安定化される(図4A)のに対し、Tanc2ではclosed stateに加えてsemi-open stateが存在し(図4B)、これがATP依存的オリゴマー形成およびATPase活性化に至るpre-activated stateと考えられる。

さらに、ATP/Mg²⁺存在下でTanc1では顕著なオリゴマー化が認められなかったのに対し、Tanc2ではATP依存的なオリゴマー形成と高いATPase活性が認められた。これらの知見から、TANC2ではATP結合に伴う構造変化と分子間会合が連動して機能状態を切り替えると考えられる[6]。

以上のことから、TANCは単なるPSD足場タンパク質ではなく、ATP結合を起点としてSTAND/NACHT型ATPaseを介してヌクレオチド結合状態、構造、オリゴマー化を連動させ、自身の機能状態を制御する動的な分子スイッチとして機能する可能性が示唆されている(図5)[9][6]。

脳機能および神経精神疾患との関連

TANCの機能に関する初期の知見は、培養神経細胞への過剰発現実験および遺伝子欠損マウスの解析から得られた。Hanらは、TANC1またはTANC2の過剰発現により樹状突起スパインおよび興奮性シナプス密度が増加することを示した。また、TANC1欠損マウスでは海馬CA3におけるスパイン密度が低下し、空間学習・記憶が障害された。一方、TANC2欠損マウスは胎生致死であり、TANC1がシナプス形成・維持や海馬依存性認知機能に、TANC2が発生過程に重要であることが示唆された[3]。その後、TANCの多様な相互作用タンパク質や構造的特徴が明らかになるにつれ、TANCはPSD足場タンパク質としてだけでなく、複数の神経シグナル経路を調節する分子でもあると考えられるようになった。

一般に、PSD-95、Shank、HomerなどのPSD scaffold/adaptorタンパク質をコードする遺伝子の異常はNDDや精神疾患の発症に関与することが示されている[17][18][19][20][21][22]。TANCも、このようなシナプス関連タンパク質の一つとして、NDDを含む神経精神疾患との関連が注目されている。

TANC2については、機能喪失変異がNDDの原因となり得るという報告がある[15]。また、Tanc2ヘテロ欠損マウスでは、海馬依存性学習障害、過活動、不安様行動に加え、発達段階に依存したLTP/LTD障害が認められた。さらに、TANC2はmTORに結合してそのシグナルを抑制することから、シナプス構造のみならずmTOR経路を介して神経発達とシナプス可塑性を調節すると考えられる[16]。さらに、TANC2において多数のNDD関連TANC2バリアントが同定されており[23][24][18][5][25][26][27][28]、ミスセンス、欠失、短縮型およびコピー数変異など、48種類のバリアントが報告されている[6]。

ゼブラフィッシュではTanc2欠失により細胞増殖が促進され、アポトーシスが抑制される一方、NDD関連変異体の過剰発現ではアポトーシスが促進されることが示されている。したがって、TANC2の量的・質的異常は、細胞増殖と細胞死、神経細胞生存および脳発達のバランスを変化させ、NDDの病態形成に寄与する可能性がある[29]。

TANC2は神経系以外にも発現し、その機能破壊型変異ではNDDに加えて多様な非神経学的表現型も報告されている[30]。TANC1についても、染色体異常と発達遅滞との関連が報告されている[31][32]。

おわりに

TANCは、ATPase活性を有するPSD scaffoldタンパク質である。Spine/PSDへの局在や空間記憶への関与から、TANCがPSD scaffoldタンパク質として機能することは支持されているが、シナプス後部におけるTANCの分子動態に関する実験は、現在までに報告はない。TANCのATPase活性は、構造変換を介して自身の会合状態や、他のPSD scaffoldタンパク質およびシナプスタンパク質との相互作用に影響を与え、PSDの形成・維持・動態を制御する分子スイッチとして機能している可能性が考えられる。一方、細胞を用いた発現実験からは、TANCのATPase活性の状態が細胞のアポトーシスを制御することが示されている。このことは、TANCのATPase活性の異常が発達初期における細胞増殖・細胞死のバランスや神経細胞の生存に影響を及ぼし、脳の発達異常を介してNDDの発症につながる可能性を示唆している。したがって、TANCは、PSDにおけるシナプス機能の調節に加えて、発達期の細胞機能を制御するATPase依存的な分子スイッチとして、NDDの病態形成に関与する可能性がある。

関連項目

図表の説明

表1.主要なTANCアイソフォーム

[5]から作成。図1を参照。

表2.TANCと相互作用するタンパク質(A)および候補タンパク質クラス(B)

(A)は実験的に結合が証明されたもの、(B)はSLiM(short linear motif、短い線状モチーフ)から推定されたもの。論文引用や同定方法は[5]を参照。

図1.TANCタンパク質のドメイン構造および主要モチーフ

DEG_SCF_TRCP1_1:SCF–β-TrCP1認識分解モチーフ1;DEG_Nend_Nbox_1:N末端N-box型分解モチーフ1;LIG_14-3-3_2:14-3-3結合モチーフ2;MOD_LATS_1:LATSリン酸化修飾モチーフ1;MOD_NEK2_1:NEK2リン酸化修飾モチーフ1;poly-Q:グルタミンに富む領域;poly-P:グルタミン/プロリンに富む領域;PP1:PP1(protein phosphatase 1)ドッキングモチーフ(RVxF)。

TANCタンパク質の既知アイソフォームを上段と最下段に示す。[5]から引用。

図2.ATPase/NTPaseの構造による分類

STAND/NACHT NTPaseは触媒部位にP-loopを有するグループのASCE系統に属する。[7][33]から作成。

図3.典型的なSTAND ATPaseの構造

NTPase α/βフォールドはATPの結合・加水分解を担う触媒コアを形成し、Walker A、Walker Bなどの保存された構造要素を含む。ASCE型NTPaseでは、Walker AとWalker Bの間にadditional β-strandが挿入されるとともに、進化的に保存されたグルタミン酸残基が触媒グルタミン酸(catalytic Glu)としてATP加水分解に関与する。STAND NTPaseでは、この触媒グルタミン酸はWalker BのC末端側に位置する。Walker Aモチーフはリン酸基を含むヌクレオチドの結合に関与し、Walker Bに含まれる保存性の高い酸性残基は、Mg²⁺を介したATP加水分解に重要な役割を果たす。[5][7]から作成。

図4.単量体mTanc分子の立体構造とATPase活性状態に伴うコンフォメーション変化

Expi293F細胞に発現させたmTancタンパク質を精製し、クライオ電子顕微鏡解析を行った。上段は再構成された三次元密度マップ、下段左はリボンモデル、下段中央および右は密度マップに原子モデルを重ねた構造を示す。

A)mTanc1(215–1452);B)mTanc2(211–1421)。Tanc分子は、P-loop ATPase module、ANK、TPRモチーフがそれぞれhead、body、tailを構成するtadpole様の構造を示す。ATPaseの活性状態に応じてhead部分のコンフォメーションが変化し、不活性状態(off state)ではclosed conformationをとり、ATP結合およびATPase活性化に伴ってhead部分がsemi-openあるいはopen conformationへ移行する。mTanc1では主としてclosed/inactive stateが観察されるのに対し、mTanc2ではclosed/inactive stateに加えてsemi-open/pre-activated stateが観察される。[6]より作成。

図5.PSDにおけるTANCファミリーの機能発現の過程(仮説モデル)

TANCはATPの結合状態に依存してPSDの形成や動態を制御するスイッチとして働く可能性を示す。* 推定プロセス。

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