英：neuropolitics
神経政治学（neuropolitics）とは、政治にかかる社会的行動の神経基盤を対象とする研究分野である。神経画像手法等の進歩により、ヒトが社会的行動をとる際の脳内情報処理を対象とした研究が可能となった。哲学・心理学との関連も深い。社会科学においても、政治心理学や実験政治学の流れから神経政治学への展開がみられている。
神経政治学研究
具体的には、脳波（EEG）を用いて保護主義とリベラル主義といったイデオロギーとの関連について評価した研究があげられる[1]。また、機能的磁気共鳴画像法（fMRI）を用いて候補者の顔認知に関する研究もなされている[2]。候補者に認知に関して、情動に着目した研究[3]や、選挙キャンペーンの影響に着目した研究[4]もなされている。
関連分野の動向
社会神経科学には、ヒトの社会活動の科学的理解への貢献が期待されており[5]、関連研究も盛んに行われている。経済にかかる社会的行動の神経基盤を対象とする分野である神経経済学が先行しており、先述の候補者の認知に関する神経政治学研究[3][4]に関しても、神経経済学の流れから説明する試みもなされている[6]。
また、法にかかる社会的行動の神経基盤を対象とする分野を神経法学（neurolaw）という。直接的に関連した研究が黎明期にある一方で、米国では、fMRIの法廷における嘘発見器と類似の役割についても議論されている[7]。こうした研究を一層進めるには、倫理的考慮を図ることが前提となろう。
関連項目
- 社会神経科学（social neuroscience）
- 神経経済学（neuroeconomics）
- 神経法学（neurolaw）
参考文献
- ↑
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（執筆者：神作 憲司 担当編集委員：入來 篤史）