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== <br>髄鞘を構成する成分と髄鞘の構造 == | == <br>髄鞘を構成する成分と髄鞘の構造 == | ||
髄鞘は細胞形質膜の多層構造体であるため、他の多くの細胞の形質膜や細胞内小胞膜と比べてタンパク質成分が少ない。脂質が約70〜80%(乾燥重量比)程度を占め、残り約20〜30%がタンパク質である。このため、髄鞘は他の膜よりも比重が軽いためショ糖密度勾配遠心法により他の膜と分離して調整することができる。髄鞘を構成する主な脂質は糖脂質ガラクトセレブロシドとその硫酸化誘導体スルファチドである<ref><pubmed>9530920</pubmed></ref> | 髄鞘は細胞形質膜の多層構造体であるため、他の多くの細胞の形質膜や細胞内小胞膜と比べてタンパク質成分が少ない。脂質が約70〜80%(乾燥重量比)程度を占め、残り約20〜30%がタンパク質である。このため、髄鞘は他の膜よりも比重が軽いためショ糖密度勾配遠心法により他の膜と分離して調整することができる。髄鞘を構成する主な脂質は糖脂質ガラクトセレブロシドとその硫酸化誘導体スルファチドである<ref><pubmed>9530920</pubmed></ref>。中枢神経系と末梢神経系では髄鞘を産生するグリア細胞が異なり、髄鞘を構築する様式も異なるので、これらの髄鞘を構成するタンパク質の多くは異なる。しかし、中には共通して存在するタンパク質もある。中枢神経系の髄鞘ではPLPとMBPが主成分のタンパク質であり、その他にMOG、[[MAG]]、CNPaseなどが存在する。末梢神経系の髄鞘ではP0とP2が主成分のタンパク質であり、PMP22、MAG、CNPaseなども発現している。<br> 近年、軸索と髄鞘の間では絶えず活発な情報交換が行なわれていることが示されたため、髄鞘は単に絶縁体として働くだけでなく、[[軸索輸送]]や軸索径の調節などに重要な役割を担うことが明らかとなってきた<ref name="ref8"><pubmed>18558866</pubmed></ref><ref name="ref9"><pubmed>18538868</pubmed></ref><ref name="ref10"><pubmed>20216548</pubmed></ref>。髄鞘の重要な働きの1つとして、軸索の機能的ドメイン形成がある<ref><pubmed>14682359</pubmed></ref>。[[有髄神経]]の軸索は髄鞘が取り巻くことによって、ランビエ絞輪・パラノード・ジャクスタパラノード・インターノードといったそれぞれに特徴的形態を持つ4つのドメインに分けられる('''図3''')。これらの各ドメインは、[[イオンチャネル]]や接着分子などの膜タンパク質がドメイン特異的に集積することにより、形態的のみならず機能的にも異なっている。ランビエ絞輪には活動電位発生に関わる電位依存性[[ナトリウムチャネル]]、ジャクスタパラノードには電位依存性[[カリウムチャネル]]がそれぞれ集積している。この2つのチャネルを隔てるパラノード部分には、軸索と髄鞘の間に作られたパラノーダルジャンクションと呼ばれる細胞間結合が存在する。このジャンクション形成は軸索の機能ドメインの維持に必要であり、Casprやcontactin、NF155などがジャンクション形成に重要である。 | ||
== <br>脱髄疾患および髄鞘形成不全 == | == <br>脱髄疾患および髄鞘形成不全 == |
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