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Seijishiozawa (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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== マウス ES 細胞とヒト ES 細胞の相違 == | == マウス ES 細胞とヒト ES 細胞の相違 == | ||
マウス ES 細胞及びヒト ES 細胞は共に、着床前の初期胚から得られる細胞株であり、高い分化能と自己増殖能を持つ。しかし、ヒト ES 細胞樹立以降、マウス ES 細胞との違いについても明らかにされてきた。マウス ES 細胞は LIF に応答して自己複製するのに対し、ヒト ES 細胞は LIF には応答せず、bFGF 及びアクチビン A に応答して自己複製するとされる。また、形成されるコロニー形態がマウスでは立体的に盛り上がったドーム状であるが、ヒト ES 細胞においては平坦なコロニーを形成するといった違いがある。このような特徴において、マウス以外の哺乳類から得られる ES 細胞はほとんどがヒト ES 細胞様であり、“マウス型” ES 細胞はラットにおいて特殊な条件下で樹立した ES 細胞のみである。マウス ES 細胞が持つキメラ個体の形成能、Germ line chimera の形成能は、マウス ES 細胞を定義する重要な性質の一つであるが、サル ES 細胞を用いた実験結果から、“ヒト型” ES | マウス ES 細胞及びヒト ES 細胞は共に、着床前の初期胚から得られる細胞株であり、高い分化能と自己増殖能を持つ。しかし、ヒト ES 細胞樹立以降、マウス ES 細胞との違いについても明らかにされてきた。マウス ES 細胞は LIF に応答して自己複製するのに対し、ヒト ES 細胞は LIF には応答せず、bFGF 及びアクチビン A に応答して自己複製するとされる。また、形成されるコロニー形態がマウスでは立体的に盛り上がったドーム状であるが、ヒト ES 細胞においては平坦なコロニーを形成するといった違いがある。このような特徴において、マウス以外の哺乳類から得られる ES 細胞はほとんどがヒト ES 細胞様であり、“マウス型” ES 細胞はラットにおいて特殊な条件下で樹立した ES 細胞のみである。マウス ES 細胞が持つキメラ個体の形成能、Germ line chimera の形成能は、マウス ES 細胞を定義する重要な性質の一つであるが、サル ES 細胞を用いた実験結果から、“ヒト型” ES 細胞ではこの能力は失われているか、著しく低いと考えられている<ref><pubmed> 22225614 </pubmed></ref>。<br> このような違いが ES 細胞における種差であるのか、マウス ES 細胞とヒト ES 細胞では異なる発生ステージにある細胞であることに由来するのかは不明である。2007 年にはマウスにおいて着床後の胚から、エピブラスト幹細胞(EpiS 細胞)と呼ばれる新たな胚性多能性幹細胞株が樹立された。この細胞は、平坦なコロニーを形成し、bFGF やアクチビン A によって自己複製が促進されるというヒト ES 細胞に類似した性質を有している。また、この細胞ではキメラ形成能がほとんど失われている。これらのことから、ヒトや他の動物における“ES 細胞”は、実際にはマウス EpiS 細胞に相当する細胞であるとする仮説が支持されている。しかしながら、この仮説を直接的に証明する報告は未だ無く、更なる慎重な検証が必要である。現在では、マウス ES 細胞を Naïve state(あるいは ground state)、ヒト ES 細胞やマウス EpiS 細胞のような細胞を Primed state の多能性幹細胞として便宜上区別されている。<br> なぜ、ヒトや他の動物の ES 細胞はマウスと同様に胚盤胞期の胚から得られるにも関わらず、Naïve state の ES 細胞が得られないのだろうか?マウスと他の動物種では初期の胚発生過程そのものが大きく異なることが近年示唆されており、この違いが影響していると考えられるが、現在のところ不明である。このような疑問を追求することは、学術的意義のみならず、将来ヒト ES/iPS 細胞を医療へ応用する際にも不可欠である。primed state とされるヒト ES/iPS 細胞は、マウス ES/iPS 細胞に比べ、株間あるいはクローン間において分化能など品質の不均一性が大きいという問題がある。初期の胚発生やヒト ES 細胞をより深く知ることで、マウス ES 細胞のような均一で高品質な多能性幹細胞株の樹立に繋がると期待される。更に、マウス以外の実験動物における上述の発生工学技術に応用できる可能性があり、幅広い分野に大きく貢献することが期待される。 | ||
== 参考文献 == | |||
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(執筆担当者: 塩澤誠司 担当編集委員: 岡野栄之)<br> | (執筆担当者: 塩澤誠司 担当編集委員: 岡野栄之)<br> |
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