「オペラント条件づけ」の版間の差分

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 オペラント条件づけはあくまでも自発する反応を強化する手続きであるため、反応を強制的に引き起こすことは出来ない。しかし特定の刺激を提示することでオペラント反応をより高頻度に自発させことは可能であり、その手続きを[[刺激統制]](stimulus control)と呼ぶ。例えば、ある音を提示しているときだけレバー押しを強化し、音が提示されていない時は強化しないという手続きを繰り返すことで、その音を提示することでレバー押しを生起させることができる。この音のように、動物から見てオペラント反応を増減させる手掛かりとなる刺激を[[弁別刺激]](discriminative stimulus)と呼び、実験ではさまざまな[[聴覚]]刺激や[[視覚]]刺激などが用いられる。動物に課題を訓練する際には、何らかの弁別刺激を用いることが多いことから、弁別刺激-オペラント反応-強化子の関係を示す[[三項随伴性]](three-term contingency)の設定と操作が、オペラント条件づけの手続きとしてもっとも重要となる。
 オペラント条件づけはあくまでも自発する反応を強化する手続きであるため、反応を強制的に引き起こすことは出来ない。しかし特定の刺激を提示することでオペラント反応をより高頻度に自発させことは可能であり、その手続きを[[刺激統制]](stimulus control)と呼ぶ。例えば、ある音を提示しているときだけレバー押しを強化し、音が提示されていない時は強化しないという手続きを繰り返すことで、その音を提示することでレバー押しを生起させることができる。この音のように、動物から見てオペラント反応を増減させる手掛かりとなる刺激を[[弁別刺激]](discriminative stimulus)と呼び、実験ではさまざまな[[聴覚]]刺激や[[視覚]]刺激などが用いられる。動物に課題を訓練する際には、何らかの弁別刺激を用いることが多いことから、弁別刺激-オペラント反応-強化子の関係を示す[[三項随伴性]](three-term contingency)の設定と操作が、オペラント条件づけの手続きとしてもっとも重要となる。


[[Image:Sakurai fig 1.jpg|thumb|320px|<b>図1.ラットのレバー押し反応の行動形成</b><br />(南博監訳 図説現代心理学3 講談社 1977年 より改変)]]<br>
== 行動形成  ==
== 行動形成  ==
[[Image:Sakurai fig 1.jpg|thumb|320px|<b>図1.ラットのレバー押し反応の行動形成</b><br />(南博監訳 図説現代心理学3 講談社 1977年 より改変)]]<br>
 オペラント条件づけでは、動物にとって随意的で身体的に可能な反応であれば、どのような反応も条件づけることが出来る。その際、まず条件づけるオペラント反応を選び、その反応のみを強化しなければならないが、そこに至るまでの訓練を行動形成(shaping)と呼び、具体的な手続きを逐次接近法(successive approximation method)と呼ぶ。たとえば、ラットにレバー押しを条件づける際、目的とするオペラント反応(レバー押し)により近い反応を順次条件づけていく。図1の例では、まずレバーに近づく反応を強化する。するとラットはレバーに近づく反応を増やす。ここで強化を止めると、ラットは他のさまざまな反応を示すため、それらの反応のうちからよりレバー押しに近い反応(立ち上がる)を選びしばらく強化する。するとラットは盛んに立ち上がるようになるが、やはりここで強化を止めると、他のさまざまな反応が生じるため、その中からレバー押し反応を選び強化する。この逐次接近法を用いることで、簡単なオペラント反応であれば数分で条件づけることも可能である。映像1は、ラットのノーズポーク反応(壁にあいた穴に鼻先を入れる反応)の行動形成のプロセスを示しているが、ほぼ5分ほどでオペラント条件づけが成立している。  
 オペラント条件づけでは、動物にとって随意的で身体的に可能な反応であれば、どのような反応も条件づけることが出来る。その際、まず条件づけるオペラント反応を選び、その反応のみを強化しなければならないが、そこに至るまでの訓練を行動形成(shaping)と呼び、具体的な手続きを逐次接近法(successive approximation method)と呼ぶ。たとえば、ラットにレバー押しを条件づける際、目的とするオペラント反応(レバー押し)により近い反応を順次条件づけていく。図1の例では、まずレバーに近づく反応を強化する。するとラットはレバーに近づく反応を増やす。ここで強化を止めると、ラットは他のさまざまな反応を示すため、それらの反応のうちからよりレバー押しに近い反応(立ち上がる)を選びしばらく強化する。するとラットは盛んに立ち上がるようになるが、やはりここで強化を止めると、他のさまざまな反応が生じるため、その中からレバー押し反応を選び強化する。この逐次接近法を用いることで、簡単なオペラント反応であれば数分で条件づけることも可能である。映像1は、ラットのノーズポーク反応(壁にあいた穴に鼻先を入れる反応)の行動形成のプロセスを示しているが、ほぼ5分ほどでオペラント条件づけが成立している。