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の3つが実行機能の要素であるとした。 | の3つが実行機能の要素であるとした。 | ||
common- | common-EFとは、全ての課題に影響を与える一般的な実行機能であり、課題目標や課題関連情報の維持を行うことで、効果的に低次な情報処理をバイアスする実行機能である。彼らによれば、[[行動の抑制]]はcommon-EFの媒介によって出現するものであり、実行機能としての抑制は存在しないのだという<ref>'''A Miyake, N P Friedman'''<br>The nature and organization of individual differences in executive functions: Four general conclusions<br>''Current Directions in Psychological Science, 21(1), 8-14'':2012</ref>。これは、行動の抑制は必ずしも神経系における抑制によって達成されているのではなく、別の選択肢の促進によっても達成しうるものであり、[[前頭前野]]が課題目標の維持を行い課題関連情報の活性化を行う事で、間接的に、現在の課題には不必要な行動の相対的抑制が達成されている<ref><pubmed>16286928</pubmed></ref><ref><pubmed>21889391</pubmed></ref> という知見とも一致する。 | ||
==心理学的知見== | ==心理学的知見== | ||
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実行機能は、[[wikipedia:ja:児童期|児童期]]から[[wikipedia:ja:思春期|思春期]]にかけて上昇し、初期[[wikipedia:ja:成人期|成人期]]にピークを迎えた後、しばらくの平坦期(高原期)を経て、中年期に低下し始めるという二次関数([[wikipedia:ja:放物線|放物線]])形の生涯発達パタンをとる<ref><pubmed>14962399</pubmed></ref>。特に、60歳以降の高齢期の減退は急激である<ref><pubmed>17612814</pubmed></ref>。 | 実行機能は、[[wikipedia:ja:児童期|児童期]]から[[wikipedia:ja:思春期|思春期]]にかけて上昇し、初期[[wikipedia:ja:成人期|成人期]]にピークを迎えた後、しばらくの平坦期(高原期)を経て、中年期に低下し始めるという二次関数([[wikipedia:ja:放物線|放物線]])形の生涯発達パタンをとる<ref><pubmed>14962399</pubmed></ref>。特に、60歳以降の高齢期の減退は急激である<ref><pubmed>17612814</pubmed></ref>。 | ||
児童において顕著にみられる行動パタンは、前回あるいは慣習的に行っている行動への固執である。例えば、新しい課題ルールに切り替わった時に、何をすべきかについては正しく答えられれるにも関わらず、正しい運動反応を行えず古い課題ルールに基づいて反応をしてしまうなどの行動が見られ<ref>'''P D Zelazo, D Frye, T Rapus'''<br>An age-related dissociation between knowing rules and using them<br>''Cognitive Development, 11(1), 37-63'':1996</ref>、顕在的なルール認識ではなく[[行動の抑制]]が上手く行えていない事が示唆される。児童期から思春期にかけての実行機能の発達においては、慣習的行動への固執の克服、刺激を目の前にした反応的な制御から刺激不在でも事前の準備を行う順向的制御へ、外的駆動型制御から内的駆動型制御へという3つの変化が現れ、より柔軟な行動を行えるようになる<ref>'''Y Munakata, H R Snyder, C H Chatham'''<br>Developing cognitive control: Three key transitions<br>''Current Directions in Psychological Science, 21(2), 71-77'':2012</ref>。 | |||
近年、[[自己制御]]([[セルフコントロール]] | 近年、[[自己制御]]([[セルフコントロール]])が上手く行えない児童は、上手く行える児童に比べ、30年後の健康状態が悪く、所得が少なく、また犯罪を犯す傾向が高くなるという知見が示されるに至り<ref><pubmed>21262822</pubmed></ref>、実行機能のトレーニングを行う介入研究が盛んになりつつある<ref name=ref4><pubmed>21852486</pubmed></ref>。 | ||
===遺伝と環境=== | ===遺伝と環境=== | ||
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==訳語の問題== | ==訳語の問題== | ||
類似概念である中央実行系にも言えることであるが、「実行」という訳語がついているものの、この概念は必ずしも何らかの行為の実行をモデル化したものではなく、行為の実行に至るまでの高次認知過程の制御を主たる問題とするものである。「統御」あるいは「執行部」「管理職」など、高次からの情報管理や制御という意味を持つ他の訳語の方が、概念が指し示すニュアンスに近い。実際、中華人民共和国においては、執行機能という訳語があてられている。 | |||
ただし、神経心理学やリハビリテーションの分野においては遂行機能とも訳され、前頭葉損傷による高次脳機能障害の説明概念として機能しており、目標設定や、行動の抑制・制御が行えるかといった行為能力に重きが置かれている<ref>'''石合 純夫'''<br>高次脳機能障害学<br>''医歯薬出版'':2003</ref>。しかし、遂行機能の検査として使われているものはウィスコンシン・カード分類課題など、実行機能測定にも使われる課題と同一であり、概念そのものに異同はない<ref><pubmed>12426407</pubmed></ref><ref><pubmed>17786559</pubmed></ref>。 | ただし、神経心理学やリハビリテーションの分野においては遂行機能とも訳され、前頭葉損傷による高次脳機能障害の説明概念として機能しており、目標設定や、行動の抑制・制御が行えるかといった行為能力に重きが置かれている<ref>'''石合 純夫'''<br>高次脳機能障害学<br>''医歯薬出版'':2003</ref>。しかし、遂行機能の検査として使われているものはウィスコンシン・カード分類課題など、実行機能測定にも使われる課題と同一であり、概念そのものに異同はない<ref><pubmed>12426407</pubmed></ref><ref><pubmed>17786559</pubmed></ref>。 |
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