「エンドフェノタイプ」の版間の差分

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=== 神経生理機能   ===
=== 神経生理機能   ===


神経生理機能については、単純な非言語性の刺激を用いるため、年齢、人種、用いる言語に関係なく簡便に施行できるという利点がある。統合失調症では、プレパルス抑制テスト、眼球運動(アンチサッケード課題)、P50、ミスマッチネガティビティ、NIRSなどが用いられるが、遺伝性についても示されているものはプレパルス抑制テストと眼球運動である<ref><pubmed>17088422</pubmed></ref> <ref><pubmed>17984393</pubmed></ref>。その中でも、PPIはマウスなどの動物モデルにおいても同様な検査が可能であるため、汎用されており、関連する遺伝子についての知見も多い<ref>'''高橋秀俊、橋本亮太、岩瀬真生、石井良平、武田雅俊'''<br>統合失調症の中間表現型 精神生理学的指標<br>''精神科'':2011; 18: 14-18</ref>。
神経生理機能については、単純な非言語性の刺激を用いるため、年齢、人種、用いる言語に関係なく簡便に施行できるという利点がある。統合失調症では、プレパルス抑制テスト、眼球運動(アンチサッケード課題)、P50、ミスマッチネガティビティ、NIRSなどが用いられるが、遺伝性についても示されているものはプレパルス抑制テストと眼球運動である<ref><pubmed>17088422</pubmed></ref> <ref><pubmed>17984393</pubmed></ref>。その中でも、PPIはマウスなどの動物モデルにおいても同様な検査が可能であるため、汎用されており、関連する遺伝子についての知見も多い<ref>'''高橋秀俊、橋本亮太、岩瀬真生、石井良平、武田雅俊'''<br>統合失調症の中間表現型 精神生理学的指標<br>''精神科'':2011; 18: 14-18</ref>。  


=== その他&nbsp;  ===
=== その他&nbsp;&nbsp;  ===


== 双極性障害  ==
エンドフェノタイプの概念が広がり、死後脳やリンパ芽球における遺伝子発現やパーソナリティー傾向もその候補として考えられるようになってきたが、まだ十分な検討はなされておらず、今後の発展が期待される。


== 今後の方向性と課題  ==
== 双極性障害&nbsp;  ==
 
双極性障害のエンドフェノタイプにエビデンスは、まだ研究報告が少ないため統合失調症のそれよりも小さい。よって、双極性障害においても理想的なエンドフェノタイプは存在していないが、いくつか有力な候補について述べる。<br>認知機能については多数の報告があるが、過去の文献をレビューすると一致度は小さい<ref><pubmed>18582942</pubmed></ref>。但し、その後、processing speed, working memory, and declarative (facial) memoryが有望であるとの報告がされている<ref><pubmed>20124116</pubmed></ref>。神経生理機能については、眼球運動、P50、PPI、P300などが有力ではあるが、すべて統合失調症と重なっている<ref><pubmed>18502737</pubmed></ref>。脳神経画像については、前部辺縁系の体積や情動刺激課題中の辺縁系を中心とした賦活が関与しているという報告が出始めたばかりである<ref><pubmed>21321565</pubmed></ref> <ref><pubmed>18221633</pubmed></ref>。血液細胞におけるカルシウム濃度や培養リンパ芽球における遺伝子発現が、遺伝子多型を反映するものとして有望とされているが、遺伝性などについてはまだ十分な検討がなされていない<ref>'''橋本亮太、大井一高、安田由華、吉田哲彦、武田雅俊'''<br>精神疾患の脳画像解析学と分子生物学の統合  中間表現型としての脳画像解析の現状と展望<br>''分子精神医学'':2007; 7: 214-221</ref>。 <br>
 
== &nbsp;今後の方向性と課題  ==


=== 今後の方向性&nbsp;  ===
=== 今後の方向性&nbsp;  ===
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