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Yutakafurutani (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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IgSF分子群が司る細胞接着の代表例として髄鞘(ミエリン:myelin)形成が挙げられる(図3)。末梢神経系においてはシュワン細胞、中枢神経系においてはオリゴデンドロサイトの細胞膜突起が幾重にもループのように軸索を取り巻くことで髄鞘が形成され、その部分が絶縁体の構造をとることで神経軸索における電気的信号の跳躍伝導に寄与している。隣り合う髄鞘の間は絞輪部(ノード:node)と呼ばれ、Na+チャネルとともにIgSFに属するNeurofascin-186やNrCAMが集積している。軸索と髄鞘の接着部分はパラノード(paranode)、傍パラノード(juxtaparanode)、インターノード(internode)に分けられる。パラノードの髄鞘側にはNeurofascin-155が局在し、軸索側に発現するContactinとヘテロフィリックな結合によって接着構造を形成する。傍パラノードでは、軸索と髄鞘の両側にTAG-1が局在して、ホモフィリックな結合を行っている。インターノードにおいては、P0のホモフィリックな相互作用が髄鞘の圧密化(compaction)を担い、さらにNecl同士の結合によって髄鞘と軸索との接着構造が形成される<ref><pubmed>18803321</pubmed></ref>。 | IgSF分子群が司る細胞接着の代表例として髄鞘(ミエリン:myelin)形成が挙げられる(図3)。末梢神経系においてはシュワン細胞、中枢神経系においてはオリゴデンドロサイトの細胞膜突起が幾重にもループのように軸索を取り巻くことで髄鞘が形成され、その部分が絶縁体の構造をとることで神経軸索における電気的信号の跳躍伝導に寄与している。隣り合う髄鞘の間は絞輪部(ノード:node)と呼ばれ、Na+チャネルとともにIgSFに属するNeurofascin-186やNrCAMが集積している。軸索と髄鞘の接着部分はパラノード(paranode)、傍パラノード(juxtaparanode)、インターノード(internode)に分けられる。パラノードの髄鞘側にはNeurofascin-155が局在し、軸索側に発現するContactinとヘテロフィリックな結合によって接着構造を形成する。傍パラノードでは、軸索と髄鞘の両側にTAG-1が局在して、ホモフィリックな結合を行っている。インターノードにおいては、P0のホモフィリックな相互作用が髄鞘の圧密化(compaction)を担い、さらにNecl同士の結合によって髄鞘と軸索との接着構造が形成される<ref><pubmed>18803321</pubmed></ref>。 | ||
=== 軸索ガイダンス | === 軸索ガイダンス [[Image:Yutakafurutani fig 4.jpg|thumb|right|500px|図4 脊髄における交連神経細胞の軸索誘導]] === | ||
神経細胞はその軸索を、周囲に存在する様々な軸索誘引因子や軸索反発因子を認識しながら伸長させ、最終的に正しい標的細胞と機能的なシナプスを形成する。この軸索ガイダンス機構には多くのIgSF分子群が関与している。 その代表例として脊髄における交連神経細胞の軸索投射が挙げられる(図4)。脊髄の背側部に存在する交連神経細胞の軸索は、NgCAM及びaxonin-1の作用によって束状化されながら、底板(floor plate)から分泌される誘引因子ネトリン(netrin)の濃度勾配に従って腹側方向へと伸長する。この時、ネトリンの受容体であるDCCが交連軸索に発現して機能している。次に、交連軸索に発現するaxonin-1と底板に発現するNrCAMの相互作用によって、軸索の底板への侵入が起こる。いったん正中線を横切って反対側へと到達した軸索は、吻側方向へと脳へと向けて伸長し、二度と同側に戻ることはない。これは底板から分泌される軸索反発因子スリット(slit)と軸索に発現するその受容体Roboの相互作用によるものである<ref><pubmed>7758116</pubmed></ref><ref><pubmed>17029581</pubmed></ref><ref><pubmed>9568394</pubmed></ref>。これら脊髄交連軸索のガイダンス機構において機能する分子群のうち、NgCAM、axonin-1、DCC、NrCAM及びRoboがIgSFに属する。 | |||
軸索ガイダンスにおいてIgSF分子群が機能する別の例として、嗅上皮から嗅球へと至る一次嗅覚神経回路の構築メカニズムが挙げられる。特定の嗅覚受容体を発現する嗅細胞群は、それらの軸索を嗅球の同じ糸球体へと集束させる。これは脳における匂い情報コーディングおよびプロセシングの基盤となっており、Kirrel 2、Kirrel 3、BIG-2(Contactin 4)などのIgSF分子群が標的糸球体への軸索集束過程において重要な役割を果たしている<ref><pubmed>18367085</pubmed></ref><ref><pubmed>17129788</pubmed></ref>。 | 軸索ガイダンスにおいてIgSF分子群が機能する別の例として、嗅上皮から嗅球へと至る一次嗅覚神経回路の構築メカニズムが挙げられる。特定の嗅覚受容体を発現する嗅細胞群は、それらの軸索を嗅球の同じ糸球体へと集束させる。これは脳における匂い情報コーディングおよびプロセシングの基盤となっており、Kirrel 2、Kirrel 3、BIG-2(Contactin 4)などのIgSF分子群が標的糸球体への軸索集束過程において重要な役割を果たしている<ref><pubmed>18367085</pubmed></ref><ref><pubmed>17129788</pubmed></ref>。 |
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