「ソース・モニタリング」の版間の差分

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=== 分化(differentiation)  ===
=== 分化(differentiation)  ===


 情報が活性化されるにつれて特定の記憶特徴(色,音,感情など。e.g. ジョーの声のトーンはメアリーのトーンより深い)がまとまり,定着するという考え方(Johnston, 93)。 情報は,他の情報との結びつきが弱い場合,または強く活性化していても単独の特徴しか活性化していない場合には比較的分化しにくいとされている,言い換えれば,2つ以上の特徴がまとまってある出来事と他の出来事を分けるような基盤を形作るときに分化が最大になる。より分化した情報は2つ以上の特定の特徴を含んでいるため,分化していない情報へアクセスする方が分化した情報にアクセスするよりも速いということがよくある。
 情報が活性化されるにつれて特定の記憶特徴(色,音,感情など。e.g. ジョーの声のトーンはメアリーのトーンより深い)がまとまり,定着するという考え方(Johnston, 93)。 情報は,他の情報との結びつきが弱い場合や,強く活性化していても単独の特徴しか活性化していない場合には比較的分化しにくいとされている,言い換えれば,2つ以上の特徴がまとまってある出来事と他の出来事を分けるような基盤を形作るときに分化が最大になる。より分化した情報は2つ以上の特定の特徴を含んでいるため,分化していない情報へアクセスする方が分化した情報にアクセスするよりも速いということがよくある。


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 特定の情報や分化していない情報は,それぞれ想起(recollection)過程や精通(familiarity)過程から発生する(Jacoby, 1991),またはそれぞれ覚える(remembering)または知る(knowing)という主観的な経験に対応する(e.g. Gardiner, 2008)という考え方。  ソース・モニタリング・フレームワーク(Johnson, 1993;Source Monitoring Framework,以下,SMF)では,想起と精通は2つの異なる過程を指すラベルではなく,主観的経験の種類だと定義している,  
 特定の情報や分化していない情報は,それぞれ想起(recollection)過程や精通(familiarity)過程から発生する(Jacoby, 1991),またはそれぞれ覚える(remembering)または知る(knowing)という主観的な経験に対応する(e.g. Gardiner, 2008)という考え方。  ソース・モニタリング・フレームワーク(Johnson, 1993;Source Monitoring Framework,以下,SMF)では,想起と精通は2つの異なる過程を指すラベルではなく,主観的経験の種類だと定義している,  
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= 神経基盤  =
= 神経基盤  =


 Johnson et al 93, p.19確認 前頭野とソースモニタリング・エラーの関連を示唆すつ観測がいくつかある。このエラーは健忘症の患者や高齢者,器質性脳疾患患者に見られる。ソースモニタリングにとって重要な前頭野では多くのプロセスが生じており,その中には特徴や構造を統合し,戦略的な検索を行う海馬と関連する回路も含まれている。情報のコード化や検索時に物理的,認知的に特徴を統合しまとめるのを推進する過程は,記憶の情報源を辿るのにとても重要である。
 Johnson et al 93, p.19確認 前頭野とソースモニタリング・エラーの関連を示唆する観測がいくつかある。このエラーは健忘症の患者や高齢者,器質性脳疾患患者に見られる。ソースモニタリングにとって重要な前頭野では多くのプロセスが生じており,その中には特徴や構造を統合し,戦略的な検索を行う海馬と関連する回路も含まれている。情報のコード化や検索時に物理的,認知的に特徴を統合しまとめるのを推進する過程は,記憶の情報源を辿るのにとても重要である。


( 前頭野を損傷した患者は高齢者や若者と同じだけの事実を思い出すことができるが,しばしば事実を誤った情報源に結びつけがちであることから,前頭野が事実とその事実を学んだ背景を結びつける役割を果たしていると考えられている(Janowsky89)。)  
( 前頭野を損傷した患者は高齢者や若者と同じだけの事実を思い出すことができるが,しばしば事実を誤った情報源に結びつけがちであることから,前頭野が事実とその事実を学んだ背景を結びつける役割を果たしていると考えられている(Janowsky89)。)  
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'''側頭葉内側部'''  
'''側頭葉内側部'''  
 側頭葉内側部(Medial Temporal Lobes;以下MTL)はエピソード記憶に関連すると考えられている領域で,歯状回,海馬,鉤状回,内嗅皮質,扁桃体を含んでいる。
 ソースモニタリングにとって大事なのは特徴や特徴軍を統合する過程であるが,海馬は「覚えている」という反応をするアイテムをテストしたりコードするときの方が「知っている」という反応をする時より,正しく同定されたアイテムの方が間違って同定されたアイテムをコードするときよりも活動が活発になることが知られている(Davachi, 2006)。これは,アイテムをコードし記憶している最中に,海馬が記憶特徴と複雑なエピソード記憶を結びつけるのに関わっていることを示している。
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'''前頭全野'''  
'''前頭全野'''  


'''頭頂葉とその他の領野'''  
'''頭頂葉とその他の領野'''  


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=== Old-new recognition  ===
=== Old-new recognition  ===


 old-new recognition は認識記憶を検査するのに用いられる測定法。被験者はアイテムが新しいかをnoで,古いかをyesで答える。この時,エラーはソースモニタリングで生じるのと同様の認識プロセスで生じる。対称がとても似ているときや,情報を検索するのが難しい環境(気が散る,ストレスなど),または何らかの理由で判断過程が機能していないときにエラーが頻繁に生じる。
 認識記憶を検査するのに用いられる測定法。被験者はアイテムが新しいか古いかをyesかnoで答える。この時,エラーはソースモニタリングで生じるのと同様の認識プロセスで生じる。対象がとても似ているときや,情報を検索するのが難しい環境(気が散る,ストレスなど),または何らかの理由で判断過程が機能していないときにエラーが頻繁に生じる。


=== Remember-know  ===
=== Remember-know  ===
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=== 潜在記憶(?,Cryptomnesia)  ===
=== 潜在記憶(?,Cryptomnesia)  ===


 Cryptomnesiaはわざとではない剽窃のことで,本当は以前に自分で,もしくは外的情報源によって生み出されたものなのにもかかわらず,自分で作り出したと信じていること。最初にその情報にさらされたときに妨害されることで生じる。その情報が無意識に得られたとしても,その情報に関連する脳の領域は短時間ではあるが活性化する。そのため,外から得られた情報や既に思いついていた考えが,今新たに生まれた考えのように思えてしまう。典型的にはこの情報源判断にはヒューリスティック過程が用いられる。初めに情報に触れたときに干渉があるため,ヒューリスティック過程では 情報源を内的に生み出されたものだと判断してしまいがちになる。  
 Cryptomnesiaはわざとではない剽窃のことで,ある作品や考えが,本当は以前に自分で,もしくは外的情報源によって生み出されたものなのにもかかわらず,現在自分で作り出したものだと信じていること。最初にその情報にさらされたときに何らかの妨害があったことで生じる。その情報が無意識に得られたとしても,その情報に関連する脳の領域は短時間ではあるが活性化する。そのため,外から得られた情報や既に思いついていた考えが,今新たに生まれた考えのように思えてしまう。典型的にはこの情報源判断にはヒューリスティック過程が用いられる。初めに情報に触れたときに干渉があるため,ヒューリスティック過程では 情報源を内的に生み出されたものだと判断してしまいがちになる。  


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