「半規管と耳石器」の版間の差分

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 各半規管は[[卵形嚢]]に開いており、その開口部の一端は、ふくれて[[wikipedia:ja:膨大部|膨大部]](ampulla)を形成し、この内部に[[wikipedia:ja:膨大部稜|膨大部稜]](crista)という[[wikipedia:ja:感覚上皮|感覚上皮]]部がある。前および外側半規管では前端が、後半規管では後端が膨大部を形成している。感覚上皮の表面には感覚細胞([[有毛細胞]] hair cell)があり、有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなる[[クプラ]](cupula)によって包みこまれている。頭部が回転すると、半規管内の内リンパ液は[[wikipedia:ja:慣性の法則|慣性の法則]]により、そのままその位置に留まろうとするが、頭部に固定されている有毛細胞は、頭部と一緒に動くので、結果として、内リンパ液は、頭の回転と逆方向に流れる。これにより、頭の回転と逆方向にクプラの偏位をきたし、これが感覚毛の屈曲をもたらし、有毛細胞への刺激となる。  
 各半規管は[[卵形嚢]]に開いており、その開口部の一端は、ふくれて[[wikipedia:ja:膨大部|膨大部]](ampulla)を形成し、この内部に[[wikipedia:ja:膨大部稜|膨大部稜]](crista)という[[wikipedia:ja:感覚上皮|感覚上皮]]部がある。前および外側半規管では前端が、後半規管では後端が膨大部を形成している。感覚上皮の表面には感覚細胞([[有毛細胞]] hair cell)があり、有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなる[[クプラ]](cupula)によって包みこまれている。頭部が回転すると、半規管内の内リンパ液は[[wikipedia:ja:慣性の法則|慣性の法則]]により、そのままその位置に留まろうとするが、頭部に固定されている有毛細胞は、頭部と一緒に動くので、結果として、内リンパ液は、頭の回転と逆方向に流れる。これにより、頭の回転と逆方向にクプラの偏位をきたし、これが感覚毛の屈曲をもたらし、有毛細胞への刺激となる。  


 前庭感覚細胞は、多数の感覚毛([[不動毛]] stereocilia)と1本の[[動毛]](kinocilium)を持つ。不動毛は動毛に近いほど長く、遠ざかるにつれて短くなる。有毛細胞に興奮を起こさせるのは、感覚毛の動毛側への屈曲であり、反対方向への屈曲は抑制として働き、その結果、それぞれが一次前庭神経の活動を増加、減少させる。
 前庭感覚細胞の感覚毛は、多数の[[不動毛]](stereocilia)と1本の[[動毛]](kinocilium)からなる。不動毛は動毛に近いほど長く、遠ざかるにつれて短い。有毛細胞に興奮を起こさせるのは、不動毛の動毛側への屈曲であり、反対方向への屈曲は抑制として働き、その結果、それぞれが一次前庭神経の活動を増加、減少させる。(このため、厳密な意味での感覚毛とは不動毛のことであるが、広義には動毛を含めて感覚毛と呼ぶことがある。)


 半規管では有毛細胞が全て一定方向に並んでおり、その感覚毛の配列の方向性のために、外側半規管では膨大部へ向かう内リンパ流(向膨大部流)により、前半規管、後半規管は、膨大部から遠ざかる向きの内リンパ流(反膨大部流)により興奮する。それとは逆方向への内リンパ流によって、各半規管は抑制される。  
 半規管では有毛細胞が全て一定方向に並んでおり、その感覚毛の配列の方向性のために、外側半規管では膨大部へ向かう内リンパ流(向膨大部流)により、前半規管、後半規管は、膨大部から遠ざかる向きの内リンパ流(反膨大部流)により興奮する。それとは逆方向への内リンパ流によって、各半規管は抑制される。  
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5. Hardy M. Observations on the innervation of the macula sacculi in man. Anatomical Record 59: 403-418, 1934. DOI: 10.1002/ar.1090590403(PMIDなし)
5. '''Hardy M.''' <br>Observations on the innervation of the macula sacculi in man. <br>''Anatomical Record'' 59: 403-418, 1934. DOI: 10.1002/ar.1090590403  


6. 杉内友理子・篠田義一,運動制御にかかわる脊髄神経機構 (6)末梢迷路障害による症状,脊椎脊髄ジャーナル 7(3):235-240, 1994.  
6. '''杉内友理子・篠田義一'''<br>運動制御にかかわる脊髄神経機構 (6)末梢迷路障害による症状,<br>''脊椎脊髄ジャーナル'' 7(3):235-240, 1994.  


7. Spoendlin HH. Ultrastructure of the vestiular sense organ. In: The vestibular system and its disease, edited by Wolfson RJ. Philadelphia: University of Pennsylvania Press, 1966. PMID: 5929505  
7. '''Spoendlin HH.''' <br>Ultrastructure of the vestiular sense organ. <br>In: The vestibular system and its disease, edited by Wolfson RJ. <br>Philadelphia: University of Pennsylvania Press, 1966. PMID: 5929505  


8. 篠田義一、眼球運動の生理学、眼球運動の神経学、小松崎篤、篠田義一、丸尾敏夫、医学書院、1985、p.1-147.  
8. '''篠田義一'''<br>眼球運動の生理学、眼球運動の神経学、<br>小松崎篤、篠田義一、丸尾敏夫<br>医学書院、1985、p.1-147.  


<br> (執筆者:杉内友理子 担当編集委員:藤田一郎)
 
(執筆者:杉内友理子 担当編集委員:藤田一郎)