31
回編集
Ryouheinakayama (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Ryouheinakayama (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
19行目: | 19行目: | ||
メタ認知は大きく3つに分類されている。 | メタ認知は大きく3つに分類されている。 | ||
1、メタ認知的知識(metacognitive knowledge/ | 1、メタ認知的知識(metacognitive knowledge/awareness)は、認知に関する知識。自己だけではなく、他者の認知や記憶についての知識も含まれる(例「AさんはBさんよりも想像力に富んでいる」)。一般的にメタ記憶もこれに含まれる。 | ||
2、メタ認知的調整(metacognitive regulation)は、学習の制御を補うような行動を通し、認知や学習をの経験を調整することである。 | 2、メタ認知的調整(metacognitive regulation)は、学習の制御を補うような行動を通し、認知や学習をの経験を調整することである。 | ||
29行目: | 29行目: | ||
メタ認知は、学習場面において思考過程を制御している思考レベルに等しい。学習課題にアプローチする方法の計画や、モニタリングした認知活動に関する理解、課題遂行状況の評価などは、メタ認知的な特徴を持つスキルといえる。 | メタ認知は、学習場面において思考過程を制御している思考レベルに等しい。学習課題にアプローチする方法の計画や、モニタリングした認知活動に関する理解、課題遂行状況の評価などは、メタ認知的な特徴を持つスキルといえる。 | ||
同様に、課題遂行に関する動機づけもメタ認知的スキルのひとつである。内的または外的な妨害刺激を知る能力や努力を継続する能力はメタ認知的な実行機能といえる。メタ認知は学習の成功を左右するため、教育の場では学生と教師の両者がメタ認知的スキルを身につけることが重要である。広範なメタ認知的スキルを発揮する学生は、試験ではより良い成績をあげ、仕事の効率も格段にあがる。そうした自律的な学習者は、適切な「道具」を用いて学習の方略とスキルを修正し、学習の効率を高めることができる。さらにメタ認知に優れれば、学習の障壁を事前に察知し対処したり、学習の方略とスキルを変更したりすることで目標を達成する。 | |||
メタ認知者は、自己の長所や短所、取り組んでいる課題の特性、役に立つ(と思われる)「道具」またはスキルを把握することができる。「道具」のレパートリーが広範なほど成功しやすく、もしその「道具」が状況に依存しない一般的特性を備えるならば、様々な学習状況において通用する。 | メタ認知者は、自己の長所や短所、取り組んでいる課題の特性、役に立つ(と思われる)「道具」またはスキルを把握することができる。「道具」のレパートリーが広範なほど成功しやすく、もしその「道具」が状況に依存しない一般的特性を備えるならば、様々な学習状況において通用する。 | ||
45行目: | 45行目: | ||
= '''神経基盤''' = | = '''神経基盤''' = | ||
脳損傷患者の症例研究では、前頭前野(prefrontal cortex)がメタ記憶あるいはメタレベルの認知過程と深く関わっていることがわかってきている。 | |||
課題遂行時とそれに関する二次的(メタ認知的)行動時の、神経活動あるいは人間以外の動物では個々の細胞の電気的活動を独立に記録する手法も取り入れられている。しかし、それらの手法ではメタ認知的過程に関する神経表現と行動そのものに関する神経表現の切り分けが課題となっている。<br> | |||
神経精神病の症例研究において、自身の病状のある面に関する洞察と他の面に関する洞察が全く結び付かないケースがある。また、統合失調症の患者では、健常者と異なり、自省時に前内側前頭前野(anterior medial prefrontal cortex)の活動がみられず、内側前頭前野とメタ認知の関連が指摘されている。 | |||
= '''過去の研究''' = | = '''過去の研究''' = | ||
57行目: | 57行目: | ||
=== 各分野におけるメタ認知研究 === | === 各分野におけるメタ認知研究 === | ||
発達心理学、教育心理学の分野では、主に子供の課題遂行能力や学習能力の向上という視点から研究が行われてきた。Piagetを中心とする自己制御(self- | 発達心理学、教育心理学の分野では、主に子供の課題遂行能力や学習能力の向上という視点から研究が行われてきた。Piagetを中心とする自己制御(self-regulation)研究では、人間は「能動的に」調整/学習すると考えられた。 | ||
実験心理学では、モニタリング(自身の記憶に関する判断)と制御(判断を行動に結びつける)の間のメタ認知の質的な違いに注目した研究が多い。認知神経科学では、メタ認知的なモニタリングと制御は、他の皮質領野からの入力やフィードバックを受けた前頭前野における機能と考えられている。人工知能やモデリングの分野においても、メタ認知研究が行われている。<br> | 実験心理学では、モニタリング(自身の記憶に関する判断)と制御(判断を行動に結びつける)の間のメタ認知の質的な違いに注目した研究が多い。認知神経科学では、メタ認知的なモニタリングと制御は、他の皮質領野からの入力やフィードバックを受けた前頭前野における機能と考えられている。人工知能やモデリングの分野においても、メタ認知研究が行われている。<br> | ||
106行目: | 106行目: | ||
T. O. Nelson & L. Narens, 1994; Metacognition. Knowing about knowing | T. O. Nelson & L. Narens, 1994; Metacognition. Knowing about knowing | ||
Shimamura, 2000; Toward a cognitive neuroscience of metacognition | |||
Otani & Widner, 2005; Metacognition: New Issues and Approaches: Guest Editor's Introduction | Otani & Widner, 2005; Metacognition: New Issues and Approaches: Guest Editor's Introduction | ||
120行目: | 122行目: | ||
Uehara, 2011; メタ記憶の発達に関する考察ー概観と展望ー | Uehara, 2011; メタ記憶の発達に関する考察ー概観と展望ー | ||
David, Bedford, Wiffen & Gilleen, 2012; Failures of metacognition and lack of insight in neuropsychiatric disorders | |||
Fleming & Dolan, 2012; The neural basis of metacognition ability | |||
Smith, Couchman & Beran, 2012; The highs and lows of theoretical interpretation in animal-metacognition research | |||
Stephen, Raymond & Christopher, 2012; Metacognition: computation, biology and function | Stephen, Raymond & Christopher, 2012; Metacognition: computation, biology and function |
回編集