16,040
回編集
細 (→臨床薬理学・生化学) |
細 (→生物学的精神医学とは) |
||
15行目: | 15行目: | ||
続いて、[[wikipedia:John Hughlings Jackson|John Hughlings Jackson]]は、神経系の進化と疾病による解体という彼の考想を精神病にも適用し、1895年の「精神病の諸要因」の論文で、精神機能の座は、脳の中でも最高次の領域であり、その領域も階層的に組織されていて、病的過程により、上位の機能が喪失すると、それによって制御(control)されていた下位の機能が解放され、陽性の精神症状が出現するのであろうと述べた。 | 続いて、[[wikipedia:John Hughlings Jackson|John Hughlings Jackson]]は、神経系の進化と疾病による解体という彼の考想を精神病にも適用し、1895年の「精神病の諸要因」の論文で、精神機能の座は、脳の中でも最高次の領域であり、その領域も階層的に組織されていて、病的過程により、上位の機能が喪失すると、それによって制御(control)されていた下位の機能が解放され、陽性の精神症状が出現するのであろうと述べた。 | ||
===近年の動向=== | |||
さて、科学的研究の出発点は、現象の精確な記述にある。1980年にアメリカ精神医学会のタスクフォース(委員長:Robert Spitzer)の編集による、「[[精神障害の診断・統計マニュアル 第3版]]」([[Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, third edition]], [[DSM-Ⅲ]])が公表された。これは、記述的・非理論的立場を徹底させた[[wikipedia:ja:症候学|症候学]]な診断基準であり、精神病理学的な深みに乏しいが、精神疾患分類の国際的枠組みを提供することになった。さらに、1994年の[[DSM-Ⅳ]]では、「[[器質性精神障害]]」という名称は使用されなくなったが、その理由として、「本書の中の他の精神障害が生物学的基礎をもたないというような誤った印象を与えるから」と説明されている。したがって、「器質性精神障害」以外の精神障害においても、生物学的基礎が見いだされる可能性があるという立場である。 | さて、科学的研究の出発点は、現象の精確な記述にある。1980年にアメリカ精神医学会のタスクフォース(委員長:Robert Spitzer)の編集による、「[[精神障害の診断・統計マニュアル 第3版]]」([[Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, third edition]], [[DSM-Ⅲ]])が公表された。これは、記述的・非理論的立場を徹底させた[[wikipedia:ja:症候学|症候学]]な診断基準であり、精神病理学的な深みに乏しいが、精神疾患分類の国際的枠組みを提供することになった。さらに、1994年の[[DSM-Ⅳ]]では、「[[器質性精神障害]]」という名称は使用されなくなったが、その理由として、「本書の中の他の精神障害が生物学的基礎をもたないというような誤った印象を与えるから」と説明されている。したがって、「器質性精神障害」以外の精神障害においても、生物学的基礎が見いだされる可能性があるという立場である。 | ||
20世紀末における生物学的精神医学の立場は、[[wikipedia:Eric R Kandel|Eric R Kandel]](1998)の論文<ref><pubmed>9545989</pubmed></ref>に明確に述べられている。Kandelは、 | 20世紀末における生物学的精神医学の立場は、[[wikipedia:Eric R Kandel|Eric R Kandel]](1998)の論文<ref><pubmed>9545989</pubmed></ref>に明確に述べられている。Kandelは、 |