「意識障害」の版間の差分

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== 意識を構成する要素 ==
== 意識を構成する要素 ==


[[Image:意識障害1.png|thumb|300px|'''図1.意識の3要素'''<br>太田富雄・松谷雅雄 「脳神経外科学 第8版」金芳堂 p.170より改変して転載]]
[[Image:意識障害1.png|thumb|300px|'''図1.意識の3要素'''<br>太田富雄・松谷雅雄 「脳神経外科学 第8版」金芳堂 p.170より改変して転載]]


 意識障害を厳密に定義することは困難であるため、臨床医学では、いくつかの意識評価スケールが用いられている。その基本的な考え方においては、意識は便宜的に、1.覚醒、2.運動反応、3.意識内容、の3つの要素に分けて評価される(図1)。
 意識障害を厳密に定義することは困難であるため、臨床医学では、いくつかの意識評価スケールが用いられている。その基本的な考え方においては、意識は便宜的に、1.覚醒、2.運動反応、3.意識内容、の3つの要素に分けて評価される(図1)。
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 意識の3要素は先述のとおり便宜的なものであり、それぞれの要素は本来的に同格ではない。意識障害の要素としては覚醒の度合いが最も重要であり、覚醒なしに意識内容はあり得ないし、命令に従うことも不可能である。GCSでは3要素にそれぞれ覚醒状態から覚醒不能の重症レベルまでが含まれ、命令に従う(M-6)場合は覚醒しており、他の二項目のスコアは不要とも考えられる。GCSの運動項目だけで、意識障害レベルを表現することもできる、などの批判もある。  
 意識の3要素は先述のとおり便宜的なものであり、それぞれの要素は本来的に同格ではない。意識障害の要素としては覚醒の度合いが最も重要であり、覚醒なしに意識内容はあり得ないし、命令に従うことも不可能である。GCSでは3要素にそれぞれ覚醒状態から覚醒不能の重症レベルまでが含まれ、命令に従う(M-6)場合は覚醒しており、他の二項目のスコアは不要とも考えられる。GCSの運動項目だけで、意識障害レベルを表現することもできる、などの批判もある。  
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{| width="657" cellspacing="1" cellpadding="1" border="1" height="295"
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| 大分類  
| style="text-align:center" | 大分類  
| 小分類  
| style="text-align:center" | 小分類  
| colspan="2" | スコア
| style="text-align:center" colspan="2" | スコア
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| A.開眼 (E)<br>(eye opening)  
| A.開眼 (E)<br>(eye opening)  
| 自発的に (spontaneous)<br>言葉により (to speech)<br>痛み刺激により (to pain)<br>開眼しない (nil)  
| 自発的に (spontaneous)<br>言葉により (to speech)<br>痛み刺激により (to pain)<br>開眼しない (nil)  
| E  
| style="text-align:center" | E  
| 4<br>3<br>2<br>1
| style="text-align:center" | 4<br>3<br>2<br>1
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| B.言葉による応答 (V)<br>(verbal response)  
| B.言葉による応答 (V)<br>(verbal response)  
| 見当識あり (orientated)<br>錯乱状態 (confused conversation)<br>不適当な言葉 (inappropriate words)<br>理解できない声 (incomprehensible sounds)<br>発声がみられない (nil)  
| 見当識あり (orientated)<br>錯乱状態 (confused conversation)<br>不適当な言葉 (inappropriate words)<br>理解できない声 (incomprehensible sounds)<br>発声がみられない (nil)  
| V  
| style="text-align:center" | V  
| 5<br>4<br>3<br>2<br>1
| style="text-align:center" | 5<br>4<br>3<br>2<br>1
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| C.運動による最良の応答 (M)<br>(best motor response)  
| C.運動による最良の応答 (M)<br>(best motor response)  
| 命令に従う (obeys)<br>痛み刺激部位に手足をもってくる (localises)<br>四肢を屈曲する (flexes)<br>  逃避 (withdraws)<br>  
| 命令に従う (obeys)<br>痛み刺激部位に手足をもってくる (localises)<br>四肢を屈曲する (flexes)<br>  逃避 (withdraws)<br>  
  異常屈曲 (abnormal flexion)<br>四肢伸展 (extends)<br>全く動かさない (nil)  
  異常屈曲 (abnormal flexion)<br>四肢伸展 (extends)<br>全く動かさない (nil)  
 
| style="text-align:center" | M  
| M  
| style="text-align:center" | 6<br>5<br> <br>4<br>3<br>2<br>1<br>
| 6<br>5<br> <br>4<br>3<br>2<br>1<br>
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Teasdale G and Jennett B: Acta Neurochir (Wien) 34: 45, 1976
Teasdale G and Jennett B: Acta Neurochir (Wien) 34: 45, 1976
Ohta T, et al.: Neurol Surg 2: 623, 1974
Ohta T, et al.: Neurol Surg 2: 623, 1974
{| width="657" cellspacing="1" cellpadding="1" border="1" height="295"
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| 0.意識清明
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|Ⅰ.刺激しないでも覚醒している状態(1桁で表現)<br>  (delirium, confusion, senselessness)<br>  1. だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない<br>  2. 見当識障害がある<br>  3. 自分の名前、生年月日がいえない
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|Ⅱ.刺激すると覚醒する状態 —刺激をやめると眠り込む—(2桁で表現)<br>  (stupor, lethargy, hypersomnia, somnolence, drosiness)<br>  10.普通の呼びかけで容易に開眼する<br>    〔合目的な運動(例えば、右手を握れ,離せ)をするし言葉も出るが間違いが多い〕<br>  20.大きな声または体をゆさぶることにより開眼する<br>    〔簡単な命令に応じる。例えば、離握手〕<br>  30.痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと辛うじて開眼する
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|Ⅲ.刺激をしても覚醒しない状態(3桁で表現)<br>  100.痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする<br>  200.痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる<br>  300.痛み刺激に反応しない
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'''表2:ジャパン・コーマ・スケール (Japan Coma Scale; JCS、3-3-9度方式)'''


== 慢性期における意識障害 ==
== 慢性期における意識障害 ==