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Kinichinakashima (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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== 神経系での働き①:脳内におけるアストロサイト分化誘導 == | == 神経系での働き①:脳内におけるアストロサイト分化誘導 == | ||
STAT3ホモ二量体は転写活性化因子としてグリア線維酸性タンパク質glial fibrillary acidic protein (GFAP)のプロモーターに結合し、転写を促進する。GFAPはアストロサイトで特異的に発現するたんぱく質であり、これまでマウスの神経幹細胞Neural stem cell(NSC)の培養系にIL-6ファミリーサイトカインの一種、LIFを添加し、JAK/STAT3経路を誘導することでアストロサイトへの分化を促進することが明らかとなっている<ref name="ref5" />。 | |||
また、STAT3をシグナル経路下流の転写因子とするLIFなどのサイトカイン群と、smadをシグナル経路下流の転写因子とするBMP2などのサイトカイン群(TGF-βスーパーファミリー)の両者は別々の受容体システムを介し、互いに協調的にクロストークして相乗的アストロサイト分化誘導<ref name="ref10"><pubmed> 10205054 </pubmed></ref>することが明らかにされている。 | また、STAT3をシグナル経路下流の転写因子とするLIFなどのサイトカイン群と、smadをシグナル経路下流の転写因子とするBMP2などのサイトカイン群(TGF-βスーパーファミリー)の両者は別々の受容体システムを介し、互いに協調的にクロストークして相乗的アストロサイト分化誘導<ref name="ref10"><pubmed> 10205054 </pubmed></ref>することが明らかにされている。 | ||
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== 神経系での働き③:てんかん発作誘導性神経細胞死への保護作用 == | == 神経系での働き③:てんかん発作誘導性神経細胞死への保護作用 == | ||
生体マウスにおいて興奮性アミノ酸の一種、カイニン酸kainic acid (KA)投与によるてんかん誘導に際し、抗てんかん薬として知られるcarbamazepine (CBZ) | 生体マウスにおいて興奮性アミノ酸の一種、カイニン酸kainic acid (KA)投与によるてんかん誘導に際し、抗てんかん薬として知られるcarbamazepine (CBZ)を投与すると、海馬のCA3領域においてニューロンの死の割合がKA投与のみの個体に比べ、低いことが分かった。また、KA+CBZ投与マウスのCA3ニューロンにおいて、STAT3の発現レベルがmRNA、タンパク質どちらにおいても上昇しており、リン酸化STAT3増加していた。加えて、神経保護タンパク質として知られているB-cell lymphoma-extra large (Bcl-xl)もまた、KA+CBZ投与マウスのCA3ニューロン内で発現レベルが高まっている上、STAT3とSTAT1のヘテロ二量体がBcl-xl遺伝子に直接結合し、発現制御を行う<ref name="ref15"><pubmed> 8390097 </pubmed></ref>という報告から、CBZのシグナルを受けてJAK/STAT3経路が活性化し、Bcl-xlなどの発現を上昇させることで、てんかんによるニューロン死への保護効果が上昇することが示唆された<ref name="ref7" />。 | ||
== 神経系での働き④:脊髄損傷時の反応性アストロサイト分化誘導 == | == 神経系での働き④:脊髄損傷時の反応性アストロサイト分化誘導 == |
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