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=== 情動と扁桃体 === | === 情動と扁桃体 === | ||
知覚された刺激が生体にとって安全で報酬的あるか、あるいは脅威をもたらすものか否かを速やかに評価することは適応上欠かせない<ref name=ref3>'''LeDoux, J. E.'''<br>The emotional brain: the mysterious underpinnings of emotional life.<br>New York: Simon and Schuster.1996</ref>。こうした感覚刺激に対する基本的な価値判断を行うのが、[[側頭葉]] | 知覚された刺激が生体にとって安全で報酬的あるか、あるいは脅威をもたらすものか否かを速やかに評価することは適応上欠かせない<ref name=ref3>'''LeDoux, J. E.'''<br>The emotional brain: the mysterious underpinnings of emotional life.<br>New York: Simon and Schuster.1996</ref>。こうした感覚刺激に対する基本的な価値判断を行うのが、[[側頭葉]]内側部の上内側縁の左右に位置する[[扁桃体]]である。扁桃体は、異なる機能をもった複数の亜核(主には中心核、内側核、皮質核、基底核内側核、基底核外側)から構成され、情動的刺激を検出・評価するとともに、[[顔面神経]]と[[三叉神経]]を介した顔の表情筋の出力にも関わる。 | ||
==== 情動刺激の検出・評価 ==== | ==== 情動刺激の検出・評価 ==== | ||
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扁桃体は、知覚刺激の社会的評価次元の評価にも関与する。例えば、他人種のような外集団は意識的な修正に先立って否定的な情動を生ずる対象とされているが、他人種の顔が提示されると扁桃体が賦活し、その活性値は他人種に対する否定的な潜在的態度と正相関する。 | 扁桃体は、知覚刺激の社会的評価次元の評価にも関与する。例えば、他人種のような外集団は意識的な修正に先立って否定的な情動を生ずる対象とされているが、他人種の顔が提示されると扁桃体が賦活し、その活性値は他人種に対する否定的な潜在的態度と正相関する。 | ||
あるいは、非定型発達([[自閉症]]等)にともなう左扁桃体の機能低下ないし扁桃体を損傷すると、一般的に「近寄り難く信用できない」と評される顔の相貌に対し、これを「好ましい」と評価するポジティブシフトが生じる<ref><pubmed> 11244548 </pubmed></ref>。また、扁桃体に[[ペプチドホルモン]]の一種である[[オキシトシン]]を作用させると、提示される顔を魅力的に評価したり、あるいは他者一般への信頼感が増し、起こりうるリスクに対して寛容になる<ref><pubmed> 15931222 </pubmed></ref>。 | あるいは、非定型発達([[自閉症]]等)にともなう左扁桃体の機能低下ないし扁桃体を損傷すると、一般的に「近寄り難く信用できない」と評される顔の相貌に対し、これを「好ましい」と評価するポジティブシフトが生じる<ref><pubmed> 11244548 </pubmed></ref>。また、扁桃体に[[ペプチドホルモン]]の一種である[[オキシトシン]]を作用させると、提示される顔を魅力的に評価したり、あるいは他者一般への信頼感が増し、起こりうるリスクに対して寛容になる<ref><pubmed> 15931222 </pubmed></ref>。 | ||
=== 情動と腹内側前頭前野 === | === 情動と腹内側前頭前野 === |