「ドーパミン仮説(統合失調症)」の版間の差分

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=== ドーパミン受容体 ===
=== ドーパミン受容体 ===


 メタ解析によれば、線条体のドーパミンD2, D3受容体密度は統合失調症患者で若干上昇している<ref><pubmed> 11710751 </pubmed></ref>が、線条体以外では上昇していない。また、D1受容体は上昇していない。ドーパミンD2受容体には2つのアイソフォームがあるがそれと統合失調症の関係ははっきりしない。<br> 前頭前野ではドーパミン神経伝達は主にD1受容体を介しており、D1受容体の機能不全は統合失調症の認知障害、陰性症状と関係している<ref><pubmed> 17081078 </pubmed></ref>。統合失調症患者におけるD1受容体密度の研究は数少なく、トレーサーの問題もあり一致した結果となっていない。統合失調症における認知機能不全との関係も一致した結論は得られていない。
 メタ解析によれば、線条体のドーパミンD2, D3受容体密度は統合失調症患者で若干上昇している<ref><pubmed> 11710751 </pubmed></ref>が、線条体以外では上昇していない。ドーパミンD2受容体には2つのアイソフォームがあるがそれと統合失調症との関係ははっきりしない。<br> 前頭前野ではドーパミン神経伝達は主にD1受容体を介しており、D1受容体の機能不全は統合失調症の認知障害、陰性症状と関係している<ref><pubmed> 17081078 </pubmed></ref>。統合失調症患者におけるD1受容体密度の研究は数少なく、トレーサーの問題もあり一致した結果となっていない。D1受容体密度と統合失調症における認知機能不全との関係も複雑である。


=== 抗精神病薬治療とドーパミン受容体 ===
=== 抗精神病薬治療とドーパミン受容体 ===
 現在使用されているすべての抗精神病薬は臨床用量でドーパミン受容体をブロックする。線条体のD2受容体のブロックは抗精神病効果に必要であるものの、それだけでは十分ではない。抗精神病反応は早期の線条体でのD2受容体の占拠率に関係しており<ref><pubmed> 17077809 </pubmed></ref>、早期の抗精神病効果はその後の治療効果の予測に役立つことが知られ、また、画像解析もドーパミン受容体が治療反応性の主役であることを支持している。  
 現在使用されているすべての抗精神病薬は臨床用量で線条体のドーパミンD2受容体をブロックする。しかし、線条体のD2受容体のブロックは抗精神病効果に必要であるものの、それだけでは十分ではない。抗精神病反応は早期の線条体でのD2受容体の占拠率に関係しており<ref><pubmed> 17077809 </pubmed></ref>、早期の抗精神病効果はその後の治療効果の予測に役立つことが知られ、また、画像解析もドーパミン受容体が治療反応性の主役であることを支持している。  


== 統合失調症の病因とドーパミン仮説 ==
== 統合失調症の病因とドーパミン仮説 ==
 ドーパミン仮説は統合失調症の病態としてドーパミン系の変調が関わっているとしているがその病因については踏み込んでいない。しかし、統合失調症の病因、リスク因子がドーパミン系の変調に関わっている証拠は得られつつあり、病因病態の共通経路としてドーパミン仮説は捉え直されている。
 ドーパミン仮説は統合失調症の病態としてドーパミン系の変調が関わっているとしているがその病因については踏み込んでいない。しかし、統合失調症の病因、リスク因子がドーパミン系の変調に関わっている証拠は得られつつあり、ドーパミン仮説は病因病態の共通経路として捉え直されている。


=== 遺伝要因 ===
=== 遺伝要因 ===
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