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細 (ページの作成:「英:Object exploration 動物は環境を自発的に探索することにより、環境にある物体の性質や複数の物体の配置に関する知識を獲...」) |
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DNMS課題では、典型的には自由摂食時の体重の80%から85%になるように基準を設けて、動因操作を行う必要がある。ただし、基準が適切でない場合、過活動や反応抑制ができなくなり、課題遂行に悪影響を及ぼす。このため、基準は課題の習得の程度に応じて調節する必要がある。 動物がある左右の特定の一方向ばかりを選択する傾向(サイドバイアス)を形成しないよう注意する必要がある。セッションの中に、矯正試行を挿入し、左右どちらの選択肢も選択する機会を設けることで、サイドバイアスを防ぐことができる。 DNMSの障害が物体認知記憶の失敗によると結論付ける前に、いくつかの他の可能性を考慮しなければならない。例えば、過活動、ストレス反応の変化、反応抑制の問題がDNMSの遂行を妨害する非特異的な効果をもつ可能性がある。損傷実験においては、手術後の回復期間を十分に設け、テスト前に遅延を挿入しない条件で再訓練を行うことも必要だろう。 | DNMS課題では、典型的には自由摂食時の体重の80%から85%になるように基準を設けて、動因操作を行う必要がある。ただし、基準が適切でない場合、過活動や反応抑制ができなくなり、課題遂行に悪影響を及ぼす。このため、基準は課題の習得の程度に応じて調節する必要がある。 動物がある左右の特定の一方向ばかりを選択する傾向(サイドバイアス)を形成しないよう注意する必要がある。セッションの中に、矯正試行を挿入し、左右どちらの選択肢も選択する機会を設けることで、サイドバイアスを防ぐことができる。 DNMSの障害が物体認知記憶の失敗によると結論付ける前に、いくつかの他の可能性を考慮しなければならない。例えば、過活動、ストレス反応の変化、反応抑制の問題がDNMSの遂行を妨害する非特異的な効果をもつ可能性がある。損傷実験においては、手術後の回復期間を十分に設け、テスト前に遅延を挿入しない条件で再訓練を行うことも必要だろう。 | ||
== 物体認知の神経基盤 == | == 物体認知の神経基盤 == | ||
これまで、海馬が物体認知には重要でないことが、各課題での損傷実験から示されている。一方、周嗅領皮質が物体認知には重要であると言われている。これは、視覚刺激が繰り返し提示されたときにおこる周嗅領皮質でのシングルユニット反応やc-fosの発現とも一致している(Aggleton and Brown, 1999)。物体認知記憶の神経基盤の研究は、他の脳部位やサーキットに関しても検討されているが、物体認知の脳内基盤を特定するには至っていない(Mumby, 2005)。 | これまで、海馬が物体認知には重要でないことが、各課題での損傷実験から示されている。一方、周嗅領皮質が物体認知には重要であると言われている。これは、視覚刺激が繰り返し提示されたときにおこる周嗅領皮質でのシングルユニット反応やc-fosの発現とも一致している(Aggleton and Brown, 1999)。物体認知記憶の神経基盤の研究は、他の脳部位やサーキットに関しても検討されているが、物体認知の脳内基盤を特定するには至っていない(Mumby, 2005)。 | ||
== 関連項目 == | |||
== 参考文献 == | |||
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(執筆者:上北朋子 担当編集委員:入來篤史) |