「プロテアソーム」の版間の差分

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 プロテアソームは巨大で複雑な多成分複合体であり、その分子集合には専門的な多数のシャペロン分子が関与している(図4)<ref name=ref22><pubmed>19165213</pubmed></ref> <ref name=ref23><pubmed>21461838</pubmed></ref>。20Sプロテアソームの形成に特化した分子シャペロンであるPAC(Proteasome Assembling Chaperone)1-4は、生合成された7種のαサブユニットと階層性をもって結合し、αリングの形成を促進する。PAC1/PAC2ヘテロ二量体はαリング同士の凝集体の形成を阻止する働きを示し、PAC3/PAC4ヘテロ二量体はαリング上へのαサブユニットの段階的な会合を促進して、迅速に正確なαリングを形成させる。βサブユニット群は、逐次的にαリング上に会合してβリングを形成する。この段階的な会合にはβ2やβ5のプロペプチド及びβ2のC末端伸長領域などが“分子内シャペロン”として作用する<ref name=ref22><pubmed>19165213</pubmed></ref>。さらにもう一つのシャペロンUmp1/POMP/Proteassemblinは、βサブユニットの会合やハーフ・プロテアソームの重合プロセスに関与している<ref name=ref22><pubmed>19165213</pubmed></ref> <ref name=ref24><pubmed>18786393</pubmed></ref>。
 プロテアソームは巨大で複雑な多成分複合体であり、その分子集合には専門的な多数のシャペロン分子が関与している(図4)<ref name=ref22><pubmed>19165213</pubmed></ref> <ref name=ref23><pubmed>21461838</pubmed></ref>。20Sプロテアソームの形成に特化した分子シャペロンであるPAC(Proteasome Assembling Chaperone)1-4は、生合成された7種のαサブユニットと階層性をもって結合し、αリングの形成を促進する。PAC1/PAC2ヘテロ二量体はαリング同士の凝集体の形成を阻止する働きを示し、PAC3/PAC4ヘテロ二量体はαリング上へのαサブユニットの段階的な会合を促進して、迅速に正確なαリングを形成させる。βサブユニット群は、逐次的にαリング上に会合してβリングを形成する。この段階的な会合にはβ2やβ5のプロペプチド及びβ2のC末端伸長領域などが“分子内シャペロン”として作用する<ref name=ref22><pubmed>19165213</pubmed></ref>。さらにもう一つのシャペロンUmp1/POMP/Proteassemblinは、βサブユニットの会合やハーフ・プロテアソームの重合プロセスに関与している<ref name=ref22><pubmed>19165213</pubmed></ref> <ref name=ref24><pubmed>18786393</pubmed></ref>。
 
 
 一方、調節部位である 19S RPの分子集合機構についても、最近、baseを構成するATPase リングの分子集合に関与する4種のbaseシャペロン分子が発見された。これら4分子は、当初、プロテアソームと一時的に結合するタンパク質(proteasome-interacting proteins、 PIPs:数十個存在)として同定されていた分子群、即ちNas2/p27, Nas6/gankyrin=p28, Rpn14/PAAF1, and Hsm3/S5b(出芽酵母/ヒト)であった<ref name=ref25><pubmed>22350895</pubmed></ref>(これらは最近、RP assembling chaperones RAC 1-4とも呼ばれている<ref name=ref23 />)。またUBP6/USP14がユビキチン鎖のbase中間体への偶発的な結合を阻止し、base複合体の形成を促進していることも判明している<ref name=ref26><pubmed>21658604</pubmed></ref>。
 一方、調節部位である 19S RPの分子集合機構についても、最近、baseを構成するATPase リングの分子集合に関与する4種のbaseシャペロン分子が発見された。これら4分子は、当初、プロテアソームと一時的に結合するタンパク質(proteasome-interacting proteins、 PIPs:数十個存在)として同定されていた分子群、即ちNas2/p27, Nas6/gankyrin=p28, Rpn14/PAAF1, and Hsm3/S5b(出芽酵母/ヒト)であった<ref name=ref25><pubmed>22350895</pubmed></ref>(これらは最近、RP assembling chaperones RAC 1-4とも呼ばれている<ref name=ref23 />)。またUBP6/USP14がユビキチン鎖のbase中間体への偶発的な結合を阻止し、base複合体の形成を促進していることも判明している<ref name=ref26><pubmed>21658604</pubmed></ref>。