「Aδ線維とC線維」の版間の差分

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 A-δ線維の受容器もC-線維の受容器も感覚終末は特別な小体構造を造らない自由神経終末である。それらの細胞体は後根神経節(または三叉神経節)に存在し、C-線維は小型で(直径<30 μm)、A-δ線維はそれよりやや大きい(<35 μm)が、両者はかなりオーバーラップする。脊髄内での終枝は、皮膚A-δ線維は後角第I層とV層に、C-線維は第II層に主として分布する。筋C線維はI、II層に、内臓C線維は主としてI、IIに終枝するが、V、X層にも見られる。  
 A-δ線維の受容器もC-線維の受容器も感覚終末は特別な小体構造を造らない自由神経終末である。それらの細胞体は後根神経節(または三叉神経節)に存在し、C-線維は小型で(直径<30 μm)、A-δ線維はそれよりやや大きい(<35 μm)が、両者はかなりオーバーラップする。脊髄内での終枝は、皮膚A-δ線維は後角第I層とV層に、C-線維は第II層に主として分布する。筋C線維はI、II層に、内臓C線維は主としてI、IIに終枝するが、V、X層にも見られる。  


 伝導速度以外にも軸索の伝導特性がA-δ線維とC-線維で異なり、さらにC-線維においても受容器タイプによって異なることが示された<ref name=ref5><pubmed></pubmed></ref>。軸索を繰り返し電気刺激すると、C-線維の侵害受容器の多くは20%程度(刺激条件により異なる)伝導速度が遅くなるのに対し、機械非感受性の受容器は30%という大きな遅延を示す。これに対し、冷受容器、C-線維低閾値機械受容器や交感神経節後線維は遅延が少ない(10%程度)。A-δ線維についての報告は少ないが、遅延ではなくスピードアップが見られている<ref name=ref6><pubmed></pubmed></ref>。この特性は神経線維の受容器タイプを知るうえで役に立つ。また、遅延は利用可能なNaV1.8という電位依存性Naチャネルの数によると報告されており<ref name=ref7><pubmed>8809788</pubmed> </ref><ref name=ref8><pubmed>19913997</pubmed></ref>、痛みに関連する受容器の軸索が特に強い伝導遅延を示すことは、NaV1.8がC-線維に特異的に発現することと関連している。
 伝導速度以外にも軸索の伝導特性がA-δ線維とC-線維で異なり、さらにC-線維においても受容器タイプによって異なることが示された<ref name=ref5><pubmed>8809788</pubmed> </ref><ref name=ref51><pubmed>19913997</pubmed></ref>。軸索を繰り返し電気刺激すると、C-線維の侵害受容器の多くは20%程度(刺激条件により異なる)伝導速度が遅くなるのに対し、機械非感受性の受容器は30%という大きな遅延を示す。これに対し、冷受容器、C-線維低閾値機械受容器や交感神経節後線維は遅延が少ない(10%程度)。A-δ線維についての報告は少ないが、遅延ではなくスピードアップが見られている<ref name=ref6>'''Taguchi''''' et al.,''<br>''Pain'' in press.</ref>。この特性は神経線維の受容器タイプを知るうえで役に立つ。また、遅延は利用可能なNaV1.8という電位依存性Naチャネルの数によると報告されており<ref name=ref7><pubmed>18096592</pubmed></ref>、痛みに関連する受容器の軸索が特に強い伝導遅延を示すことは、NaV1.8がC-線維に特異的に発現することと関連している。


== 関連項目 ==
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