「嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子」の版間の差分

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#redirect [[塩素チャネル#CFTR塩素チャネル]]
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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0077654 秋田 天平]、[http://researchmap.jp/read0096747 熊田 竜郎]、[http://researchmap.jp/atsuofukuda 福田 敦夫]</font><br>
''浜松医科大学 医学部''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2013年3月7日 原稿完成日:2013年4月5日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/2rikenbsi 林 康紀](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
</div>
 
英:cystic fibrosis transmembrane conductance regulator<br>
英略称:CFTR
{{Pfam_box
| Symbol = CFTR
| Name =
| image =Protein_CFTR_PDB_1xmi.png
| width =250
| caption =Structure of the CFTR protein. Based on [[w:PyMOL | PyMOL]] rendering of PDB [http://www.pdb.org/pdb/explore/explore.do?structureId=1xmi 1xmi].
| Pfam= PF14396
| SMART=
| Prosite =
| SCOP = 1xf9
| PDB=
{{PDB3| 1xf9}}
}}
{{box|text= [[嚢胞性線維症]](cystic fibrosis)の原因遺伝子として同定されたCFTRは、神経系でも或る程度の発現が報告されている。[[cAMP依存性リン酸化酵素]]([[PKA]])によるリン酸化を通じて活性化される塩素チャネルである<ref name="ref7"><pubmed>18304008</pubmed></ref>。}}
 
== 構造  ==
[[Image:CFTR.gif|thumb|right|350px|'''図.CFTRチャネル'''<br>リン酸化領域(R domain)により結ばれた2つの膜貫通領域(MSD)とATP結合領域(NBD)のペアが向かい合ってチャネルが形成される(<ref name=ref8><pubmed>19153558</pubmed></ref>より転載)。]]
 
 CFTRチャネルは12個の膜貫通部位を持ち、そのうちの6個ずつが1組で1つの膜貫通領域(membrane-spanning (transmembrane) domain; MSD (TMD))を構成し、それぞれのMSDについて細胞質側に1つのATP結合領域(nucleotide-binding domain; NBD)が連結する。
 
 さらに、PKA によるリン酸化を受ける調節領域(Rドメイン)が2つのMSD-NBDペアを連結し、それらのペアが向かい合わせの配向を取ることにより、チャネルが形成されると考えられている('''図''')。Rドメインがリン酸化を受けた状態でNBDにATPが結合すると、NBDの二量体化に伴ってチャネルゲートが開き、その後ATPの加水分解によりNBD二量体が解離し、チャネルゲートが閉じると考えられている<ref name="ref10"><pubmed>23284076</pubmed></ref>。
 
== 発現  ==
 
 神経系での発現は[[wj:上皮細胞|上皮細胞]]に比して少ないが、脳内の広範な部位の神経細胞、但し細胞膜上よりもむしろ細胞質内に多くチャネルの発現が認められるとの報告がある<ref name="ref12"><pubmed>19654104</pubmed></ref>。一方、グリアではあまり発現は認められていない。
 
== 機能  ==
 
 上皮細胞におけるCFTRチャネルの主たる役割は、細胞外へのCl<sup>–</sup>流出を通じて細胞外への水の移動を促し、外分泌液量を確保することであるが、神経系におけるCFTRチャネルの機能は未だよく分かっていない。神経におけるチャネルの分布から、細胞内小胞構造内外のCl<sup>–</sup>や水の出入りを制御している可能性は考えられるが、未だ検討されていない。
 
==疾患との関連==
 嚢胞性線維症はCFTR遺伝子変異により引き起こされる代表的な[[常染色体潜性遺伝疾患]]であり、欧米では最も頻度の高い致死性遺伝性疾患の一つとされる。変異により塩素イオン輸送が障害され、[[気道]]や[[膵外分泌腺]]、[[腸管]]において粘稠な分泌液が形成され、慢性的な呼吸器感染症、膵外分泌不全、[[不妊]]など多臓器にわたる臨床症状を呈する<ref name="ref7" /><ref name="ref8" />。また、CFTR機能異常は嚢胞性線維症以外にも、[[慢性閉塞性肺疾患]]([[COPD]])や[[気管支拡張症]]の病態に関与する可能性が指摘されており、呼吸器疾患研究全般において重要な分子である。
 
 嚢胞性線維症では神経系の異常はあまり目立たないか、副次的ないし非特異的と考えられる場合が多いこともあり、チャネル異常により誘起されうる神経系の病態についても未だよく知られていない。
 
==参考文献==