「脊髄下行路」の版間の差分

編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
12行目: 12行目:
皮質脊髄路は主に大脳皮質の一次運動野(BA4野)や運動前野(BA6野)、および一部は体性感覚領域(BA3,1,2野)から起始する。皮質脊髄路は内包を通り延髄錐体へと至る。そのため皮質脊髄路は錐体路(pyramidal tract)とも呼ばれる。延髄錐体で約75%の線維が交叉を行い(錐体交叉)、反対側脊髄の側索背側部を下行して脊髄灰白質へと至る(外側皮質脊髄路)。外側皮質脊髄路は、脊髄灰白質において前角の外側部にある運動核および中間層の脊髄介在ニューロンへと投射し、主に四肢の遠位部の運動制御に関わる。一方、延髄で交叉を行わない線維は同側脊髄の前索を下行する(腹側皮質脊髄路)。腹側皮質脊髄路は、前角の腹内側部および隣接中間層へ両側性に投射し、体幹の運動制御に関わる。<br>
皮質脊髄路は主に大脳皮質の一次運動野(BA4野)や運動前野(BA6野)、および一部は体性感覚領域(BA3,1,2野)から起始する。皮質脊髄路は内包を通り延髄錐体へと至る。そのため皮質脊髄路は錐体路(pyramidal tract)とも呼ばれる。延髄錐体で約75%の線維が交叉を行い(錐体交叉)、反対側脊髄の側索背側部を下行して脊髄灰白質へと至る(外側皮質脊髄路)。外側皮質脊髄路は、脊髄灰白質において前角の外側部にある運動核および中間層の脊髄介在ニューロンへと投射し、主に四肢の遠位部の運動制御に関わる。一方、延髄で交叉を行わない線維は同側脊髄の前索を下行する(腹側皮質脊髄路)。腹側皮質脊髄路は、前角の腹内側部および隣接中間層へ両側性に投射し、体幹の運動制御に関わる。<br>
<br>
<br>
==赤核脊髄路[2]==
==赤核脊髄路<ref>'''MB Carpenter'''<br>Anatomy of the corpus striatum and brain stem integrating systems<br>''Handbook of physiology, Sec I, The nervous system, Vol II, Motor control, Part II'' :1981</ref>==
英:rubrospinal tract<br>
英:rubrospinal tract<br>
赤核脊髄路は中脳にある赤核の大細胞層から起始し、その線維は腹側被蓋交叉で反対側へと渡り、側索背側部を下行して脊髄灰白質へと至る。脊髄灰白質では、脊髄中間層および前角へ投射する。主にネコを用いた生理学的な知見から赤核脊髄路は反対側の屈筋群に興奮性、伸筋群に抑制性の影響を与えると言われていたが[2]、マカクサルを用いた研究では赤核脊髄路細胞が上肢において主に伸筋群に興奮性の影響を与えることを示す結果も報告されている[3, 4]。赤核脊髄路はネコやサルにおいては四肢の運動制御に重要であると考えられている。一方、ヒトを含む類人猿において赤核脊髄路は退化したと言われるが、実際にどのような機能を持つかは未だに明確ではない[5]。<br>
赤核脊髄路は中脳にある赤核の大細胞層から起始し、その線維は腹側被蓋交叉で反対側へと渡り、側索背側部を下行して脊髄灰白質へと至る。脊髄灰白質では、脊髄中間層および前角へ投射する。主にネコを用いた生理学的な知見から赤核脊髄路は反対側の屈筋群に興奮性、伸筋群に抑制性の影響を与えると言われていたが[2]、マカクサルを用いた研究では赤核脊髄路細胞が上肢において主に伸筋群に興奮性の影響を与えることを示す結果も報告されている<ref><pubmed>1812229</pubmed></ref><ref><pubmed>7737401</pubmed></ref>。赤核脊髄路はネコやサルにおいては四肢の運動制御に重要であると考えられている。一方、ヒトを含む類人猿において赤核脊髄路は退化したと言われるが、実際にどのような機能を持つかは未だに明確ではない<ref><pubmed>21911039</pubmed></ref>。<br>
<br>
<br>
==網様体脊髄路<ref name=Wilson>'''VJ Wilson, BW Peterson'''<br>Vestibulospinal and reticulospinal systems<br>''Handbook of physiology, Sec I, The nervous system, Vol II, Motor control, Part I'' :1981</ref>==
==網様体脊髄路<ref name=Wilson>'''VJ Wilson, BW Peterson'''<br>Vestibulospinal and reticulospinal systems<br>''Handbook of physiology, Sec I, The nervous system, Vol II, Motor control, Part I'' :1981</ref>==
37行目: 37行目:
<br>
<br>
==参考文献==
==参考文献==
<ref>'''H Asanuma'''<br>The pyramidal tract<br>''Handbook of physiology, Sec I, The nervous system, Vol II, Motor control, Part I'' :1981</ref>
<ref>'''MB Carpenter<br>Anatomy of the corpus striatum and brain stem integrating systems<br>''Handbook of physiology, Sec I, The nervous system, Vol II, Motor control, Part II'' :1981</ref>




8

回編集