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|OtherNames=2-(3,4-dihydroxyphenyl)ethylamine;<br/> 3,4-dihydroxyphenethylamine;<br/> 3-hydroxytyramine; DA; Intropin; Revivan; Oxytyramine | |OtherNames=2-(3,4-dihydroxyphenyl)ethylamine;<br/> 3,4-dihydroxyphenethylamine;<br/> 3-hydroxytyramine; DA; Intropin; Revivan; Oxytyramine | ||
|Section1= {{Chembox Identifiers | |Section1= {{Chembox Identifiers | ||
| | | UNII_Ref = {{fdacite|correct|FDA}} | ||
| UNII = VTD58H1Z2X | | UNII = VTD58H1Z2X | ||
| InChI = 1/C8H11NO2/c9-4-3-6-1-2-7(10)8(11)5-6/h1-2,5,10-11H,3-4,9H2 | | InChI = 1/C8H11NO2/c9-4-3-6-1-2-7(10)8(11)5-6/h1-2,5,10-11H,3-4,9H2 | ||
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}} | }} | ||
|Section2= {{Chembox Properties | |Section2= {{Chembox Properties | ||
| | | Formula=C<sub>8</sub>H<sub>11</sub>NO<sub>2</sub> | ||
| | | MolarMass=153.18 g/mol | ||
| | | Appearance=colorless solid | ||
| | | Density= 1.26 g/cm<sup>3</sup> | ||
| | | MeltingPtC= 128 | ||
| | | BoilingPt= decomposes | ||
| | | Solubility=60.0 g/100 ml | ||
}} | |||
|Section3= {{Chembox Hazards | |Section3= {{Chembox Hazards | ||
| | | MainHazards= | ||
| | | FlashPt= | ||
| | | Autoignition= | ||
| | | RPhrases = {{R36/37/38}} | ||
| | | SPhrases = {{S26}} {{S36}} | ||
}} | |||
}} | }} | ||
[[Image:DAfig2.jpg|thumb|300px|'''図.ドーパミンの生合成と代謝''']][[Image:DA figure.jpg|right|5px|'''図.ドーパミンの生合成と代謝''']] | [[Image:DAfig2.jpg|thumb|300px|'''図.ドーパミンの生合成と代謝''']][[Image:DA figure.jpg|right|5px|'''図.ドーパミンの生合成と代謝''']] | ||
英語名:dopamine 独:Dopamin 仏:dopamine | 英語名:dopamine 独:Dopamin 仏:dopamine | ||
[[wikipedia:ja:カテコール核|カテコール核]]を持つ[[wikipedia:ja:アミン|アミン]]([[カテコールアミン]])で、[[中枢神経系]]の[[伝達物質]]、及び末梢のシグナル分子として働く。生体内のドーパミンは[[wikipedia:ja:チロシン|チロシン]]から二段階の酵素反応によって合成され、[[小胞モノアミントランスポーター]]によって細胞内の小胞に取り込まれる。[[開口放出]]によって放出されたドーパミンは放出部位から比較的離れた場所に存在する[[受容体]]に結合して標的細胞の生理機能を調節する。ドーパミン受容体は全て[[Gタンパク質共役型]]で、遅い信号伝達もしくは神経細胞機能の修飾を担う。[[中脳]]から[[大脳]]に投射するドーパミン神経が中枢のドーパミン神経系の大部分を占め、[[運動]]機能、[[認知]]機能などの中枢機能の調節に関与する。また、ドーパミン神経系は[[精神疾患]]の病態生理に対する関与が示唆されており、[[抗精神病薬]]等の治療薬や[[依存性薬物]]の標的となる。 | [[wikipedia:ja:カテコール核|カテコール核]]を持つ[[wikipedia:ja:アミン|アミン]]([[カテコールアミン]])で、[[中枢神経系]]の[[伝達物質]]、及び末梢のシグナル分子として働く。生体内のドーパミンは[[wikipedia:ja:チロシン|チロシン]]から二段階の酵素反応によって合成され、[[小胞モノアミントランスポーター]]によって細胞内の小胞に取り込まれる。[[開口放出]]によって放出されたドーパミンは放出部位から比較的離れた場所に存在する[[受容体]]に結合して標的細胞の生理機能を調節する。ドーパミン受容体は全て[[Gタンパク質共役型]]で、遅い信号伝達もしくは神経細胞機能の修飾を担う。[[中脳]]から[[大脳]]に投射するドーパミン神経が中枢のドーパミン神経系の大部分を占め、[[運動]]機能、[[認知]]機能などの中枢機能の調節に関与する。また、ドーパミン神経系は[[精神疾患]]の病態生理に対する関与が示唆されており、[[抗精神病薬]]等の治療薬や[[依存性薬物]]の標的となる。 | ||
== 生合成と代謝 == | == 生合成と代謝 == | ||
L-チロシンから[[チロシン水酸化酵素]](tyrosine hydoxylase、TH)によって[[L-ドーパ]](レボドーパ)が合成され、さらに[[芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素]]([[Aromatic L-amino acid decarboxylase]]、[[AADC]])によってドーパミンが合成される。ドーパミンと同じくカテコールアミン類の伝達物質である[[ノルアドレナリン]]は[[ドーパミン-β-水酸化酵素]]によってドーパミンから合成される。 | L-チロシンから[[チロシン水酸化酵素]](tyrosine hydoxylase、TH)によって[[L-ドーパ]](レボドーパ)が合成され、さらに[[芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素]]([[Aromatic L-amino acid decarboxylase]]、[[AADC]])によってドーパミンが合成される。ドーパミンと同じくカテコールアミン類の伝達物質である[[ノルアドレナリン]]は[[ドーパミン-β-水酸化酵素]]によってドーパミンから合成される。 | ||
ドーパミン合成の[[律速酵素]]であるTHは、[[セロトニン]]合成経路の[[トリプトファン水酸化酵素]]と同様に[[テトラヒドロビオプテリン]]を[[補因子]]とし、通常はチロシンで飽和している。THはしばしばドーパミン又はカテコールアミン作動性神経のマーカーとして用いられるが、THを発現していてもAADCを発現していない場合があり、THを発現していても必ずしもカテコールアミン作動性神経とは言えない<ref name="ref1"><pubmed> 17408759 </pubmed></ref> | ドーパミン合成の[[律速酵素]]であるTHは、[[セロトニン]]合成経路の[[トリプトファン水酸化酵素]]と同様に[[テトラヒドロビオプテリン]]を[[補因子]]とし、通常はチロシンで飽和している。THはしばしばドーパミン又はカテコールアミン作動性神経のマーカーとして用いられるが、THを発現していてもAADCを発現していない場合があり、THを発現していても必ずしもカテコールアミン作動性神経とは言えない<ref name="ref1"><pubmed> 17408759 </pubmed></ref>。合成されたドーパミンは基質特異性の低い小胞モノアミントランスポーター(vesicular monoamine transporter、VMAT)によってシナプス小胞に貯蔵される<ref><pubmed> 20135628 </pubmed></ref>。VMATにはVMAT1とVMAT2のアイソフォームが存在し、中枢神経系には主にVMAT2が発現している。ドーパミンの代謝には[[モノアミン酸化酵素]]([[Monoamine oxidase]]、[[MAO]])による経路と[[カテコール-O-メチル基転移酵素]]([[Catechol-O-methyltransferase]]、[[COMT]])による経路の二通りがあり、両者とも最終的に代謝産物として[[ホモバニリン酸]]を生じる。MAOには[[MAOA|MAO<sub>A</sub>]]と[[MAOB|MAO<sub>B</sub>]]の二種類のアイソザイムが存在し、カテコールアミン作動性神経には主にMAO<sub>A</sub>が発現しているが、[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]の場合ドーパミンはMAO<sub>B</sub>によって代謝される<ref name="ref2"><pubmed> 10202537 </pubmed></ref>。 | ||
== 放出と信号伝達 == | == 放出と信号伝達 == | ||
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== ドーパミン神経系 == | == ドーパミン神経系 == | ||
(場所を変えました) 中枢におけるドーパミン神経はしばしば4つの主要経路に分類される。 | |||
*[[黒質-線条体路]]:[[中脳]]の[[黒質]]から[[線条体]]([[被殻]] + [[尾状核]])に投射 | *[[黒質-線条体路]]:[[中脳]]の[[黒質]]から[[線条体]]([[被殻]] + [[尾状核]])に投射 | ||
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大脳皮質に対する投射の中では、[[前頭前野]]に対する投射が良く知られており、その機能に関して豊富な知見があるが、他の皮質領域に対する投射も存在する<ref name="ref3"><pubmed> 19446627 </pubmed></ref>。これら以外に[[間脳]][[A11]]から脊髄に投射する下行性のドーパミン神経も存在し<ref name="ref4"><pubmed> 20503420 </pubmed></ref>、[[嗅球]]や[[網膜]]ではドーパミンが局所的に産生、放出される<ref name="ref5"><pubmed> 19731547 </pubmed></ref><ref name="ref6"><pubmed> 18061262 </pubmed></ref>。 | 大脳皮質に対する投射の中では、[[前頭前野]]に対する投射が良く知られており、その機能に関して豊富な知見があるが、他の皮質領域に対する投射も存在する<ref name="ref3"><pubmed> 19446627 </pubmed></ref>。これら以外に[[間脳]][[A11]]から脊髄に投射する下行性のドーパミン神経も存在し<ref name="ref4"><pubmed> 20503420 </pubmed></ref>、[[嗅球]]や[[網膜]]ではドーパミンが局所的に産生、放出される<ref name="ref5"><pubmed> 19731547 </pubmed></ref><ref name="ref6"><pubmed> 18061262 </pubmed></ref>。 | ||
==中枢神経機能 == | == 中枢神経機能 == | ||
=== 運動機能 === | === 運動機能 === | ||
139行目: | 136行目: | ||
=== 視覚 === | === 視覚 === | ||
網膜においてドーパミンは[[アマクリン細胞]]と[[間網状細胞]]([[Interplexiform cell]])から放出され、[[視細胞]]から[[神経節細胞]]へのシグナル伝達とその[[側方調節]]の両者の修飾に関与する<ref name="ref6" />。ドーパミンはD<sub>1</sub>様受容体を介して[[水平細胞]]の[[ギャップジャンクション]]のカップリングを抑制することにより、受容野のサイズを減少させる。網膜の視細胞では、[[サーカディアンリズム]]の形成に関与する[[メラトニン]]が産生される。メラトニンはドーパミン系に対して拮抗的に作用し、D<sub>4</sub>受容体によってその生合成が抑制される<ref name="ref6" />。D<sub>4</sub>受容体欠損マウスでは光による[[ | 網膜においてドーパミンは[[アマクリン細胞]]と[[間網状細胞]]([[Interplexiform cell]])から放出され、[[視細胞]]から[[神経節細胞]]へのシグナル伝達とその[[側方調節]]の両者の修飾に関与する<ref name="ref6" />。ドーパミンはD<sub>1</sub>様受容体を介して[[水平細胞]]の[[ギャップジャンクション]]のカップリングを抑制することにより、受容野のサイズを減少させる。網膜の視細胞では、[[サーカディアンリズム]]の形成に関与する[[メラトニン]]が産生される。メラトニンはドーパミン系に対して拮抗的に作用し、D<sub>4</sub>受容体によってその生合成が抑制される<ref name="ref6" />。D<sub>4</sub>受容体欠損マウスでは光による[[CAMP]]産生の調節と[[明順応]]時の[[網膜電位]]に顕著な障害が生じる<ref name="ref31"><pubmed> 11896146 </pubmed></ref>。 | ||
== ドーパミンと精神疾患 == | == ドーパミンと精神疾患 == | ||
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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
<references /> | <references /> | ||
(執筆者:小林克典 担当編集者:林康紀) | (執筆者:小林克典 担当編集者:林康紀) |
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