「精神科遺伝学」の版間の差分

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== 精神科遺伝学とは  ==
== 精神科遺伝学とは  ==


 精神疾患は比較的高い遺伝率を示すものが多く、程度の差はあるが遺伝要因が部分的に発症に影響を与えている。治療に対する反応性や副作用、予後などにも遺伝要因は関わっていると推測されている。関係する遺伝子の同定は病態解明とそれに続く合理的な治療法の開発に必要な基礎データとなり、個別化医療につながる。分子レベルからの根拠に基づく予防法、治療法の開発を目的とする。
 精神疾患は比較的高い遺伝率を示すものが多く、程度の差はあるが遺伝要因が部分的に発症に影響を与えている。治療に対する反応性や副作用、予後などにも遺伝要因は関わっていると推測されている。分子遺伝学的解析ができる以前から分離比分析などの遺伝疫学的解析は精神疾患を対象に数多く行われ、[[wikipedia:ja:双生児研究|双生児研究]]や[[wikipedia:ja:養子研究|養子研究]]など活発に行われてきた。遺伝疫学や分子遺伝学的解析など一般に遺伝学的解析で用いられる解析法が精神科遺伝学でも使われる。精神科遺伝学の国際的な学会として[http://www.ispg.net The International Society of Psychiatric Genetics (ISPG)]が1992年に組織され、研究の推進のみならず、社会の教育啓蒙活動、倫理問題の整備を目的に、毎年大会が米国とそれ以外の国とで交互に開催されている。  
 
 分子遺伝学的解析ができる以前から分離比分析などの遺伝疫学的解析は精神疾患を対象に数多く行われ、[[wikipedia:ja:双生児研究|双生児研究]]や[[wikipedia:ja:養子研究|養子研究]]など活発に行われてきた。遺伝疫学や分子遺伝学的解析など一般に遺伝学的解析で用いられる解析法が精神科遺伝学でも使われる。精神科遺伝学の国際的な学会として[http://www.ispg.net The International Society of Psychiatric Genetics (ISPG)]が1992年に組織され、研究の推進のみならず、社会の教育啓蒙活動、倫理問題の整備を目的に、毎年大会が米国とそれ以外の国とで交互に開催されている。  


 1980年代に[[統合失調症]]や[[双極性障害]]の多発家系を対象に乏しい遺伝マーカーを使った[[連鎖解析]]が発表され、精神科遺伝学の分野における分子遺伝学時代のスタートとなった。  
 1980年代に[[統合失調症]]や[[双極性障害]]の多発家系を対象に乏しい遺伝マーカーを使った[[連鎖解析]]が発表され、精神科遺伝学の分野における分子遺伝学時代のスタートとなった。  
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 候補遺伝子解析は1990年代はじめから盛んに実施されており、ターゲットリシークエンスの時代となり、精力的に研究が進められている。  
 候補遺伝子解析は1990年代はじめから盛んに実施されており、ターゲットリシークエンスの時代となり、精力的に研究が進められている。  


 ゲノムの多様性や変異(遺伝型)と疾患や行動(表現型)との関連を追求する他に、遺伝子の発現調節に関係する[[エピゲノム解析]]、[[非コードRNA解析]]も2000年代に入ってから活発に行われている。<br>  
 ゲノムの多様性や変異(遺伝型)と疾患や行動(表現型)との関連を追求する他に、遺伝子の発現調節に関係する[[エピゲノム解析]]、[[非コードRNA解析]]も2000年代に入ってから活発に行われている。<br>


== 遺伝学的に見た精神疾患の特徴  ==
== 遺伝学的に見た精神疾患の特徴  ==