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Hiroshinishimaru (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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これまでに同定されたRenshaw細胞やIa抑制性ニューロンといった脊髄介在ニューロンに関してはその性質が詳細に調べられているが、それに加えて、最近、胎生期においてそれぞれのニューロンの前駆細胞が発現する転写因子の組み合わせによってニューロンが分類されている。この分類によって分けられたそれぞれのニューロン群はほぼ共通の神経伝達物質と軸索投射様式を持つことが明らかになっている((Goulding 2009)。これまでに、遺伝子改変技術を用いて、これらのニューロン群の形成あるいは機能を阻害したマウスの脊髄歩行中枢の機能解析が行なわれており、これらのニューロン群の歩行運動の時空間パターン形成における役割が明らかになりつつある(Kiehn 2011)。 | これまでに同定されたRenshaw細胞やIa抑制性ニューロンといった脊髄介在ニューロンに関してはその性質が詳細に調べられているが、それに加えて、最近、胎生期においてそれぞれのニューロンの前駆細胞が発現する転写因子の組み合わせによってニューロンが分類されている。この分類によって分けられたそれぞれのニューロン群はほぼ共通の神経伝達物質と軸索投射様式を持つことが明らかになっている((Goulding 2009)。これまでに、遺伝子改変技術を用いて、これらのニューロン群の形成あるいは機能を阻害したマウスの脊髄歩行中枢の機能解析が行なわれており、これらのニューロン群の歩行運動の時空間パターン形成における役割が明らかになりつつある(Kiehn 2011)。 | ||
== | ==魚類の泳動のCPG== | ||
===ヤツメウナギの泳動のCPG=== | ===ヤツメウナギの泳動のCPG=== | ||
ヤツメウナギの中枢神経系および脊髄の構造はより高次の脊椎動物と似ている点が多く、脊椎動物のなかでは、比較的単純な運動のCPGモデルとして機能解析が進んでいる。ヤツメウナギは100程度の体節からなる。左右の体節の筋は対応する脊髄髄節に局在する運動ニューロンに支配されている。一つの髄節には約 1000 個のニューロンが局在しているそれぞれの脊髄髄節には同側の運動ニューロンを興奮させる興奮性ニューロン群(グルタミン酸作動性)と脊髄の反対側の回路を抑制する抑制性ニューロン群(グリシン作動性)からなる局所回路がある(図3)。この髄節ごとの局所回路が互いに結合し、動物が前進するときには吻側から尾側に興奮の波が伝えられる。これによって、吻尾方向に体節の左右の筋が交互に収縮し、S字状に体を動かすこととで推進力を生み出す(Grillner 1995)。この際の リズミックな運動出力は、上述のグルタミン酸を介した興奮シナプス入力とグリシンを介した抑制性シナプス入力によって生み出されている(図4)。強い興奮性シナプス入力によってニューロンの細胞膜が脱分極し発火するとともにNMDA型グルタミン酸受容体および電位依存性L型カルシウムチャンネルが活性化され、カルシウムイオンが細胞内に流入する。この細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が、カルシウムイオン依存性カリウムチャンネルを活性化し、細胞膜は再分極し始める。そして抑制性シナプス入力によってニューロンの発火が抑制される(Grillner 1995)。 | ヤツメウナギの中枢神経系および脊髄の構造はより高次の脊椎動物と似ている点が多く、脊椎動物のなかでは、比較的単純な運動のCPGモデルとして機能解析が進んでいる。ヤツメウナギは100程度の体節からなる。左右の体節の筋は対応する脊髄髄節に局在する運動ニューロンに支配されている。一つの髄節には約 1000 個のニューロンが局在しているそれぞれの脊髄髄節には同側の運動ニューロンを興奮させる興奮性ニューロン群(グルタミン酸作動性)と脊髄の反対側の回路を抑制する抑制性ニューロン群(グリシン作動性)からなる局所回路がある(図3)。この髄節ごとの局所回路が互いに結合し、動物が前進するときには吻側から尾側に興奮の波が伝えられる。これによって、吻尾方向に体節の左右の筋が交互に収縮し、S字状に体を動かすこととで推進力を生み出す(Grillner 1995)。この際の リズミックな運動出力は、上述のグルタミン酸を介した興奮シナプス入力とグリシンを介した抑制性シナプス入力によって生み出されている(図4)。強い興奮性シナプス入力によってニューロンの細胞膜が脱分極し発火するとともにNMDA型グルタミン酸受容体および電位依存性L型カルシウムチャンネルが活性化され、カルシウムイオンが細胞内に流入する。この細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が、カルシウムイオン依存性カリウムチャンネルを活性化し、細胞膜は再分極し始める。そして抑制性シナプス入力によってニューロンの発火が抑制される(Grillner 1995)。 | ||
=== | ===ゼブラフィッシュの泳動CPG研究=== | ||
最近、運動や行動の神経機構の解析のモデル動物としてインド原産の熱帯魚のゼブラフィッシュが脚光を浴びている(Friedrich et al.)。特に泳動の神経回路では、体が半透明の幼生を用いて遺伝学・分子生物学・電気生理学そして最近は光生理学を駆使して、回路を構成するニューロンの同定と結合様式が解明されつつある。(McLean and Fetcho) | 最近、運動や行動の神経機構の解析のモデル動物としてインド原産の熱帯魚のゼブラフィッシュが脚光を浴びている(Friedrich et al.)。特に泳動の神経回路では、体が半透明の幼生を用いて遺伝学・分子生物学・電気生理学そして最近は光生理学を駆使して、回路を構成するニューロンの同定と結合様式が解明されつつある。(McLean and Fetcho) | ||
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