「心身症」の版間の差分

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==心身症とは==
==心身症とは==
{| class="wikitable"
|+表1.心身症の病態を考えることのできる疾患
|-
| style="background-color:#d3d3d3" rowspan="2" |
| style="background-color:#d3d3d3; text-align:center" colspan="3" | 心身症
|-
| style="background-color:#d3d3d3; text-align:center" | 器質的疾患
| style="background-color:#d3d3d3; text-align:center" | 機能的疾患
| style="background-color:#d3d3d3; text-align:center" | 神経症性・一過性心身反応
|-
| 呼吸器系
| 気管支喘息(cough variant asthmaを含む)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)
| 過換気症候群、咽頭痙攣
| 神経症咳
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| 循環器系
| 本態性高血圧症、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)
| 本態性低血圧症(特発性)、起立性低血圧症、一部の不整脈、レイノー病
| 神経循環無力症
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| 消化器系
| 胃・十二指腸潰瘍、急性胃粘膜病変(AGML)、慢性胃炎、潰瘍性大腸炎、慢性肝炎、慢性膵炎
| 過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、胆道ジスキネジー、神経性腹部緊満症、びまん性食道痙攣、食道アカラシア
| 反すう、呑気症(空気嚥下症)、ガス貯留症候群、心因性嘔吐
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| 内分泌・代謝系
| 神経性食欲不振症、甲状腺機能亢進症・低下症、糖尿病
| (神経性)過食症、Pseudo-Bartter症候群、愛情遮断性低身長症、腎性糖尿
| 心因性多飲症
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| 神経・筋肉系
| 痙症斜頸、パーキンソン症候群
| 筋収縮性頭痛、偏頭痛、書痙、眼瞼披露、味覚脱失、自律神経失調症、舌の異常運動、振戦、チック、舞踏病様運動、ジストニア、線維筋痛症
| その他の慢性疼痛、自律神経失調症、めまい、冷え性、しびれ感、異常知覚、運動麻痺、失立失歩、失声、失神、痙攣
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| 小児科領域
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| 皮膚科領域
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| 外科領域
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| 整形外科領域
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| 産婦人科領域
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| 耳鼻咽頭科領域
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| 歯科・口腔外科領域
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|}


 心身症(psychosomatic disorder)とは、「身体症状・身体疾患において、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的・機能的障害が認められる病態」である<ref>'''日本心身医学会教育研修委員会編'''<br>心身医学の新しい診療指針<br>''心身医学, 1991. 31: p. 537-576'':1991</ref>。心身症は独立した疾患単位ではなく、病態名であり、特定の疾患、特定の診療科にしばられるものではない。この心身症の枠組みに入る疾患としては、表1[[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_1.png|thumb|300px|'''表1.心身症の病態を考えることのできる疾患'''<br>]]<ref>'''日本線維筋痛症学会「線維筋痛症診療ガイドライン」作成委員会'''<br>線維筋痛症診療ガイドライン2013<br>''日本医事新報社'':2013</ref>にあげられるようなものがあり、病名を記載するに当たっては、例えば高血圧(心身症),十二指腸潰瘍(心身症),気管支喘息(心身症)と記載される。多軸評定を用いていた[[DSM-IV-TR]]においては、心身症は第1軸にpsychological factors affecting medical condition (身体疾患に影響を与えている心理的要因)を、第3軸には身体疾患や身体症状を記載することになっており、身体疾患に影響を与える心理的要因について詳細に述べられていた(表2)[[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_2.png|thumb|300px|'''表2.心身症に相当する DSM-IV-TR の記載'''<br>]]。2013年に発表されたDSM-5では、多軸診断は廃止されたが、引き続き心身症はpsychological factors affecting other medical conditionsと位置づけられている。[[ICD-10]]では、F5 (”behavioural syndromes associated with physiological disturbances and physical factors 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群)”の中に、[[摂食障害]](F50)、[[wj:性機能不全|性機能不全]](F52)、他に分類される障害あるいは疾患に関連した心理的および行動的要因(F54)などであり、F54の例として、[[wj:喘息|喘息]]、[[wj:皮膚炎|皮膚炎]]と[[wj:湿疹|湿疹]]、[[wj:胃潰瘍|胃潰瘍]]、[[wj:粘液性大腸炎|粘液性大腸炎]]、[[wj:潰瘍性大腸炎|潰瘍性大腸炎]]、[[wj:じんましん|じんましん]]などがあげられているが、もちろんこの操作的定義にしばられるものではない。
 心身症(psychosomatic disorder)とは、「身体症状・身体疾患において、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的・機能的障害が認められる病態」である<ref>'''日本心身医学会教育研修委員会編'''<br>心身医学の新しい診療指針<br>''心身医学, 1991. 31: p. 537-576'':1991</ref>。心身症は独立した疾患単位ではなく、病態名であり、特定の疾患、特定の診療科にしばられるものではない。この心身症の枠組みに入る疾患としては、表1[[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_1.png|thumb|300px|'''表1.心身症の病態を考えることのできる疾患'''<br>]]<ref>'''日本線維筋痛症学会「線維筋痛症診療ガイドライン」作成委員会'''<br>線維筋痛症診療ガイドライン2013<br>''日本医事新報社'':2013</ref>にあげられるようなものがあり、病名を記載するに当たっては、例えば高血圧(心身症),十二指腸潰瘍(心身症),気管支喘息(心身症)と記載される。多軸評定を用いていた[[DSM-IV-TR]]においては、心身症は第1軸にpsychological factors affecting medical condition (身体疾患に影響を与えている心理的要因)を、第3軸には身体疾患や身体症状を記載することになっており、身体疾患に影響を与える心理的要因について詳細に述べられていた(表2)[[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_2.png|thumb|300px|'''表2.心身症に相当する DSM-IV-TR の記載'''<br>]]。2013年に発表されたDSM-5では、多軸診断は廃止されたが、引き続き心身症はpsychological factors affecting other medical conditionsと位置づけられている。[[ICD-10]]では、F5 (”behavioural syndromes associated with physiological disturbances and physical factors 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群)”の中に、[[摂食障害]](F50)、[[wj:性機能不全|性機能不全]](F52)、他に分類される障害あるいは疾患に関連した心理的および行動的要因(F54)などであり、F54の例として、[[wj:喘息|喘息]]、[[wj:皮膚炎|皮膚炎]]と[[wj:湿疹|湿疹]]、[[wj:胃潰瘍|胃潰瘍]]、[[wj:粘液性大腸炎|粘液性大腸炎]]、[[wj:潰瘍性大腸炎|潰瘍性大腸炎]]、[[wj:じんましん|じんましん]]などがあげられているが、もちろんこの操作的定義にしばられるものではない。