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{{box|text= パッチクランプ法は、[[イオンチャネル]]を介した[[wikipedia:ja:|イオン]]の挙動([[wikipedia:ja:|電流]])を記録することで、細胞膜上の単一または複数のイオンチャネルの活動を直接的に測定する方法である。 | {{box|text= パッチクランプ法は、[[イオンチャネル]]を介した[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]の挙動([[wikipedia:ja:電流|電流]])を記録することで、細胞膜上の単一または複数のイオンチャネルの活動を直接的に測定する方法である。 | ||
[[培養細胞]]や急性単離標本、組織標本(スライス切片)、さらに''in vivo''の系において適用可能であり、主に[[神経]]、[[wikipedia:ja:|心筋]]、[[wikipedia:ja:|平滑筋]]、[[感覚器]]細胞などを対象とした研究に用いられている。 | [[培養細胞]]や急性単離標本、組織標本(スライス切片)、さらに''in vivo''の系において適用可能であり、主に[[神経]]、[[wikipedia:ja:心筋|心筋]]、[[wikipedia:ja:平滑筋|平滑筋]]、[[感覚器]]細胞などを対象とした研究に用いられている。 | ||
パッチクランプ法は[[電位固定法]]を基に、[[wikipedia: | パッチクランプ法は[[電位固定法]]を基に、[[wikipedia:Erwin Neher|Erwin Neher]]と[[wikipedia:Bert Sakmann|Bert Sakmann]]によって開発された<ref name=ref1><pubmed>1083489</pubmed></ref>。彼らはこの方法により[[筋]]線維における単一[[アセチルコリン]]電流を直接的に検出し、イオン通過路としてのチャネルの存在を初めて証明した。その後、ギガシール法の確立とパッチクランプ法を応用した様々な方法の追加開発により、多くの細胞系に用いられるようになった。この技法を発明し、発展させたことにより、1991年にErwin NeherとBert Sakmannは[[wikipedia:ja:ノーベル生理学・医学賞|ノーベル生理学・医学賞]]を受賞した。}} | ||
== 基本的技術 == | == 基本的技術 == | ||
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=== パーフォレイテッド法(穿孔パッチ法) === | === パーフォレイテッド法(穿孔パッチ法) === | ||
ホールセル法の代替法であり、HornとMartyによって開発された<ref name=ref2><pubmed>2459299</pubmed></ref>。ギガシールを形成後、陰圧によって膜を破るのではなく、パッチ電極内液に含まれた[[wikipedia:ja:|ナイスタチン]]、[[wikipedia:ja:|アンフォテリシンB]]や[[wikipedia:ja:|グラミシジン]]のような[[wikipedia:ja:|抗生物質]]によって細胞膜に小さな穴をあける方法である。これらの抗生物質が、ほとんどの細胞膜に一価イオンや10Å以下の径を持つ分子を通過させる孔をあけることを利用している。そのため、膜を破らずに全細胞膜での電流を記録することができる。また、細胞の内容成分の漏出を軽減し、細胞内環境を保持することが可能となる。しかし、いくつかの欠点がある。まず、ホールセル法と比較して、シリーズ抵抗が高くなり、電気的解像能が低下する。また、抗生物質による細胞膜の穿孔には時間がかかる(10-30分間)。さらに、抗生物質により形成された孔によって電極先端の膜は弱くなっているため、その膜が破れて、ホールセル法に移行する危険性がある。 | ホールセル法の代替法であり、HornとMartyによって開発された<ref name=ref2><pubmed>2459299</pubmed></ref>。ギガシールを形成後、陰圧によって膜を破るのではなく、パッチ電極内液に含まれた[[wikipedia:ja:ナイスタチン|ナイスタチン]]、[[wikipedia:ja:アンフォテリシンB|アンフォテリシンB]]や[[wikipedia:ja:グラミシジン|グラミシジン]]のような[[wikipedia:ja:抗生物質|抗生物質]]によって細胞膜に小さな穴をあける方法である。これらの抗生物質が、ほとんどの細胞膜に一価イオンや10Å以下の径を持つ分子を通過させる孔をあけることを利用している。そのため、膜を破らずに全細胞膜での電流を記録することができる。また、細胞の内容成分の漏出を軽減し、細胞内環境を保持することが可能となる。しかし、いくつかの欠点がある。まず、ホールセル法と比較して、シリーズ抵抗が高くなり、電気的解像能が低下する。また、抗生物質による細胞膜の穿孔には時間がかかる(10-30分間)。さらに、抗生物質により形成された孔によって電極先端の膜は弱くなっているため、その膜が破れて、ホールセル法に移行する危険性がある。 | ||
=== ルーズパッチ法 === | === ルーズパッチ法 === |