「サイクリックAMP」の版間の差分

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=== 膜貫通型アデニル酸シクラーゼ  ===
=== 膜貫通型アデニル酸シクラーゼ  ===


 膜貫通型アデニル酸シクラーゼ(transmembrane adenylyl cyclase; tmAC)は12回膜貫通領域を持ち、その触媒部位は、細胞質側で6番目と7番目の膜貫通領域間を繋ぐ領域に存在するC1ドメインと、同じく細胞質側に露出したC末端に存在するC2ドメインが二量体化して構成される。膜貫通型アデニル酸シクラーゼを介してサイクリックAMP濃度上昇を誘発する細胞外リガンドとしては、[[アドレナリン]]、[[ドーパミン]]、[[セロトニン]]、[[PGE2]]、[[アデノシン]]、[[PACAP]]、[[SDF1]]等多数の[[神経伝達物質]]やホルモンがあるが、これらの[[代謝調節型受容体]]は7回膜貫通型の[[Gタンパク質共役型受容体]]であり、一般に[[Gs]]タイプの[[三量体Gタンパク質]]を介して膜貫通型アデニル酸シクラーゼを活性化する。逆に、[[Gi]]タイプの三量体Gタンパク質を介する受容体は、膜貫通型アデニル酸シクラーゼを抑制することでサイクリックAMP濃度を減少させる。また、[[Ca<sup>2+</sup>]]、[[Ca<sup>2+</sup>/カルモジュリン]]、[[プロテインキナーゼA]]、[[プロテインキナーゼC]]、[[CaMキナーゼ]]等の作用によっても膜貫通型アデニル酸シクラーゼの活性は調節を受ける。哺乳類においては9種類([[AC1]]―[[AC9]])の膜貫通型アデニル酸シクラーゼが同定されており、[[脳神経]]系においては全種類が存在しているが、特にAC1と[[AC8]]が強い発現が見られる。  
 膜貫通型アデニル酸シクラーゼ(transmembrane adenylyl cyclase; tmAC)は12回膜貫通領域を持ち、その触媒部位は、細胞質側で6番目と7番目の膜貫通領域間を繋ぐ領域に存在するC1ドメインと、同じく細胞質側に露出したC末端に存在するC2ドメインが二量体化して構成される。膜貫通型アデニル酸シクラーゼを介してサイクリックAMP濃度上昇を誘発する細胞外リガンドとしては、[[アドレナリン]]、[[ドーパミン]]、[[セロトニン]]、[[PGE2]]、[[アデノシン]]、[[PACAP]]、[[SDF1]]等多数の[[神経伝達物質]]やホルモンがあるが、これらの[[代謝調節型受容体]]は7回膜貫通型の[[Gタンパク質共役型受容体]]であり、一般に[[Gs]]タイプの[[三量体Gタンパク質]]を介して膜貫通型アデニル酸シクラーゼを活性化する。逆に、[[Gi]]タイプの三量体Gタンパク質を介する受容体は、膜貫通型アデニル酸シクラーゼを抑制することでサイクリックAMP濃度を減少させる。また、[[カルシウム|Ca<sup>2+</sup>]]、Ca<sup>2+</sup>/[[カルモジュリン]]、[[プロテインキナーゼA]]、[[プロテインキナーゼC]]、[[CaMキナーゼ]]等の作用によっても膜貫通型アデニル酸シクラーゼの活性は調節を受ける。哺乳類においては9種類([[AC1]]―[[AC9]])の膜貫通型アデニル酸シクラーゼが同定されており、[[脳神経]]系においては全種類が存在しているが、特にAC1と[[AC8]]が強い発現が見られる。


=== 可溶性アデニル酸シクラーゼ  ===
=== 可溶性アデニル酸シクラーゼ  ===