「神経管」の版間の差分

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== 内部構造と細胞分化  ==
== 内部構造と細胞分化  ==
[[Image:神経管図3.jpg|thumb|300px|'''図3.脊髄神経管の内部構造と細胞分化'''<br>(A)ラット初期神経管における運動ニューロンの分化(Islet1/2抗体による免疫染色)<br>(B)マウス後期胚における脊髄原基の構造(ヘマトキシリン染色)<br>スケールバー : 200マイクロメートル]]  
[[Image:神経管図3.jpg|thumb|300px|'''図3.脊髄神経管の内部構造と細胞分化'''<br>(A) マウス脊髄神経管における脳室帯と外套層(Pax6抗体(緑)およびニューロン特異的ベータチューブリン抗体(マゼンタ)による免疫染色) <br>スケールバー: 100 マイクロメートル]]  


 発生初期の神経管は、細長い形態を持つ神経上皮細胞から構成される[[偽重層上皮]]である(図1)。神経上皮細胞は、[[脳室帯]](ventricular zone)を形成し、[[ interkinetic nuclear movement]]または[[エレベーター運動]]と呼ばれる細胞周期に依存した核の移動運動を行っている<ref name="ref9"><pubmed>18070110</pubmed></ref>。細胞分裂は主に脳室面で起こり、神経上皮細胞は非対称分裂によってニューロンを生み出す。ニューロンが神経管の基底膜側に移動することで、細胞が密集した[[外套層]](mantle layer)が形成される。神経上皮細胞の基底膜側突起は外套層が形成された後も外套層を横断し、神経管を包む[[基底膜]]に接している。脊髄原基においては、増殖や運動性に乏しい神経管の最腹側領域の[[底板]](floor plate) や最背側領域の蓋板(roof plate) からはニューロンは生み出されないが、これらの領域は、神経管の背腹軸領域化(パターン化)に関与する分泌性因子([[Shh]], [[BMP]], [[Wnt]]等)を産生するシグナリングセンターとして機能している<ref name="ref10"><pubmed>22821665</pubmed></ref>。領域化された神経管の脳室帯腹側領域は[[基板]] (basal plate)、背側領域は[[翼板]](alar plate)と呼ばれている (図3)。基板からは、[[運動ニューロン]]や[[介在ニューロン]]が派生し、翼板からは介在ニューロンが派生する。
 発生初期の神経管は、細長い形態を持つ神経上皮細胞から構成される[[偽重層上皮]]である(図1)。神経上皮細胞は、[[脳室帯]](ventricular zone)を形成し、[[ interkinetic nuclear movement]]または[[エレベーター運動]]と呼ばれる細胞周期に依存した核の移動運動を行っている<ref name="ref9"><pubmed>18070110</pubmed></ref>。細胞分裂は主に脳室面で起こり、神経上皮細胞は非対称分裂によってニューロンを生み出す。ニューロンが神経管の基底膜側に移動することで、細胞が密集した[[外套層]](mantle layer)が形成される。神経上皮細胞の基底膜側突起は外套層が形成された後も外套層を横断し、神経管を包む[[基底膜]]に接している。脊髄原基においては、増殖や運動性に乏しい神経管の最腹側領域の[[底板]](floor plate) や最背側領域の蓋板(roof plate) からはニューロンは生み出されないが、これらの領域は、神経管の背腹軸領域化(パターン化)に関与する分泌性因子([[Shh]], [[BMP]], [[Wnt]]等)を産生するシグナリングセンターとして機能している<ref name="ref10"><pubmed>22821665</pubmed></ref>。領域化された神経管の脳室帯腹側領域は[[基板]] (basal plate)、背側領域は[[翼板]](alar plate)と呼ばれている (図3)。基板からは、[[運動ニューロン]]や[[介在ニューロン]]が派生し、翼板からは介在ニューロンが派生する。