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Shojiitakura (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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英語名:Williams syndrome, Williams-Beuren syndrome | 英語名:Williams syndrome, Williams-Beuren syndrome | ||
類義語:ウイリアムス症候群、ウイリアムズ症候群、ウィリアムズ-バウレン症候群 | 類義語:ウイリアムス症候群、ウイリアムズ症候群、ウィリアムズ-バウレン症候群 | ||
関連語:乳児高カルシウム血症 | 関連語:乳児高カルシウム血症 | ||
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==症状と特徴== | ==症状と特徴== | ||
大動脈弁上狭窄という心臓疾患、短い眼瞼裂や低い鼻根などの特徴的な顔貌、聴覚過敏、低身長などの身体的特徴を伴い、乳児期に高カルシウム血症を示す子もいる<ref>'''山本俊至'''<br> | 大動脈弁上狭窄という心臓疾患、短い眼瞼裂や低い鼻根などの特徴的な顔貌、聴覚過敏、低身長などの身体的特徴を伴い、乳児期に高カルシウム血症を示す子もいる<ref>'''山本俊至'''<br> ウイリアムズ症候群とは<br>大澤真木子・中西俊雄(監修)松岡瑠美子・砂原眞理子・古谷道子(編)ウイリアムズ症候群ガイドブック<br>''東京: 中山書店'':2010, pp.6–9</ref>。 | ||
平均知能指数が55程度で、軽度から中度の知的障害を持つ人が多い<ref><pubmed>10953231</pubmed></ref>。ウィリアムズ症候群を持つ人の特性の中で特筆すべきものとして、言語能力の優位性と視空間認知能力の障害という能力の不均衡があると言われてきた<ref>'''CB Mervis, J Morris, J Bertrand, BF Robinson'''<br>Williams syndrome: Findings from an integrated program of research.<br>In H Tager-Flusberg (Ed.), Neurodevelopmental disorders.<br>''Cambridge, MA: MIT Press'':1999, pp.65–110</ref><ref><pubmed>3584299</pubmed></ref>。そのことにより、言語能力のモジュール説(言語が他の脳領域から独立して機能していることを主張する立場)を支持する症例として研究者らに取り上げられてきたことがあった<ref>'''S Pinker'''<br>Words and rules: The ingredients of language.<br>''New York: Basic Books.'':1999</ref>。しかし、近年この考えはウィリアムズ症候群における言語能力と認知能力の乖離を誇張しがちであるとし批判され<ref><pubmed>17326109</pubmed></ref>、その批判を支持する研究が多い<ref>'''A Karmiloff-Smith'''<br>Research into Williams syndrome: The state of the art.<br>In CA Nelson, M Luciana (Eds.), Handbook of Developmental Cognitive | 平均知能指数が55程度で、軽度から中度の知的障害を持つ人が多い<ref><pubmed>10953231</pubmed></ref>。ウィリアムズ症候群を持つ人の特性の中で特筆すべきものとして、言語能力の優位性と視空間認知能力の障害という能力の不均衡があると言われてきた<ref>'''CB Mervis, J Morris, J Bertrand, BF Robinson'''<br>Williams syndrome: Findings from an integrated program of research.<br>In H Tager-Flusberg (Ed.), Neurodevelopmental disorders.<br>''Cambridge, MA: MIT Press'':1999, pp.65–110</ref><ref><pubmed>3584299</pubmed></ref>。そのことにより、言語能力のモジュール説(言語が他の脳領域から独立して機能していることを主張する立場)を支持する症例として研究者らに取り上げられてきたことがあった<ref>'''S Pinker'''<br>Words and rules: The ingredients of language.<br>''New York: Basic Books.'':1999</ref>。しかし、近年この考えはウィリアムズ症候群における言語能力と認知能力の乖離を誇張しがちであるとし批判され<ref><pubmed>17326109</pubmed></ref>、その批判を支持する研究が多い<ref>'''A Karmiloff-Smith'''<br>Research into Williams syndrome: The state of the art.<br>In CA Nelson, M Luciana (Eds.), Handbook of Developmental Cognitive | ||
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[[image:Williams_syndrome_fig1.png|thumb|250px|'''図1 ウィリアムズ症候群を持つ子どもが描いた自転車の絵 左は9歳7か月時、右は12歳11か月時に描いたもの 左は、ハンドル(handles)・ペダル(pedals)・シート(seat)・輪止め(spokes)・車輪(wheel)を描写している<ref name=ref1><pubmed>10899809</pubmed></ref> John Wiley & Sonsより許可を得て掲載''']] | [[image:Williams_syndrome_fig1.png|thumb|250px|'''図1 ウィリアムズ症候群を持つ子どもが描いた自転車の絵 左は9歳7か月時、右は12歳11か月時に描いたもの 左は、ハンドル(handles)・ペダル(pedals)・シート(seat)・輪止め(spokes)・車輪(wheel)を描写している<ref name=ref1><pubmed>10899809</pubmed></ref> John Wiley & Sonsより許可を得て掲載''']] | ||
視空間認知では、積み木の模様構成や描画でかなりの困難を示す。WS者の描画能力の例として、図1がある<ref name=ref1> | 視空間認知では、積み木の模様構成や描画でかなりの困難を示す。WS者の描画能力の例として、図1がある<ref name=ref1></ref>。その一方で、顔の認識能力は他の能力と比べて高く、複数の顔写真の中からターゲットとなる顔と(角度や照明の状況が異なっている)同じ顔を選択させるベントン顔認識テスト(Benton Test of Facial Recognition)で、ウィリアムズ症候群を持つ人の生活年齢と同等かそれに近いレベルの成績を示すことが報告されている<ref>'''U Bellugi, PP Wang, TL Jernigan'''<br>Williams syndrome: An unusual neuropsychological profile.<br>In S Broman, J Grafman (Eds.), Atypical cognitive deficits in developmental disorders: Implications for brain function.<br>'' Hillsdale, NJ: Lawrence Erlbaum Associates.'':1994, pp.23–56</ref><ref><pubmed>12893122</pubmed></ref>。 | ||
言語・社会能力では、他の能力に比べて高い語い能力を有する。しかし、文法能力は精神年齢と同程度で、語用能力(文脈に応じて適切に言葉を理解・使用する能力)にも困難を抱えるという報告がある<ref><pubmed>22866045</pubmed></ref><ref><pubmed>17241486</pubmed></ref>。また、初対面の人にも躊躇なく接することや人とたくさん話すなどの高い社交性を持つ<ref><pubmed>20070473</pubmed></ref><ref><pubmed>10953232</pubmed></ref>が、その高すぎる社交性によりトラブルになるまたは巻き込まれるということもある<ref>'''E Semel, SR Rosner'''<br>Understanding Williams syndrome: Behavioral patterns and interventions<br>''Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates'':2003</ref>。 | 言語・社会能力では、他の能力に比べて高い語い能力を有する。しかし、文法能力は精神年齢と同程度で、語用能力(文脈に応じて適切に言葉を理解・使用する能力)にも困難を抱えるという報告がある<ref><pubmed>22866045</pubmed></ref><ref><pubmed>17241486</pubmed></ref>。また、初対面の人にも躊躇なく接することや人とたくさん話すなどの高い社交性を持つ<ref><pubmed>20070473</pubmed></ref><ref><pubmed>10953232</pubmed></ref>が、その高すぎる社交性によりトラブルになるまたは巻き込まれるということもある<ref>'''E Semel, SR Rosner'''<br>Understanding Williams syndrome: Behavioral patterns and interventions<br>''Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates'':2003</ref>。 | ||
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==臨床== | ==臨床== | ||
聴覚過敏などに伴う不安のコントロール、高い社交性(例:人に近づきすぎる)がトラブルを生まないような配慮が必要である。また、一見して分かる、多弁や高い社交性という特徴だけにとらわれず、ウィリアムズ症候群を持つ人の得手・不得手を見極めた対応が重要である。 | 聴覚過敏などに伴う不安のコントロール、高い社交性(例:人に近づきすぎる)がトラブルを生まないような配慮が必要である。また、一見して分かる、多弁や高い社交性という特徴だけにとらわれず、ウィリアムズ症候群を持つ人の得手・不得手を見極めた対応が重要である。 | ||
<references/> | <references/> |
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