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== パターン補完との関連 == | == パターン補完との関連 == | ||
CA3野内に存在する再帰型局所回路は、連合記憶ネットワークを担っているとされる。連合記憶ネットワークでは、シナプス強度の調節を介して、部分的な情報の断片をもとに、それまでに保存されていた記憶の全体を取り戻すことである。この過程のことを、パターン補完と呼ぶ。このパターン補完にはCA3野が深く関わっているとされる。CA3野の錐体細胞選択的にNMDA受容体サブユニット1を欠損させたノックアウトマウス(CA3-NR1 KOマウス)を用い、次のような実験結果を得られている[29]。モリスの水迷路試験において、コントロールマウスは周囲の手がかり(cue)の数が4つであっても、1つであっても、記憶の想起が可能であった。しかし、CA3-NR1 KOマウスは、手がかりの数が4つの時には記憶の想起が可能であったものの、手がかりが1つになると記憶の想起は著しく障害された。また、コントロールマウスは、手がかりが4つから1つになっても、場所受容野が安定していたのに対し、CA3-NR1 KOマウスでは、手がかりが4つから1つになると、場所受容野が著しく縮小する。これらのことから、CA3野はパターン補完と深い関係があると考えられている。 | CA3野内に存在する再帰型局所回路は、連合記憶ネットワークを担っているとされる。連合記憶ネットワークでは、シナプス強度の調節を介して、部分的な情報の断片をもとに、それまでに保存されていた記憶の全体を取り戻すことである。この過程のことを、パターン補完と呼ぶ。このパターン補完にはCA3野が深く関わっているとされる。CA3野の錐体細胞選択的にNMDA受容体サブユニット1を欠損させたノックアウトマウス(CA3-NR1 KOマウス)を用い、次のような実験結果を得られている[29]。モリスの水迷路試験において、コントロールマウスは周囲の手がかり(cue)の数が4つであっても、1つであっても、記憶の想起が可能であった。しかし、CA3-NR1 KOマウスは、手がかりの数が4つの時には記憶の想起が可能であったものの、手がかりが1つになると記憶の想起は著しく障害された。また、コントロールマウスは、手がかりが4つから1つになっても、場所受容野が安定していたのに対し、CA3-NR1 KOマウスでは、手がかりが4つから1つになると、場所受容野が著しく縮小する。これらのことから、CA3野はパターン補完と深い関係があると考えられている。 | ||
== 参考文献 == | |||
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