「妄想」の版間の差分

編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
12行目: 12行目:
== 定義 ==
== 定義 ==
   
   
 一般に、妄想 (delusion) とは患者の教育的、文化的、社会的背景に一致しない誤った揺るぎない観念 (idea) ないし信念 (belief) と定義される。妄想と真の信念との相違は、妄想では明らかな反証があっても確信が保持されることによる。ただし、妄想と真の信念と区別は患者が主観的に行いうるものではなく、ある確信が妄想的か否かという判断は外部の観察者によって行われる。すなわち、その内容が非蓋然的(ありそうにない)であることに対する患者の判断が誤っているとされる場合、その確信は妄想とされる<ref name=ref5>'''針間博彦'''<br>妄想. 樋口輝彦編:今日の精神疾患治療指針<br>''医学書院''、東京、2012</ref>。
 一般に、妄想 (delusion) とは患者の教育的、文化的、社会的背景に一致しない誤った揺るぎない観念 (idea) ないし信念 (belief) と定義される。妄想と真の信念との相違は、妄想では明らかな反証があっても確信が保持されることによる。ただし、妄想と真の信念と区別は患者が主観的に行いうるものではなく、ある確信が妄想的か否かという判断は外部の観察者によって行われる。すなわち、その内容が非蓋然的(ありそうにない)であることに対する患者の判断が誤っているとされる場合、その確信は妄想とされる<ref name=ref5>'''針間博彦'''<br>妄想. 樋口輝彦編:今日の[[精神疾患]]治療指針<br>''医学書院''、東京、2012</ref>。


 [[DSM-5]]<ref name=ref4>'''American Psychiatric Association'''<br>Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. 5th ed. <br>''Washington DC, APA'', 2013</ref>では、妄想は次のように説明される(1-3の番号は筆者による)。
 [[DSM-5]]<ref name=ref4>'''American Psychiatric Association'''<br>Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. 5th ed. <br>''Washington DC, APA'', 2013</ref>では、妄想は次のように説明される(1-3の番号は筆者による)。
103行目: 103行目:
delusional misidentification
delusional misidentification


 人物誤認は妄想的確信を伴うことが多い。良く知っている人が瓜二つの別人に取って代わられているというカプグラ症候群、身の回り周りにいる種々の人は実は同一人物が変装して姿を変えたものであるというフレゴリ症候群のほか、周囲の身近な人々が相互に入れ替わるという相互変身妄想、自分とそっくりの分身がいるという自己分身症候群がある。
 人物誤認は妄想的確信を伴うことが多い。良く知っている人が瓜二つの別人に取って代わられているという[[カプグラ症候群]]、身の回り周りにいる種々の人は実は同一人物が変装して姿を変えたものであるというフレゴリ症候群のほか、周囲の身近な人々が相互に入れ替わるという相互変身妄想、自分とそっくりの分身がいるという自己分身症候群がある。


===自我障害===
===自我障害===