「グリア細胞」の版間の差分

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====損傷を受けた細胞の除去====
====損傷を受けた細胞の除去====
 ミクログリアがリオ・オルテガによって第三の脳細胞としてオリゴデンドロサイトと共に発見されたのは1932年であるが、その後その性質はごく最近になるまでほとんど解明されないままになっていた(図14)。実は、20世紀初頭、[[wj:アロイス・アルツハイマー|アルツハイマー]]や彼の同時代の病理学者達は神経変性が生じている部位に突起のないアメーバ状の細胞が多数浸潤していることに気づいていた。これらは顆粒細胞(granule cells)とか格子細胞(lattice cells)と呼ばれ、当時は認識されていたアストロサイトとは別ものであり、神経疾患部位に出現する細胞と認識していた。この姿は損傷部位に浸潤している細胞であり、この姿が誤解されて、障害の犯人扱いされることがあった。しかし、脳という閉鎖空間では死んだ細胞を素早く片付けることが必須であり、その意味で、極めて重要な機能である。
 ミクログリアがリオ・オルテガによって第三の脳細胞としてオリゴデンドロサイトと共に発見されたのは1932年であるが、その後その性質はごく最近になるまでほとんど解明されないままになっていた(図14)。実は、20世紀初頭、[[wj:アロイス・アルツハイマー|アルツハイマー]]や彼の同時代の病理学者達は神経変性が生じている部位に突起のないアメーバ状の細胞が多数浸潤していることに気づいていた。これらは顆粒細胞(granule cells)とか格子細胞(lattice cells)と呼ばれ、当時は認識されていたアストロサイトとは別ものであり、神経疾患部位に出現する細胞と認識されていた。この姿は損傷部位に浸潤していたため、障害の犯人と誤解されたことがあった。しかし、これはミクログリアが細胞死を起こした神経細胞などを除去しているところを捉えたのである。脳という閉鎖空間では死んだ細胞を素早く片付けることが必須であり、その意味で、極めて重要な機能である。
 
====ミクログリアの出動====
====ミクログリアの出動====
 [[二光子励起顕微鏡]]によって脳に傷つけることなく深部に存在する細胞の動きを捉えることができるようになり、多くの新しい発見がなされている。その中でもミクログリアのダイナミックな活動の可視化はこの細胞の機能の解明に役立っている。特に興味深いのはミクログリアの突起の正常時の柔らかではあるがダイナミックな動き、そして、損傷部位に対するミクログリアの突起の早い反応とその後の損傷部位への移動の過程である。固定された組織標本では認識できない。ダイナミックな活動が示されている<ref><pubmed>15831717</pubmed></ref>。
 [[二光子励起顕微鏡]]によって脳に傷つけることなく深部に存在する細胞の動きを捉えることができるようになり、多くの新しい発見がなされている。その中でもミクログリアのダイナミックな活動の可視化はこの細胞の機能の解明に役立っている。特に興味深いのはミクログリアの突起の正常時の柔らかではあるがダイナミックな動き、そして、損傷部位に対するミクログリアの突起の早い反応とその後の損傷部位への移動の過程である。固定された組織標本では認識できない。ダイナミックな活動が示されている<ref><pubmed>15831717</pubmed></ref>。