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手話の神経基盤に関わる研究がいくつか報告されている。例えば、デイビッド・コリーナ (David Corina) らによる論文では、ジェスチャーの理解と生成が保たれているにも関わらず、手話の理解と発話に障害の起きた例が報告されている<ref><pubmed> 1446211 </pubmed></ref>。W. L. と呼ばれるこの患者では、左半球の[[下前頭回]]とその領域に隣接する[[白質]]線維である弓状束、さらに、[[縁上回]]の一部とその奥にある白質領域が損傷を受けていた。 | 手話の神経基盤に関わる研究がいくつか報告されている。例えば、デイビッド・コリーナ (David Corina) らによる論文では、ジェスチャーの理解と生成が保たれているにも関わらず、手話の理解と発話に障害の起きた例が報告されている<ref><pubmed> 1446211 </pubmed></ref>。W. L. と呼ばれるこの患者では、左半球の[[下前頭回]]とその領域に隣接する[[白質]]線維である弓状束、さらに、[[縁上回]]の一部とその奥にある白質領域が損傷を受けていた。 | ||
fMRIを用いた脳機能イメージング研究<ref><pubmed> 15728651</pubmed></ref> では、ろう者を親に持ち手話を第一言語とする聴者 (CODA: Children of Deaf Adults) とろう者における日本手話の文章理解課題時の脳活動は、手話を知らない聴者における日本語の文章理解課題時の脳活動と同様に、言語野の活動が左優位であることが確かめられている。さらに最近、日本手話の単語・文・文脈という言語情報の統合のレベルに対応して、左前頭皮質の活動が背側から腹側方向にかけて広がっていくことが示された <ref name=ref2 />( | fMRIを用いた脳機能イメージング研究<ref><pubmed> 15728651</pubmed></ref> では、ろう者を親に持ち手話を第一言語とする聴者 (CODA: Children of Deaf Adults) とろう者における日本手話の文章理解課題時の脳活動は、手話を知らない聴者における日本語の文章理解課題時の脳活動と同様に、言語野の活動が左優位であることが確かめられている。さらに最近、日本手話の単語・文・文脈という言語情報の統合のレベルに対応して、左前頭皮質の活動が背側から腹側方向にかけて広がっていくことが示された <ref name=ref2 />(図4)。音声言語と手話の処理機構の相同性の解明は、視覚や聴覚といったモダリティーに依存しない普遍的な言語処理機構の解明に役立ち、より詳細な研究が望まれる。 | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
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