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菌は産生する神経毒素活性を持つ毒素の抗原性により分類されA〜G型の7型がある。ヒトのボツリヌス症は、主としてA、BおよびE型により起こり、稀にF型による事例が報告されている。わが国では1951年「[[wj:飯寿司|いずし]]」を原因食品とするE型菌による[[wj:食中毒|食中毒]] | 菌は産生する神経毒素活性を持つ毒素の抗原性により分類されA〜G型の7型がある。ヒトのボツリヌス症は、主としてA、BおよびE型により起こり、稀にF型による事例が報告されている。わが国では1951年「[[wj:飯寿司|いずし]]」を原因食品とするE型菌による[[wj:食中毒|食中毒]]が初めて報告され、その後北海道、東北地方を中心に中毒の発生が多い。アメリカ、カリフォルニア州で1歳未満、特に生後2週から3ヶ月の乳児に麻痺症状を呈する患者が多数発生したことを契機として、1976年には、乳児の消化管内で菌の増殖にともなう毒素産生によって起こる乳児ボツリヌス症が確認された<ref name=ref1><pubmed>62164</pubmed></ref>。本症は北アメリカ以外に、南アメリカ、ヨーロッパ、日本、オーストラリアの各地で発生が報告されている。 | ||
2013年には、G型毒素が発見されて以来、約40年ぶりとなる新型ボツリヌス毒素(H型毒素)産生菌が、米国の乳児ボツリヌス症患者から分離された<ref name=ref02><pubmed>24106296</pubmed></ref> | 2013年には、G型毒素が発見されて以来、約40年ぶりとなる新型ボツリヌス毒素(H型毒素)産生菌が、米国の乳児ボツリヌス症患者から分離された<ref name=ref02><pubmed>24106296</pubmed></ref>。この菌は、B型とH型毒素の2種類を産生する株(Bh型)であり、産生毒素は、A型~G型の抗毒素血清に中和されなかった。また、[[wj:二重免疫拡散試験|二重免疫拡散試験]]、毒素アミノ酸配列比較からも、既存のA型~G型毒素とは異なる型であると考えられた。アミノ酸配列から軽鎖領域はF型毒素と類似し、重鎖C末端領域はA型毒素と類似している<ref name=ref03><pubmed>24106295</pubmed></ref>。しかしながら、いずれの領域も毒素の中和とは関係ないことから新規の毒素型と判断された。H型毒素を単独で産生する株が発見されていないことから、複数の毒素を産生する株も含めて、今後慎重な型別をする必要がある。 | ||
C2毒素は、ボツリヌス菌が産生する2成分毒素であるが、ボツリヌス神経毒素とは構造および生物活性が全く異なる。細胞内[[アクチン]]を[[ADPリボシル]]化し、アクチンの重合化を妨げ、[[細胞骨格]]を破壊すると考えられている<ref name=ref04><pubmed>3335520</pubmed></ref>。 | |||
C3酵素は、C型菌が産生する第3番目の酵素、C3毒素として報告されたが、C3毒素はC1(神経毒素)やC2毒素のような致死活性はないため、C3酵素と呼ばれる。C3酵素の分子レベルの活性は、ADPリボシル化による[[Rhoファミリー低分子量Gタンパク質]]の不活化である<ref name=ref05><pubmed>3805032</pubmed></ref>。 | |||
==臨床症状== | ==臨床症状== |