「セロトニン神経系」の版間の差分

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==== 睡眠  ====
==== 睡眠  ====


 5-HT<sub>1A</sub>、5-HT<sub>1B</sub>、5-HT<sub>2A/2C</sub>、5-HT<sub>3</sub>、5-HT<sub>6</sub>、5-HT<sub>7</sub>受容体アゴニストの全身、又は脳室内投与は共通して[[覚醒]]を促進し、[[REM睡眠]]を抑制する。5-HT<sub>1A</sub>、5-HT<sub>1B</sub>受容体欠損マウスではREM睡眠の促進が生じ、アゴニスト投与の効果と矛盾しない。しかし、5-HT<sub>2A</sub>、5-HT<sub>2C</sub>受容体欠損マウスでは覚醒が促進され、5-HT<sub>7</sub>受容体欠損マウスではREM睡眠が抑制される<ref><pubmed>21459634</pubmed></ref>。  
 5-HT<sub>1A</sub>、5-HT<sub>1B</sub>、5-HT<sub>2A/2C</sub>、5-HT<sub>3</sub>、[[セロトニン#5-HT6.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|5-HT<sub>6</sub>]]、5-HT<sub>7</sub>受容体アゴニストの全身、又は脳室内投与は共通して[[覚醒]]を促進し、[[REM睡眠]]を抑制する。5-HT<sub>1A</sub>、5-HT<sub>1B</sub>受容体欠損マウスではREM睡眠の促進が生じ、アゴニスト投与の効果と矛盾しない。しかし、5-HT<sub>2A</sub>、5-HT<sub>2C</sub>受容体欠損マウスでは覚醒が促進され、5-HT<sub>7</sub>受容体欠損マウスではREM睡眠が抑制される<ref><pubmed>21459634</pubmed></ref>。  


==== 痛覚  ====
==== 痛覚  ====
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==== 学習・記憶  ====
==== 学習・記憶  ====


 セロトニン神経の障害やセロトニン含量の低下を生じさせた遺伝子改変マウスでは、多くの場合恐怖条件付けが亢進している<ref name="ref10" />。5-HT<sub>1A</sub>受容体欠損マウスでは海馬依存性の空間学習課題などに障害が見られるが<ref name="ref11"><pubmed>19086256</pubmed></ref>、5-HT<sub>1A</sub>アゴニストを海馬に投与しても[[空間学習]]の遂行が悪くなる<ref><pubmed>9142756</pubmed></ref>。一方で、縫線核に5-HT<sub>1A</sub>アゴニストを投与すると作業記憶課題の遂行が良くなることなどから、5-HT<sub>1A</sub>の自己受容体とそれ以外とでは認知機能に対して逆の作用を持ち、自己受容体の活性化によるセロトニン神経の活動低下が記憶課題の遂行を改善することが示唆されている<ref name="ref11" />。5-HT<sub>4</sub>受容体のアゴニスト投与によって複数の[[記憶]]課題において改善が見られ、アンタゴニスト投与によって受動的回避学習の成績が低下するため、この受容体の活性化は概ね記憶課題を改善する方向に働く。逆に5-HT<sub>6</sub>受容体の場合はアンタゴニストの投与によって、空間学習課題などの遂行が改善する<ref name="ref11" />。  
 セロトニン神経の障害やセロトニン含量の低下を生じさせた遺伝子改変マウスでは、多くの場合恐怖条件付けが亢進している<ref name="ref10" />。5-HT<sub>1A</sub>受容体欠損マウスでは海馬依存性の空間学習課題などに障害が見られるが<ref name="ref11"><pubmed>19086256</pubmed></ref>、5-HT<sub>1A</sub>アゴニストを海馬に投与しても[[空間学習]]の遂行が悪くなる<ref><pubmed>9142756</pubmed></ref>。一方で、縫線核に5-HT<sub>1A</sub>アゴニストを投与すると作業記憶課題の遂行が良くなることなどから、5-HT<sub>1A</sub>の自己受容体とそれ以外とでは認知機能に対して逆の作用を持ち、自己受容体の活性化によるセロトニン神経の活動低下が記憶課題の遂行を改善することが示唆されている<ref name="ref11" />。[[セロトニン#5-HT4.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|5-HT<sub>4</sub>]]受容体のアゴニスト投与によって複数の[[記憶]]課題において改善が見られ、アンタゴニスト投与によって受動的回避学習の成績が低下するため、この受容体の活性化は概ね記憶課題を改善する方向に働く。逆に5-HT<sub>6</sub>受容体の場合はアンタゴニストの投与によって、空間学習課題などの遂行が改善する<ref name="ref11" />。  


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