「言語」の版間の差分

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*右半球言語領域(right hemisphere language zone)は、状況に応じた言語使用、[[比喩]]、談話主題の維持、言語による[[情動]]表現など、語用論において重要な役割を果たしている。この領域の傷害により、比喩理解の障害、[[ユーモア]]理解の障害、[[談話]]の一貫性の消失などが報告されている<ref name=Weylman1988><pubmed>2451849</pubmed></ref>。また、[[感情]]を言語にこめられなくなったり、言葉が含む感情が理解できなくなったりすることも報告されている<ref name=Ross1981><pubmed>7271534</pubmed></ref>。
*右半球言語領域(right hemisphere language zone)は、状況に応じた言語使用、[[比喩]]、談話主題の維持、言語による[[情動]]表現など、語用論において重要な役割を果たしている。この領域の傷害により、比喩理解の障害、[[ユーモア]]理解の障害、[[談話]]の一貫性の消失などが報告されている<ref name=Weylman1988><pubmed>2451849</pubmed></ref>。また、[[感情]]を言語にこめられなくなったり、言葉が含む感情が理解できなくなったりすることも報告されている<ref name=Ross1981><pubmed>7271534</pubmed></ref>。


 [[ウェルニッケ=ゲシュビント・モデル]]では<ref name=Geschwind1979><pubmed>493918</pubmed></ref>、言語理解の相と言語産出の相をつなぐことで、ヒトが聞き手ないし読み手として言語理解をしてから、話し手ないし書き手として言語産出をするまでをモデル化している。話し言葉は耳で知覚して、視床の[[内側膝状体]]を経由して、[[大脳皮質]]の上側頭回にある一次[[聴覚野]]へ情報が入る。言語中枢であるウェルニッケ野から弓状束を通りブローカ野に至る領域で理解と産出をおこない、そして一次[[運動野]]から口を制御して音声を発するという経路をたどる。書き言葉は目で知覚して、視床の[[外側膝状体]]を経由して、大脳皮質の[[後頭葉]]にある一次[[視覚野]]へ情報が入る。[[側頭頭頂接合部]]にある角回を経由して、言語中枢で理解と産出をおこない、そして一次運動野から手を制御して文字を記すという経路をたどる。いずれも、主に環シルビウス溝言語領域における活動のモデル化となっており、言語学における音韻論、形態論、そして統語論の神経基盤、すなわち言語中枢と考えられている。これに、環・環シルビウス溝言語領域による意味論的な情報の充填、右半球言語領域による語用論的な情報の充填がおこなわれていると予想している<ref name=Yamadori1996></ref>。
 [[ウェルニッケ=ゲシュビント・モデル]]では<ref name=Geschwind1979><pubmed>493918</pubmed></ref>、言語理解の相と言語産出の相をつなぐことで、ヒトが聞き手ないし読み手として言語理解をしてから、話し手ないし書き手として言語産出をするまでをモデル化している。話し言葉は耳で知覚して、視床の[[内側膝状体]]を経由して、[[大脳皮質]]の上側頭回にある一次[[聴覚野]]へ情報が入る。言語中枢であるウェルニッケ野から弓状束を通りブローカ野に至る領域で理解と産出をおこない、そして一次[[運動野]]から口を制御して音声を発するという経路をたどる。書き言葉は目で知覚して、視床の[[外側膝状体]]を経由して、大脳皮質の[[後頭葉]]にある一次[[視覚野]]へ情報が入る。[[側頭頭頂接合部]]にある角回を経由して、言語中枢で理解と産出をおこない、そして一次運動野から手を制御して文字を記すという経路をたどる。いずれも、主に環シルビウス溝言語領域における活動のモデル化となっており、言語学における音韻論、形態論、そして統語論の神経基盤、すなわち言語中枢と考えられている。これに、環・環シルビウス溝言語領域による意味論的な情報の充填、右半球言語領域による語用論的な情報の充填がおこなわれていると予想されている<ref name=Yamadori1996></ref>。


==イメージング研究の知見==
==イメージング研究の知見==