「プレパルス・インヒビション」の版間の差分

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<font size="+1">高橋 秀俊</font><br>
<font size="+1">[https://researchmap.jp/HidetoshiTakahashi 高橋 秀俊]</font><br>
''独立行政法人国立精神・神経医療研究センター''<br>
''独立行政法人国立精神・神経医療研究センター''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年4月2日 原稿完成日:2012年4月26日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年4月2日 原稿完成日:2012年4月26日<br>
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 驚愕刺激(パルス)の直前に微弱な刺激(プレパルス)が先行することにより驚愕反応が大幅に抑制される現象をプレパルス・インヒビションという。人と動物の両方で測定することができ、関連する脳部位や遺伝子多型など基礎的・臨床的研究が世界的に行われている。統合失調症患者および統合失調症の動物モデルの両方で低下が見られることから、統合失調症の[[エンドフェノタイプ]]として用いられることがある。
 驚愕刺激(パルス)の直前に微弱な刺激(プレパルス)が先行することにより驚愕反応が大幅に抑制される現象をプレパルス・インヒビションという。人と動物の両方で測定することができ、関連する脳部位や遺伝子多型など基礎的・臨床的研究が世界的に行われている。統合失調症患者および統合失調症の[[動物モデル]]の両方で低下が見られることから、統合失調症の[[エンドフェノタイプ]]として用いられることがある。
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==遺伝子多型 ==
==遺伝子多型 ==


 近年PPIと[[遺伝子多型]]との関連について多くの報告があり、これらには[[カテコールO-メチル基転移酵素]](COMT) Val158Met、ドーパミンD3受容体(DRD3) Ser9Gly、[[ニューレグリン]]1(NRG1) Arg38Gln、[[セロトニン#5-HT2.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|セロトニン<sub>2A</sub>受容体]](5-HT<sub>2A</sub>) A1438G/T102C、[[ニコチン性アセチルコリン受容体]](nAChR)のα3サブユニット(CHRNA3)、v-rel avian reticuloendotheliosis viral oncogene homolog A (RELA) geneなど、多くの遺伝子多型が含まれる。これらの報告は、PPIが複数の神経系に関連したpolygenetic traitであること、およびgenetic studyにおけるエンドフェノタイプの使用が有用であることを支持していると考えられる<ref name=ref1 />。
 近年PPIと[[遺伝子多型]]との関連について多くの報告があり、これらには[[カテコール-O-メチル基転移酵素]](COMT) Val158Met、ドーパミンD3受容体(DRD3) Ser9Gly、[[ニューレグリン]]1(NRG1) Arg38Gln、[[セロトニン#5-HT2.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|セロトニン<sub>2A</sub>受容体]](5-HT<sub>2A</sub>) A1438G/T102C、[[ニコチン性アセチルコリン受容体]](nAChR)のα3サブユニット(CHRNA3)、v-rel avian reticuloendotheliosis viral oncogene homolog A (RELA) geneなど、多くの遺伝子多型が含まれる。これらの報告は、PPIが複数の神経系に関連したpolygenetic traitであること、およびgenetic studyにおけるエンドフェノタイプの使用が有用であることを支持していると考えられる<ref name=ref1 />。


==統合失調症とPPI==
==統合失調症とPPI==