「統合失調症」の版間の差分

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===疾患概念===
===疾患概念===
 統合失調症のような精神疾患は、ごく簡潔に述べれば臨床症状と経過にもとづいて診断する。つまり、多くの精神疾患の疾患概念は、臨床症状と経過にもとづいて成立している。この現状を身体疾患に喩えると、「疾患」の基準を満たすとは言えず、「症候群」のレベルと言えるかどうかについても疑問があり、「症状群」に留まっていると言えるかもしれない。
 統合失調症は、臨床症状と経過にもとづいて診断するため、身体疾患に喩えると、「疾患」の基準を満たすとは言えず、「症候群」あるいは「症状群」に留まっている。臨床症状と経過のみで疾患概念を形成することは困難であり、「臨床症状と経過をどのくらい詳細に検討すれば、疾患概念をどの程度の正確さで定義できるか?」への挑戦が続いているのが現状である。


 臨床症状と経過にもとづいて疾患概念を形成することが困難であるのは、自明である。現状をもう少し正確に述べると、「臨床症状と経過をどのくらい詳細に検討すれば、疾患概念をどの程度の正確さで定義できるか?」への挑戦が続いていると言える。その正確さは、症状の特徴や疾患の性質により異なる。
 統合失調症が単一の病因にもとづく疾患概念であると考えている臨床家や研究者は皆無に近いにもかかわらず、統合失調症がひとつの疾患であるかのように取り扱われていることについては、いくつかの立場がある。病因はさまざまであるが病態のなかに共通する部分があり、臨床家はその点をひとつの疾患と捉えているとする考えがある。そうした共通する病態を認めず、病因も病態も異なるが臨床症状が類似している複数の疾患を、ひとつの疾患として捉えているにすぎないとする考えもある。そのような立場から、現状の統合失調症という疾患概念は将来は複数の疾患概念に解体され、あるいはその一部は他の疾患と統合されるだろうと見通す考え方もある。
 
 したがって例えば統合失調症について、それが単一の病因にもとづく疾患概念であると考えている臨床家や研究者は皆無に近い。そうであるにも関わらず統合失調症をひとつの疾患であるかのように取り扱うことをどう考えるかには、いくつかの立場がある。病因はさまざまであるが病態のなかに共通する部分があり、臨床家はその点をひとつの疾患と捉えているとする考えがある。そうした共通する病態を認めず、病因も病態も異なるが臨床症状が類似している複数の疾患を、ひとつの疾患として捉えているにすぎないとする考えもある。そのような立場からは、現状の統合失調症という疾患概念は将来は複数の疾患概念に解体され、あるいはその一部は他の疾患と統合されるだろうと見通す考え方もある。


 精神疾患におけるそうした一般的な状況を踏まえて、症状にもとづいて定義された疾患概念をもとに検討を進めることを放棄し、既存の疾患概念を横断する形で精神症状や心理機能や脳機能にもとづいて検討を進めるべきだとする考え、精神疾患概念をカテゴリーとしてではなくディメンションとして捉えるべきだとの考えも強まっている。この問題は結局、症状という現象を取り扱っている限りは結論に至ることはなく、その背景にある実体が明らかとなることで初めて解決する。
 精神疾患におけるそうした一般的な状況を踏まえて、症状にもとづいて定義された疾患概念をもとに検討を進めることを放棄し、既存の疾患概念を横断する形で精神症状や心理機能や脳機能にもとづいて検討を進めるべきだとする考え、精神疾患概念をカテゴリーとしてではなくディメンションとして捉えるべきだとの考えも強まっている。この問題は結局、症状という現象を取り扱っている限りは結論に至ることはなく、その背景にある実体が明らかとなることで初めて解決する。