「脳梗塞」の版間の差分

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==診断(診断基準、鑑別診断を含む)==
==診断==
===病歴聴取===
===病歴聴取===
====発症時間====
====発症時間====
 脳梗塞の超急性期治療には、発症後の経過時間によりその適応が規定されるものがある。その典型例は[[急性期rt-PA静注血栓溶解療法]]であり、その適応は発症後4.5時間以内と規定され、これを遵守することが治療成績に大きく影響する。したがって、発症時間を確認することが重要であるが、[[睡眠]]中発症や独居老人などでは発症時間を確認することが困難であり、このため最終健常確認時間を発症時間とみなす。つまり発見時間が発症時間ではないことに十分注意した上で現病歴を聴取することが重要である。
 脳梗塞の超急性期治療には、発症後の経過時間によりその適応が規定されるものがある。その典型例は急性期[[rt-PA静注血栓溶解療法]]であり、その適応は発症後4.5時間以内と規定され、これを遵守することが治療成績に大きく影響する。したがって、発症時間を確認することが重要であるが、[[睡眠]]中発症や独居老人などでは発症時間を確認することが困難であり、このため最終健常確認時間を発症時間とみなす。つまり発見時間が発症時間ではないことに十分注意した上で現病歴を聴取することが重要である。


====基礎疾患====
====基礎疾患====
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 発症4.5時間以内に治療開始できる場合に考慮する(グレードA)。本邦では海外での使用量よりも少ない[[アルテプラーゼ]](0.6mg/kg)で適応が通っており、その1/10量を1〜2分かけて投与した後、残りを1時間かけて投与する。ただし、頭蓋内出血既往・血糖値異常(50mg/dl未満または400mg/dl以上)・血小板数低値(10万/mm3以下)・PT-INR>1.7・CTで広汎な早期虚血性変化を認めた場合などが主な禁忌項目であり、年齢75歳以上・NIHSSスコア23以上・JCS100以上など慎重投与項目も2つ以上が認められた場合には転帰が不良であることが報告されており注意を要する。
 発症4.5時間以内に治療開始できる場合に考慮する(グレードA)。本邦では海外での使用量よりも少ない[[アルテプラーゼ]](0.6mg/kg)で適応が通っており、その1/10量を1〜2分かけて投与した後、残りを1時間かけて投与する。ただし、頭蓋内出血既往・血糖値異常(50mg/dl未満または400mg/dl以上)・血小板数低値(10万/mm3以下)・PT-INR>1.7・CTで広汎な早期虚血性変化を認めた場合などが主な禁忌項目であり、年齢75歳以上・NIHSSスコア23以上・JCS100以上など慎重投与項目も2つ以上が認められた場合には転帰が不良であることが報告されており注意を要する。


===脳血管内治療による血栓除去術(機械的血栓除去術)===  
===脳血管内治療による血栓除去術===  
 発症早期の内頸動脈または[[中大脳動脈]]閉塞による急性期脳梗塞に対して、rt-PA静注血栓溶解療法を含む内科的治療に加えて血栓回収療法を施行することが、患者の転機を改善し、死亡率を低下することが示された。これを検討した試験であるMR-CLEAN、ESCAPE、EXTEND-IA、SWIFT-PRIME、REVASCATの結果を踏まえると、内頸動脈、中大脳動脈(M1-M2)閉塞、ASPECTS:7-9、穿刺開始時に4時間半以内の症例を対象に、[[ステントリトリーバー]]を中心とする[[機械的血栓除去術]]を、rt-PA静注血栓溶解療法を含む従来の内科治療に加えて行い、しかも穿刺後1時間半(発症後6時間)以内にTICI2以上の再開通を60%以上の高率で確保する必要がある。rt-PA静注血栓溶解療法の開始時期1分でも早いほど効果が高いことが示されているが、機械的血栓除去術も発症後から再開通までの時間は早ければ早いほど転機改善例が増加し死亡例が減少する。
[[機械的血栓除去術]]
 
 発症早期の内頸動脈または[[中大脳動脈]]閉塞による急性期脳梗塞に対して、rt-PA静注血栓溶解療法を含む内科的治療に加えて血栓回収療法を施行することが、患者の転機を改善し、死亡率を低下することが示された。これを検討した試験であるMR-CLEAN、ESCAPE、EXTEND-IA、SWIFT-PRIME、REVASCATの結果を踏まえると、内頸動脈、中大脳動脈(M1-M2)閉塞、ASPECTS:7-9、穿刺開始時に4時間半以内の症例を対象に、[[ステントリトリーバー]]を中心とする機械的血栓除去術を、rt-PA静注血栓溶解療法を含む従来の内科治療に加えて行い、しかも穿刺後1時間半(発症後6時間)以内にTICI2以上の再開通を60%以上の高率で確保する必要がある。rt-PA静注血栓溶解療法の開始時期1分でも早いほど効果が高いことが示されているが、機械的血栓除去術も発症後から再開通までの時間は早ければ早いほど転機改善例が増加し死亡例が減少する。


===抗血栓療法===
===抗血栓療法===