「神経誘導」の版間の差分

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==幹細胞からの神経分化==
==幹細胞からの神経分化==
 マウスやヒトでは、再生医学への展望もあるために、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)を神経化する方法論についての研究が進んでいる。これらの幹細胞をシャーレ上でできるだけ純粋に神経前駆細胞に分化させるには、マウス<ref name=ref56><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref57><pubmed></pubmed></ref>、ヒト<ref name=ref58><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref59><pubmed></pubmed></ref>ともに、シグナル因子の添加を最小限にした(特に血清に含まれる不特定多数の因子を最小限にした)培地に栄養因子やFGFを加えて単層培養する<ref name=ref60><pubmed></pubmed></ref>。この方法により、マウスでは2日程度、ヒトでは5−6日程度で神経前駆細胞が出現する。視細胞、運動神経、介在ニューロンなど、特定の機能的神経細胞を得たい場合には、この時期から領域決定を促す因子(Wnt、ソニック・ヘッジホッグ、レチノイン酸など)を加えてさらに培養を続ける<ref name=ref61><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref62><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref63><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref64><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref65><pubmed></pubmed></ref>。
 マウスやヒトでは、再生医学への展望もあるために、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)を神経化する方法論についての研究が進んでいる。これらの幹細胞をシャーレ上でできるだけ純粋に神経前駆細胞に分化させるには、マウス<ref name=ref56><pubmed>12524553</pubmed></ref> <ref name=ref57><pubmed>18697938</pubmed></ref>、ヒト<ref name=ref58><pubmed>11731781</pubmed></ref> <ref name=ref59><pubmed>20160098</pubmed></ref>ともに、シグナル因子の添加を最小限にした(特に血清に含まれる不特定多数の因子を最小限にした)培地に栄養因子やFGFを加えて単層培養する<ref name=ref60><pubmed>27194476 </pubmed></ref>。この方法により、マウスでは2日程度、ヒトでは5−6日程度で神経前駆細胞が出現する。視細胞、運動神経、介在ニューロンなど、特定の機能的神経細胞を得たい場合には、この時期から領域決定を促す因子(Wnt、ソニック・ヘッジホッグ、レチノイン酸など)を加えてさらに培養を続ける<ref name=ref61><pubmed>12176325</pubmed></ref> <ref name=ref62><pubmed>25157815</pubmed></ref> <ref name=ref63><pubmed> 26972603</pubmed></ref> <ref name=ref64><pubmed>16076961</pubmed></ref> <ref name=ref65><pubmed>16908856 </pubmed></ref>。


 さらに成熟し、さまざまな細胞種からなる機能体を作出したい場合には、神経分化させると同時にembryoid body(幹細胞の細胞塊)を形成させる<ref name=ref66><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref67><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref68><pubmed></pubmed></ref>。近年この方法を応用し、眼や脳などの完全な機能体「オルガノイド(organoid)」が作り出されるようになった<ref name=ref69><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref70><pubmed></pubmed></ref>。オルガノイドは、移植医療はもちろんのこと、創薬における薬効の検証系、疾患の試験管内再現など幅広い応用が期待されている。
 さらに成熟し、さまざまな細胞種からなる機能体を作出したい場合には、神経分化させると同時にembryoid body(幹細胞の細胞塊)を形成させる<ref name=ref66><pubmed>15696161</pubmed></ref> <ref name=ref67><pubmed>17529971</pubmed></ref> <ref name=ref68><pubmed>17609152</pubmed></ref>。近年この方法を応用し、眼や脳などの完全な機能体「オルガノイド(organoid)」が作り出されるようになった<ref name=ref69><pubmed>21475194</pubmed></ref> <ref name=ref70><pubmed>27118425</pubmed></ref>。オルガノイドは、移植医療はもちろんのこと、創薬における薬効の検証系、疾患の試験管内再現など幅広い応用が期待されている。


==参考文献==
==参考文献==
<references />
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