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FOXP2に変異をもつKE家系は、発見当初、過去形の学習に困難があるとされた。このため、FOXP2は文法遺伝子とよばれたこともあった。しかし、その後の研究が示すように、FOXP2は発話の運動機能にかかわる。生成文法の極小主義の用語でいうと感覚運動インターフェースにのみかかわると考えられる。 | FOXP2に変異をもつKE家系は、発見当初、過去形の学習に困難があるとされた。このため、FOXP2は文法遺伝子とよばれたこともあった。しかし、その後の研究が示すように、FOXP2は発話の運動機能にかかわる。生成文法の極小主義の用語でいうと感覚運動インターフェースにのみかかわると考えられる。 | ||
言語に関わる可能性がある遺伝子にカドヘリンがある。カドヘリンは細胞接着因子であり、いくつかのサブタイプがある。少なくともスズメ目とオウム目では、発声運動にかかわる神経核(神経細胞が高密度で集積する部位)において、感覚学習期にはカドヘリン7が、そして感覚運動学習期にはカドヘリン6bが発現することがわかっている。これらの鳥類で、感覚運動学習期にカドヘリン7を強制発現させると、歌の学習が阻害される | 言語に関わる可能性がある遺伝子にカドヘリンがある。カドヘリンは細胞接着因子であり、いくつかのサブタイプがある。少なくともスズメ目とオウム目では、発声運動にかかわる神経核(神経細胞が高密度で集積する部位)において、感覚学習期にはカドヘリン7が、そして感覚運動学習期にはカドヘリン6bが発現することがわかっている。これらの鳥類で、感覚運動学習期にカドヘリン7を強制発現させると、歌の学習が阻害される<ref><pubmed>21949888</pubmed></ref>。ヒトにおけるカドヘリンと発声学習の関連はまだ不明である。言語が可能になるためには、脳内での多様な入出力関係が正しく連結されねばならないことを考えると、カドヘリンが言語獲得において重要な役割をはたすことは間違いない。 | ||
==おわりに== | ==おわりに== |