「ストループ効果」の版間の差分

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== ストループ効果と神経科学==
== ストループ効果と神経科学==
 今日のストループ効果研究の中心は,どのように認知的葛藤を制御しているのか,といった問題に移行している(Botvinick, Braver, Barch, Carter, & Cohen, 2001)。特に注目を浴びた研究は,コーエンを中心とした研究グループの行った脳機能画像研究(Kerns, Cohen, MacDonald, Cho, Stenger, & Carter, 2004)であり,認知的葛藤が起きているときの認知処理のコントロールに前部帯状回(anterior cingulate cortex)と[[前頭葉]](prefrontal)特に[[前頭前野]]背外側部dorsolateral prefrontalの関与が示された。
 今日のストループ効果研究の中心は,どのように認知的葛藤を制御しているのか,といった問題に移行している(Botvinick, Braver, Barch, Carter, & Cohen, 2001)。特に注目を浴びた研究は,コーエンを中心とした研究グループの行った脳機能画像研究(Kerns, Cohen, MacDonald, Cho, Stenger, & Carter, 2004)であり,認知的葛藤が起きているときの認知処理のコントロールに前部帯状回(anterior cingulate cortex)と[[前頭葉]](prefrontal)特に[[前頭前野]]背外側部dorsolateral prefrontalの関与が示された。彼らの研究以降、認知的葛藤現象におけるACCとDLPFCの機能の探索が大きく進展していった。図3はACC に仮定されるConflict monitoring を組み込んだストループ効果のニューラル・ネットワーク・モデルである(Botvinick, Cohen,& Carter, 2004)。ACCの機能は認知的葛藤のモニタリングであり、DLPFCは課題要求(task demand)の維持や認知的コントロールと関連していることが報告されてきた。例えばストループ課題と逆ストループ課題の切り替え手続きを用いた研究(Cohenのグループの奴)では、色名呼称か文字呼称かをキューとして提示する手続きを用いて、課題の制御プロセスについて検討を行った。
 また、注意制御と障害との関連の検討にストループ効果が用いられることが多く、関心領域(ROI)としてACCとDLPFCを対象部位として、精神疾患の神経メカニズムへのアプローチへ展開した。統合失調症(Weaterhausen, R. et al., 2011)の認知抑制機能の検討のためにストループ効果のメタ分析を行っている。、アルツハイマー患者を対象にストループ効果を実施した研究のメタ分析では、ストループ効果での遅延が認知処理全般の遅延と異なる可能性を指摘した(Amieva, H., 2004)。他にも 、摂食障害(Dobson, K. S., & Dozois, D. J. (2004)、統合失調症(  )、注意欠陥・多動性障害( )などにおいても、注意機能の低下との関連をストループ課題を用いて検討が行われてきた。
 また、Bushらは、前帯状皮質背側部(the dorsal anterior cingulate cortex, dACC)の賦活がより顕著に認められる課題の開発という要請から、ストループ課題などの認知コンフリクト課題を融合させ、Multi-Source Interference Task(MIST)の開発を行った。妥当性の検討を行い、より顕著にdACCの賦活が認められることを報告している(Bush et al., 2003, 2006)。


==参考文献==
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