「ゴルジ染色」の版間の差分

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== 歴史的背景 ==
== 歴史的背景 ==
[[Image:golfi3.png|thumb|right|250px|'''図3. 萬年甫による「猫脳ゴルジ染⾊図譜」の⼀部''' <br />
[[Image:golfi3.png|thumb|right|250px|'''図3. 萬年甫による「猫脳ゴルジ染⾊図譜」の⼀部''' <br />
[[wj:萬年甫|萬年甫]]による「猫脳ゴルジ染⾊図譜」は、1988 年岩波書店によって210 部が刷られ、そのうち100 部は国外の脳研究所へ送られた(14)<ref>'''萬年甫'''<br>神経細胞の形を求めて<br>''⽇仏医学'' 34, 1-16,: 2012</ref>。残りは⼀部の国⽴⼤学図書館や博物館などに貴重書として保管されている。実際の「猫脳ゴルジ染⾊図譜」を⾒るとわかるが、神経細胞は細胞体の⼤きさによって⾊分けがなされており、明らかに軸索とわかる構造には⽮頭が付されてある(6)<ref name=mannen1988/>。これらはゴルジ染⾊像をスキャンして着⾊したのではなく、すべて⼿書きによる作画である。<br />
[[wj:萬年甫|萬年甫]]による「猫脳ゴルジ染⾊図譜」は、1988 年岩波書店によって210 部が刷られ、そのうち100 部は国外の脳研究所へ送られた<ref>'''萬年甫'''<br>神経細胞の形を求めて<br>''⽇仏医学'' 34, 1-16,: 2012</ref>。残りは⼀部の国⽴⼤学図書館や博物館などに貴重書として保管されている。実際の「猫脳ゴルジ染⾊図譜」を⾒るとわかるが、神経細胞は細胞体の⼤きさによって⾊分けがなされており、明らかに軸索とわかる構造には⽮頭が付されてある<ref name=mannen1988/>。これらはゴルジ染⾊像をスキャンして着⾊したのではなく、すべて⼿書きによる作画である。<br />
岩波書店の許可を得て『意識をめぐる冒険<ref>'''クリストフ・コッホ (著) 土谷 尚嗣, 小畑 史哉 (翻訳)'''<br>意識をめぐる冒険<br>''岩波書店'' :2014</ref>』の表紙の一部掲載。著作権で保護されており転載2次使用不可]]
岩波書店の許可を得て『意識をめぐる冒険<ref>'''クリストフ・コッホ (著) 土谷 尚嗣, 小畑 史哉 (翻訳)'''<br>意識をめぐる冒険<br>''岩波書店'' :2014</ref>』の表紙の一部掲載。著作権で保護されており転載2次使用不可]]


 ゴルジ染⾊では、[[wj:クロム酸|クロム酸]]や[[wj:塩化水銀(II)|塩化第⼆⽔銀]]などが⽤いられるが、これらの化合物は歴史的に、[[アルコール]]や[[ホルマリン]]と同様に組織固定液として利⽤されてきた(1)<ref>'''Stephen Polyak ; edited Heinrich Klüver'''<br>The vertebrate visual system : its origin, structure, and function and its manifestations in disease with an analysis of its role in the life of animals and in the origin of man, preceded by a historical review of investigations of the eye, and of the visual pathways and centers of the brain<br>''University of Chicago Press'':1957</ref>。他の病理学者と同様に、ゴルジ⾃⾝も様々な固定液を⽤いて病理標本の観察を⾏っていた。ゴルジはクロム酸とオスミウム酸で固定した脳サンプルを、当時、⽤いられ始めていた[[wj:硝酸銀|硝酸銀]]に沈めて切⽚を作成することを試みた。作成した切⽚を顕微鏡のステージにのせ、レンズを覗き込んだ彼の眼には⿊々と染まった神経細胞が映しだされ、彼はこの⽅法を「⿊い反応」と名付け、すぐさま学術誌に公表した(2)<ref>'''Golgi C'''<br>Sulla struttura della sostanza grigia del cervello<br>''Gazzetta Medica Italiana, Lombardia,'' 33, 244-246 :1873 [[media:Golgi original publication 1873.pdf|PDF]]</ref>。この「⿊い反応」が発⾒されたのは、1873 年ゴルジがちょうど30 歳の時であった。本法は、のちに彼の名前をつけて「ゴルジ染⾊」と呼ばれるようになり、現在に⾄っている。1873 年の「⿊い反応」の発表以降、多くの医師がゴルジの⽅法を⽤いて神経細胞の染⾊を試み、その恩恵を受けたことは想像に難くない。
 ゴルジ染⾊では、[[wj:クロム酸|クロム酸]]や[[wj:塩化水銀(II)|塩化第⼆⽔銀]]などが⽤いられるが、これらの化合物は歴史的に、[[アルコール]]や[[ホルマリン]]と同様に組織固定液として利⽤されてきた<ref>'''Stephen Polyak ; edited Heinrich Klüver'''<br>The vertebrate visual system : its origin, structure, and function and its manifestations in disease with an analysis of its role in the life of animals and in the origin of man, preceded by a historical review of investigations of the eye, and of the visual pathways and centers of the brain<br>''University of Chicago Press'':1957</ref>。他の病理学者と同様に、ゴルジ⾃⾝も様々な固定液を⽤いて病理標本の観察を⾏っていた。ゴルジはクロム酸とオスミウム酸で固定した脳サンプルを、当時、⽤いられ始めていた[[wj:硝酸銀|硝酸銀]]に沈めて切⽚を作成することを試みた。作成した切⽚を顕微鏡のステージにのせ、レンズを覗き込んだ彼の眼には⿊々と染まった神経細胞が映しだされ、彼はこの⽅法を「⿊い反応」と名付け、すぐさま学術誌に公表した<ref>'''Golgi C'''<br>Sulla struttura della sostanza grigia del cervello<br>''Gazzetta Medica Italiana, Lombardia,'' 33, 244-246 :1873 [[media:Golgi original publication 1873.pdf|PDF]]</ref>。この「⿊い反応」が発⾒されたのは、1873 年ゴルジがちょうど30 歳の時であった。本法は、のちに彼の名前をつけて「ゴルジ染⾊」と呼ばれるようになり、現在に⾄っている。1873 年の「⿊い反応」の発表以降、多くの医師がゴルジの⽅法を⽤いて神経細胞の染⾊を試み、その恩恵を受けたことは想像に難くない。


 1888 年にはイタリアの医師カハール(ゴルジと共に1906 年に神経系の構造に関する研究としてノーベル⽣理学医学賞を受賞)がゴルジの原法を改良し[[反応時間]]を短縮させた急速ゴルジ法(ラピッドゴルジ法)を編み出している(3)<ref>'''Cajal S R'''<br>Estructura de los centros nerviosos de las aves<br>''Cerebelo Rev Trim Histol Norm Patol,'' 1, 1-10: 1888</ref>。さらに1891 年には、オランダの医師コックスがゴルジ染⾊を改変した[[ゴルジ・コックス染⾊法]]を発表した(4)<ref name=CoxWH1891>'''Cox WH'''<br>Imprägnation des centralen Nervensystems mit Quecksilber-salzen<br>''Arch. mikrosk. Anat., 37, 16-21,'': 1891</ref>。ゴルジ・コックス染⾊は、発表当時、ゴルジ染⾊よりも安定した結果が得られると評判になった。
 1888 年にはイタリアの医師カハール(ゴルジと共に1906 年に神経系の構造に関する研究としてノーベル⽣理学医学賞を受賞)がゴルジの原法を改良し[[反応時間]]を短縮させた急速ゴルジ法(ラピッドゴルジ法)を編み出している<ref>'''Cajal S R'''<br>Estructura de los centros nerviosos de las aves<br>''Cerebelo Rev Trim Histol Norm Patol,'' 1, 1-10: 1888</ref>。さらに1891 年には、オランダの医師コックスがゴルジ染⾊を改変した[[ゴルジ・コックス染⾊法]]を発表した<ref name=CoxWH1891>'''Cox WH'''<br>Imprägnation des centralen Nervensystems mit Quecksilber-salzen<br>''Arch. mikrosk. Anat., 37, 16-21,'': 1891</ref>。ゴルジ・コックス染⾊は、発表当時、ゴルジ染⾊よりも安定した結果が得られると評判になった。


 ⽇本においては、神経解剖学者の萬年甫(1923−2011)がゴルジ・コックス染⾊法を⽤いて様々な[[動物]]の脳の神経構造を明らかにしてきた(5)<ref>'''萬年甫'''<br>動物の脳採集記<br>''中公新書'' :1361</ref>。とくに、1988年に出版された「猫脳ゴルジ染⾊図譜」は萬年甫が約30 年の歳⽉をかけて作成した脳地図で、本書はもはや神経解剖学の領域を超えて芸術の域に達している('''図3''')(6)<ref name=mannen1988>'''萬年甫'''<br>A dendro‐cyto‐myeloarchitectonic atlas of the catʼs brain 猫脳ゴルジ染⾊図譜<br>''岩波書店'' :1988 ISBN 9784000097697</ref>。このような歴史のある染⾊法は、現在でも改良が加えられながら時折その⽅法が学術誌に紹介されている。
 ⽇本においては、神経解剖学者の萬年甫(1923−2011)がゴルジ・コックス染⾊法を⽤いて様々な[[動物]]の脳の神経構造を明らかにしてきた<ref>'''萬年甫'''<br>動物の脳採集記<br>''中公新書'' :1361</ref>。とくに、1988年に出版された「猫脳ゴルジ染⾊図譜」は萬年甫が約30 年の歳⽉をかけて作成した脳地図で、本書はもはや神経解剖学の領域を超えて芸術の域に達している('''図3'''<ref name=mannen1988>'''萬年甫'''<br>A dendro‐cyto‐myeloarchitectonic atlas of the catʼs brain 猫脳ゴルジ染⾊図譜<br>''岩波書店'' :1988 ISBN 9784000097697</ref>。このような歴史のある染⾊法は、現在でも改良が加えられながら時折その⽅法が学術誌に紹介されている。


==原理 ==
==原理 ==
 ゴルジ染⾊とゴルジ・コックス染⾊は⽤いる化合物が異なっており、ゴルジ染⾊では単にオスミウム酸と[[wj:二クロム酸カリウム|⼆クロム酸カリウム]]で固定した脳を硝酸銀⽔溶液に漬けるのみであるが、ゴルジ・コックス染⾊では、⼆クロム酸に加えて[[wj:クロム酸カリウム|クロム酸カリウム]]と[[wj:塩化水銀|塩化水銀]]で固定した脳を[[wj:アンモニア|アンモニア]]⽔で発⾊(⿊化)させている(7, 8)<ref name=NautaW1970>'''Eds: Nauta Walle JH; Ebbesson Sven OE'''<br>Contemporary Research Methods in Neuroanatomy<br>''Springer'': 1970</ref><ref name=HW2017>'''Kang HW et al.'''<br>Comprehensive Review of Golgi Staining Methods for Nervous Tissue<br>''Kang Appl Microsc.,'' 47, 63-69: 2017</ref>。すなわちゴルジ染⾊ではクロム酸銀の沈着を、またゴルジ・コックス染⾊では、⽔銀とアンモニア⽔による反応で⾦属⽔銀の沈着を観察することとなる。(9)(アリゾナ州立大学 James P. Birkのウェブサイト[http://www.public.asu.edu/~jpbirk/qual/qualanal/mercury.html Mercury]を参照。
 ゴルジ染⾊とゴルジ・コックス染⾊は⽤いる化合物が異なっており、ゴルジ染⾊では単にオスミウム酸と[[wj:二クロム酸カリウム|⼆クロム酸カリウム]]で固定した脳を硝酸銀⽔溶液に漬けるのみであるが、ゴルジ・コックス染⾊では、⼆クロム酸に加えて[[wj:クロム酸カリウム|クロム酸カリウム]]と[[wj:塩化水銀|塩化水銀]]で固定した脳を[[wj:アンモニア|アンモニア]]⽔で発⾊(⿊化)させている<ref name=NautaW1970>'''Eds: Nauta Walle JH; Ebbesson Sven OE'''<br>Contemporary Research Methods in Neuroanatomy<br>''Springer'': 1970</ref><ref name=HW2017>'''Kang HW et al.'''<br>Comprehensive Review of Golgi Staining Methods for Nervous Tissue<br>''Kang Appl Microsc.,'' 47, 63-69: 2017</ref>。すなわちゴルジ染⾊ではクロム酸銀の沈着を、またゴルジ・コックス染⾊では、⽔銀とアンモニア⽔による反応で⾦属⽔銀の沈着を観察することとなる。(アリゾナ州立大学 James P. Birkのウェブサイト[http://www.public.asu.edu/~jpbirk/qual/qualanal/mercury.html Mercury]を参照。


 これらの⽅法はともに、ごくわずかな神経細胞のみを染⾊し、染⾊された神経は⿊く強調され、そのほかの細胞は全く染⾊されないという⾮常に⾼いシグナル/ノイズ⽐をもたらすが、この成因については未だ明らかにされていない(10)<ref>'''Nicholls JG et al.'''<br>From neuron to brain<br>''Sinauer Associates Inc.,'' pp. 5,: 2001</ref>。コックスが論⽂の中で述べたゴルジ染⾊の特⾊を、萬年甫は⾃らの書籍の中で次のように紹介している。「化合物の化学的あるいは物理的組成が、おそらく細胞の⽣理的状態の違い、あるいは細胞の死と関連してこのような差異を⽣ずるに違いない」と(4, 11)<ref name=CoxWH1891/><ref name=Mannen2011>'''萬年甫'''<br>脳を固める・切る・染める−先⼈の知恵−<br>''メディカルレビュー社'' p176-177,: 2011</ref>。
 これらの⽅法はともに、ごくわずかな神経細胞のみを染⾊し、染⾊された神経は⿊く強調され、そのほかの細胞は全く染⾊されないという⾮常に⾼いシグナル/ノイズ⽐をもたらすが、この成因については未だ明らかにされていない<ref>'''Nicholls JG et al.'''<br>From neuron to brain<br>''Sinauer Associates Inc.,'' pp. 5,: 2001</ref>。コックスが論⽂の中で述べたゴルジ染⾊の特⾊を、萬年甫は⾃らの書籍の中で次のように紹介している。「化合物の化学的あるいは物理的組成が、おそらく細胞の⽣理的状態の違い、あるいは細胞の死と関連してこのような差異を⽣ずるに違いない」と<ref name=CoxWH1891/><ref name=Mannen2011>'''萬年甫'''<br>脳を固める・切る・染める−先⼈の知恵−<br>''メディカルレビュー社'' p176-177,: 2011</ref>。


==⽅法 ==
==⽅法 ==
=== 原法 ===
=== 原法 ===
 ゴルジ染色の原法(7)<ref name=NautaW1970/>を記載する。
 ゴルジ染色の原法<ref name=NautaW1970/>を記載する。
# 2.3% (w/w) ⼆クロム酸カリウムならびに0.19% (w/w)[[wj:酸化オスミウム(VIII)|四酸化オスミウム]]を含んだ固定液を作成し、約4-5 mm ⾓の脳標品を20 ml の固定液に浸漬する。室温で7⽇間保存する。
# 2.3% (w/w) ⼆クロム酸カリウムならびに0.19% (w/w)[[wj:酸化オスミウム(VIII)|四酸化オスミウム]]を含んだ固定液を作成し、約4-5 mm ⾓の脳標品を20 ml の固定液に浸漬する。室温で7⽇間保存する。
# その後、脳標品を0.75%硝酸銀⽔溶液ですすぎ、あらたに硝酸銀⽔溶液を注ぎ⼊れ室温で⼀晩保存する。
# その後、脳標品を0.75%硝酸銀⽔溶液ですすぎ、あらたに硝酸銀⽔溶液を注ぎ⼊れ室温で⼀晩保存する。
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=== ゴルジ・コックス染色 ===
=== ゴルジ・コックス染色 ===
 いくつかの修正された⽅法が⽰されているが、ここでは代表的な⽅法を記載した(12, 13)<ref><pubmed> 27065817</pubmed></ref>。
 いくつかの修正された⽅法が⽰されているが、ここでは代表的な⽅法を記載した<ref><pubmed> 27065817</pubmed></ref>。
# 5%⼆クロム酸カリウム⽔溶液(たとえば100 ml 蒸留⽔に5 グラム)と5%塩化⽔銀⽔溶液(100 ml 蒸留⽔に5 グラム)、ならびに5%クロム酸カリウム⽔溶液(80 ml 蒸留⽔に4グラム)を作成する。
# 5%⼆クロム酸カリウム⽔溶液(たとえば100 ml 蒸留⽔に5 グラム)と5%塩化⽔銀⽔溶液(100 ml 蒸留⽔に5 グラム)、ならびに5%クロム酸カリウム⽔溶液(80 ml 蒸留⽔に4グラム)を作成する。
# 作成した5%⼆クロム酸カリウム⽔溶液と5%塩化⽔銀⽔溶液を混合し(合計200 ml)、ガラス棒を⽤いて撹拌する。
# 作成した5%⼆クロム酸カリウム⽔溶液と5%塩化⽔銀⽔溶液を混合し(合計200 ml)、ガラス棒を⽤いて撹拌する。
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 ゴルジ染液に浸して作成した切⽚は乾燥に弱く、少しでも乾くとクラック(ひび割れ)が⼊って標本として利⽤できなくなるため、スライドガラスへの貼り付けは⾵乾ではなく、物理的に⼒を加えて圧着し、湿箱内で静置して標本とスライドガラスを接着させるなどの⼯夫が必要となる。
 ゴルジ染液に浸して作成した切⽚は乾燥に弱く、少しでも乾くとクラック(ひび割れ)が⼊って標本として利⽤できなくなるため、スライドガラスへの貼り付けは⾵乾ではなく、物理的に⼒を加えて圧着し、湿箱内で静置して標本とスライドガラスを接着させるなどの⼯夫が必要となる。


 また、ゴルジ染⾊は、たやすく神経細胞のみを選択的に染⾊すると思われがちであるが、浸漬時間や温度などの条件によって、神経細胞に加えて[[グリア細胞]]や[[wj:血管内皮|血管内皮]]細胞が染⾊されることもある(7,8)<ref name=NautaW1970/><ref name=HW2017/>。
 また、ゴルジ染⾊は、たやすく神経細胞のみを選択的に染⾊すると思われがちであるが、浸漬時間や温度などの条件によって、神経細胞に加えて[[グリア細胞]]や[[wj:血管内皮|血管内皮]]細胞が染⾊されることもある<ref name=NautaW1970/><ref name=HW2017/>。


 ゴルジ・コックス染⾊液では、クロム酸カリウムだけでなく、二クロム酸カリウムを加えているが、アルカリ性を示すクロム酸カリウム溶液(5% ⽔溶液でpH 8.5 からpH9.5 を⽰す)に酸性を示す二クロム酸カリウム水溶液(5%水溶液でpH3.8程度)を加えることで、染色液の[[wj:水素イオン指数|⽔素イオン濃度]]の調整をおこなっている。(4, 11)<ref name=CoxWH1891/><ref name=Mannen2011/>。このことから、反応温度や時間にくわえて溶液のpH も染⾊結果に影響をもたらすと理解できる。
 ゴルジ・コックス染⾊液では、クロム酸カリウムだけでなく、二クロム酸カリウムを加えているが、アルカリ性を示すクロム酸カリウム溶液(5% ⽔溶液でpH 8.5 からpH9.5 を⽰す)に酸性を示す二クロム酸カリウム水溶液(5%水溶液でpH3.8程度)を加えることで、染色液の[[wj:水素イオン指数|⽔素イオン濃度]]の調整をおこなっている。<ref name=CoxWH1891/><ref name=Mannen2011/>。このことから、反応温度や時間にくわえて溶液のpH も染⾊結果に影響をもたらすと理解できる。


==外部リンク==
==外部リンク==
*筆者によるウェブサイト [http://www.bio.is.tohoku.ac.jp/~uchida/golgi.html ゴルジ染色]
*アリゾナ州立大学 James P. Birkのウェブサイト[http://www.public.asu.edu/~jpbirk/qual/qualanal/mercury.html Mercury]
*アリゾナ州立大学 James P. Birkのウェブサイト[http://www.public.asu.edu/~jpbirk/qual/qualanal/mercury.html Mercury]
== 参考⽂献 ==
== 参考⽂献 ==
<references/>
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