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==== CRISPR/Cas13(C2c2)システム ====
==== CRISPR/Cas13(C2c2)システム ====
 Feng Zhangのグループは微生物ゲノムデータベースを探索し、クラス2タイプⅥ型CRISPR/CasシステムのCas13(C2c2)が、標的RNAに相補的なRNA依存性に一本鎖RNAを切断する酵素であることを見つけた[16]。Leptotrichia wadei由来のCas13a(LwaCas13a)をCRISPRシステムに組み込んだ系は、標的RNAを高効率かつ高い特異性でノックダウンすることができる[17]。CRISPR/Cas13aを用いた標的RNAのノックダウンはRNA干渉法(RNAi)に比べ、1)オフターゲットが少ない、2)長鎖ノンコーディングRNAの発現を抑制できる、などの利点がある。
 Feng Zhangのグループは微生物ゲノムデータベースを探索し、クラス2タイプⅥ型CRISPR/CasシステムのCas13(C2c2)が、標的RNAに相補的なRNA依存性に一本鎖RNAを切断する酵素であることを見つけた<ref><pubmed>27256883</pubmed></ref>[16]。Leptotrichia wadei由来のCas13a(LwaCas13a)をCRISPRシステムに組み込んだ系は、標的RNAを高効率かつ高い特異性でノックダウンすることができる<ref name=Abudayyeh2017><pubmed>28976959</pubmed></ref>[17]。CRISPR/Cas13aを用いた標的RNAのノックダウンはRNA干渉法(RNAi)に比べ、1)オフターゲットが少ない、2)長鎖ノンコーディングRNAの発現を抑制できる、などの利点がある。
さらに、失活させたCas13a(dCas13a)に蛍光タンパク質を融合させることにより、目的のRNAを可視化することができる[17]。最近、Cas13aより高効率かつ高い特異性で標的RNAをノックダウンすることができるCas13bが同定された[18]。Cas13は、pre-CRISPR RNAをプロセッシングしcrRNAを生成できる活性を持っており、多数の標的RNAを含んだpre-CRISPR RNAをガイドRNAとして用いることにより、一度に多くのRNAをノックダウンできる[17]。
さらに、失活させたCas13a(dCas13a)に蛍光タンパク質を融合させることにより、目的のRNAを可視化することができる<ref name=Abudayyeh2017/>[17]。最近、Cas13aより高効率かつ高い特異性で標的RNAをノックダウンすることができるCas13bが同定された<ref><pubmed>29070703</pubmed></ref>[18]。Cas13は、pre-CRISPR RNAをプロセッシングしcrRNAを生成できる活性を持っており、多数の標的RNAを含んだpre-CRISPR RNAをガイドRNAとして用いることにより、一度に多くのRNAをノックダウンできる<ref name=Abudayyeh2017/>[17]。


==== CRISPR/dCas13-ADARシステム ====
==== CRISPR/dCas13-ADARシステム ====